茨城県といえば、どのようなイメージをお持ちでしょうか。有名なのは、6年連続で「魅力度ランキング」が最下位だったことや、近年はむしろそれをネタにして、観光にも積極的に取り組もうとしている姿であったり、全国屈指の農作物の一大生産地であり、首都圏の食を支える力強い存在というものでしょう。

そんな茨城県を舞台に、「茨城で合宿をしよう!」と呼びかける企業向けプログラム「Camp in! IBARAKI 」が新たに始まりました。

企業誘致に取り組んでいた中で、まずは茨城を知ってもらうためにどうするか、県内進出というのはハードルが高いが、その手前でできることは何かを考えて生まれたのがCamp in! IBARAKIです。

と語るのは、事業主体である茨城県と共に運営事務局を担う茨城移住計画の鈴木高祥さん。

全国でも稀な「企業向けの合宿」に特化したプログラムについてお聞きしました。

「合宿の地・茨城」を目指すCamp in! IBARAKI

「茨城は意外に近い」。これは参加者から聞かれる声のひとつだと言います。実際に、秋葉原駅からつくば駅は快速で45分、上野駅から水戸駅は特急利用で約65分という近さにあります。

この近さを活かすような方法はないかと考え出されたのが、「合宿の地・茨城」というコンセプトです。

近さを活かして、通常の会議室ではできないことを茨城でやってもらおうと考えたんです。チームビルディングであったり、新しいプロジェクトのキックオフであったり活かし方がいろいろあると考えています。

一泊二日や二泊三日という短期間で態度変容を促すようなプログラムをつくりながら、チームの意識を変えたり、チャレンジを始めたいというときに、まず茨城で合宿しようかとなることを目指しています。

合宿を共創するプログラム

Camp in! IBARAKIの大きな特徴のひとつは、合宿プログラムを事務局である鈴木さんたちと一緒に作れることです。

企業が合宿をしようという場合、宿泊地はどこにするのが良いのか、収容人数は何人なのか、会議用の部屋やホワイトボードがあるのかといった場所や設備だけではなく、昼食場所や周辺環境まで様々なことを考慮しなければいけません。これはそのまま幹事の負担となってしまう部分です。

しかしCamp in! IBARAKIでは、これらのコーディネートを茨城移住計画が手掛けることで負担を大幅に減らすことに成功しています。

まず茨城県を5つのエリアに大きく分類して、どんな合宿をしたいのかというニーズに合わせて提案できるようにしています。宿泊施設等はもちろん、内容に合うようなアクティビティを提供するなら誰に頼むのが良いのか、各地への移動はどうするのかなどをトータルでプログラムの作成をサポートします。

地域の事情を知っている側が関われるので、無理な移動になったり、設備などが事前のイメージと違うということもありません。茨城の特徴である、海・山・川・畑など、自然を活かしたアクティビティも提案できます。

茨城県のもつポテンシャルを最大限に活かす方法が、合宿を共創するという姿勢にあることがわかります。

地域プレイヤーとつながり生まれるイノベーション

様々なアクティビティも提供する

Camp in! IBARAKIの最大の特徴とも言えるのが、地域プレイヤーとのつながりです。

このプログラムが提供できるのも、現地の受け入れ体制があるからこそ。地域プレイヤーとつながる意義とはどのようなものがあるのでしょうか。

茨城移住計画は、その名の通り移住定住をPRする活動なのですが、私たちが団体を立ち上げてまずやったのは、県内の地域プレイヤーを見える化しようということでした。1年間丁寧に活動し、県外の認知を高めるというよりも、県内の認知を高め、一緒にやりましょうと言ってもらえるネットワークを作ってきました。それが今回のプログラムにも活きています。

地域プレイヤーとつながることで、そこを入り口に地域とつながることができるんです。そこで何ができるのかと言えば、「農業の分野で新しいビジネスを作りたい」という要望があれば、地域プレイヤーとつないで企業とのコラボレーションを模索できますし、何かの実証実験がしたいという要望があれば、それを実現できる環境を地域の方々と一緒に考えることができるんです。

茨城県全域が実験場になる可能性

Camp in! IBARAKIは、企業が単独で実施するようなチームビルディングや意識変容のプログラムと、新事業を立ち上げたり、新しいビジネスアイデアの実証実験をする場所として茨城県を活用できるという2つの側面があることがわかります。

これらを絵に描いた餅ではなく、実際にサービスとして提供できるのは、茨城県の事業として、茨城県全域にアクセスできるルートが確保されていること、地域プレイヤーなど現地の特徴を活かすプログラムを茨城移住計画がサポートできることが大きいと言えるでしょう。

その結果、短期間でありながら企業も成果を得られつつ、茨城県や受け入れた地域も企業と継続的な関係性を築くきっかけにもなります。これらの要素はイノベーションをもたらす要因にも成り得るはずです。

意識が変化したり、何かが始まったり、茨城がそんな場所として認知されるとうれしい

企業側は課題を持ち込み、それに対して合宿の内容と地域コーディネートで応えるというCamp in! IBARAKIに対して、鈴木さんはどのような思いを抱いているのでしょうか。

茨城が今後発展するために何ができるんだろうというところからスタートして、観光だけでは知名度が上がらない茨城だからできることはなんだろうと考えてきました。地域にとっては、このプログラムから茨城に支社を出してみようという動きにつながれば良いと思っていますし、地域との協業など、プロジェクトを一緒につくるようなことができると良いと思っています。

イメージとしては、参加いただいた企業の中で「1年前に茨城で合宿したね」ということが共通理解になっていて、ここから新たな取り組みが始まったという意識になったら良いなと思うんですよね。

Camp in! IBARAKIは、行政と民間のコラボレーションという点でもとてもユニークなものです。制度だけがあるのではなく、制度を活かすように現地の人とのつながりが活用され、相乗効果を生んでいます。

今後は、上記で紹介したようなプログラムだけでなく、現在ビジネスにおいても知らないわけにはいかないSDGsなど様々なテーマを設定し、例えば、異なる企業から複業ワーカーが数人ずつ集まれるプログラムも準備中だといいます。

「意識を変化させたい」というフェーズや、新しいビジネスを実証実験する場やパートナーを見つけたいフェーズなど、アクティブに動こうという気持ちにこたえてくれるCamp in! IBARAKI。「合宿の地・茨城」で、変化の一歩を踏み出してみませんか。