レモン塩麹、リンゴ酢のスイートチリソース、玉ねぎとしょうゆ麹のドレッシング……。レタスにちょこんと載せられた発酵食は、それぞれまったく違った味わいです。なのに、どれもレタスの瑞々しさとぴたりと調和していて、口の中に贅沢な美味しさが広がっていきました。

ここは山口県防府市にある発酵料理教室「発酵ゴト」。

「どれもすごく簡単に作れるんです。しかも身体にいい。生活に取り入れない手はないですよね」と、教室を主宰する奥嶋由香里さんは楽しそうに話します。

「それに、発酵の世界はとても奥深いんです。例えば、この味噌。まったく同じ材料、分量で仕込んでも、生徒さんが各家庭に持ち帰って発酵させると香りも味も、色も違ってくる。それぞれの住環境に棲んでいる菌によって、できあがりが変わるんです」

発酵を学ぶため、片道400キロの道のりを2年間

奥嶋さんが発酵に興味を持つようになったのは、5年ほど前。天然酵母パンと、そうでないものを食べ比べたところ、香りや食感などの違いに驚いたのがきっかけでした。

「やるならしっかり学んで、失敗しないように取り組みたい」と、発酵の先生の門を叩きます。ただ、場所は徳島市。自宅からは片道で400キロ近く離れていました。

「最初の講義のなかで、塩こうじを使って料理を作ったんです。これが美味しくて。しかも日持ちして、身体にもいい。それに仕込むだけで、あとは少しだけ手をかけてあげるだけで出来上がる。そんなところがガツンと響いて、思い切りはまってしまいました(笑)」

書棚には奥嶋さんが「バイブル」と呼ぶ発酵の専門書などがさり気なく並ぶ

一度やると決めると、とことんまで突き詰めるタイプ。朝4時に出発して月に1~2回の講義に2年間通い、学びを深めました。

習った内容はすぐに家庭で実践。食事のたびに味噌やドレッシングなど、何かひとつ発酵食を使うようになりました。すると、少しずつ変化を感じるようになったそうです。

「気がつけば、家族が風邪などで体調を崩すことがほとんどなくなりました。腸内環境が整ったことで、免疫力が上がったんだと感じています」

2018年、自宅に「発酵ゴト」を開設。納豆づくり、味噌づくりなど月ごとに異なるテーマの教室には、防府市内をはじめ、山口、周南、光、下関、萩、広島市などから約40人が通っています。

 

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