山口県山口市。見渡す限り田畑が広がる一本道をしばらく走ると、小さな看板が出ています。

「やまぐち BISTRO 328(みつわ)」

鴨居や梁などがそのまま残る、古い日本家屋を改装した店内。そこで提供されているのは、フレンチのコース料理です。

筆者がこの日いただいたのは、前菜、メインディッシュ、デザートの3品で構成されたランチ。

前菜はマリネサーモンのサラダ。レタス、トレビス、ビーズ、水菜などの野菜はすべて自家菜園のもの。どれもシャキシャキで瑞々しく、エネルギーを感じる美味しさでした。添えられた天然酵母パンも、程よい弾力があって食べ応えがあります。

続いてのメインディッシュは、萩市のむつみ豚を使った極太の自家製ソーセージ。県内産のトマトと麦を煮込んだソースが、ジューシーな肉のうまみを引き立てています。

「フランス料理だとレンズ豆や白インゲン豆を使うところですが、麦を入れてみたらプチプチとした食感があって面白かったので」。オーナーシェフの三和(みつわ)慎吾さんが説明してくれました。

大阪、パリ、ニューヨークで修業

三和さんは大阪生まれ。母親が山口県岩国市の出身だったことから、「子どもの頃は夏休みのたびに岩国に来て、毎日山の中でカブトムシなどを採って遊んでいた」そうです。

調理師養成の専門学校を卒業後、大阪のホテル内のレストランなどで5年間、続いてワインバーで4年間経験を積みました。その間に山口市出身の靖子さんと結婚。3人の子どもに恵まれます。ただ、あまりに多忙で睡眠時間もほとんど取れない時期も。帰宅するなり玄関で倒れ込むように眠る日もあったそうです。

そうした状況のなか、「どうせ生きるなら、やりたいことをしよう」と覚悟を決め、自分の店を始めるために行動を開始します。まずは「料理人として、もっとすごい世界の中でレベルアップしたい」と、単身フランスに渡りレストランで1年修業。その後ニューヨークの精進料理店でも3ヶ月働きました。

「自然を感じながら働きたい」と敢えて田んぼの中で開業

帰国後、開業に向けて山口市に移住。都市部ではなく、敢えて田舎を選んだ背景には、大阪での経験がありました。「あの頃は明け方にテナントに入って、仕事を終えるともう夜中。そんなふうにずっと建物の中に閉じこもって働き続けるより、自然を感じながらのびのびと生活したかったんです」

店の前にも農地が広がっている

<やりたいことや理想の暮らしを追求する三和さんの努力と展望。全文はこちら>