昨年2017年、ひとつ明確に達成できたのが、読書習慣を取り戻すことでした。週1冊平均、年間50冊を目標にして、なんとか達成。(ラインナップはこちら)こんな小さなことでも、数字を達成するのはなんか気持ちいいですねw。中には一日に何冊も、年間数百冊も読む人がいるなかで、数的には大したことないですが、それでもやってみると、正直まあまあ大変でしたw。

実は自分は、子供の頃は結構本を読むのが好きで、本の虫だった時もありました。幼児期に長期入院することがあったのがきっかけで、その時に「ドリトル先生シリーズ」を読み始めたのが発端だったのは忘れもしません。その後なぜか江戸川乱歩の推理小説に進み、必然的にエドガー・アラン・ポーに行って、当然「怪盗ルパンシリーズ」なんかも読み進め、そこから文学作品など色んな分野に広がって…といった具合でした。中学生くらいまではわりと図書館に通ってたほうだった気がします。お陰でみんなが嫌いな読書感想文が好きになり、大学は得意科目(?)の「小論文」があるところばかり受けました。ただ、その後徐々に読む本の数は減り、大学、社会人になってからはほんとに読まなくなってしまった・・・。そうこうしているうちにインターネットが現れ、それを専門にする会社に転職してしまってからは、もう向き合うのはネットばかりに…。言い訳ですがw

改めて思った、ネットと書籍の違い

一時期、電子書籍のKindleを使ってたときもありますがど、なぜだか続きませんでした。便利なんだけど、不思議と頭に入ってこない気がしました。ページをめくる物理的行為や、読んだ量が視覚的にわかることが、付加情報として書籍内の時間的情報を付加しているんだというような研究発表もあったりして妙に納得しましたが、これも世代とともに順応していくことなのかもしれません。

とはいえ、まだやはり大量の文字情報をディスプレイで追うのは苦手という人が多い現状では、ネットとリアル本の違いは大きいのではないかと思います。

少し大げさかもしれませんが、例えて言うなら、書籍は「食べ物」で、ネットは「サプリメント」のようなものではないでしょうか。「食べ物」を咀嚼するには、物理的運動が伴います。味覚はもちろん、聴覚・触覚・嗅覚・視覚の五感をフル動員。読書には味覚・嗅覚はほとんど使いませんが、それでも、その他の「三感」を使うと得られる情報はそれなりに厚みがあるでしょう。一方、ネットは得てしてせいぜい3~4,000文字くらいだし、だからこそ特定のテーマに絞った「機能性」が求めまれます。読まれるかどうかに、タイトルがかなり”効く”のもそのためでしょう。でも実際のサプリ同様、効いた気にはなるけど、本当に効いているかは、やや微妙w。ただ「リアル読書」が必ずしも”栄養”になるかどうかも、モノによりますが。”ジャンクフード”も世の中にはかなりありますしね。比較すべきは雑誌の記事かもしれませんが、それでも何かが違う気がしてなりません。

もう一つ別の例えをするなら、リアル本読書は、ある意味「マラソン」的な要素がある気がします。作者の脳の中で行われた思索の”マラソンコース”を、そのまま辿る、いわば「バーチャルマラソン」ですね。この点もネットとは大きく違う気がします。媒体の機能の違いというより、著作者の思い入れの強さや、その紆余曲折度合いがそうさせている気がします。「書籍を出版する」ということはやはり今でもかなりのパワーを要するものだと思いますし、そこまでの思いをぶつけているところが質的な違いも産んでいるのではないかと。リアルの書店に行くと、いつも「世の中、こんなに何か言いたい人がいるんだな」とその混沌としたパワーを感じます。そこはAmazonとは絶対的な違いのような気がしますね。

経営者が”読書”を好む理由

この「バーチャル・マラソン」的な要素は、自分が改めて読書習慣を取り戻してよかったと思う大きな理由です。よく「経営者たるもの読書は必須」ということは聞きます。実際、かなりの読書家も多いですよね。今のこの段階で、自分が「経営者」然としたようなことを言うつもりは毛頭ありませんし、おこがましくて恥ずかしすぎるのですが、自分が「本でも読まなきゃやってられない」気持ちになったのも、やはりこういう立場になったことが無関係とはいえない気もします。

というのも、日々土石流のように、良いことも良くないことも、優先度の高低もごちゃまぜになっていろんなことに飲み込まれる日々を過ごすと、それにまみれっぱなしで、自分の”視座”が押し下げられる焦りを非常に強く感じるんです。もちろん最初っからうまく行くことばかりじゃないことはわかっているので、そっちはある意味開き直れるのですが、自分の考えているレベル感が下がりっぱなしで、日々どうでもいいことや優先度の低いことへの感情に振り回されていることに気づくこと、本当に「まずいな」と痛感します。それを解消するのに一番いい方法が、まさに「読書」ではないかと。著者の思考錯誤をバーチャルに体感し、物事の受け止め方を磨くのがそのプロセスとして最高なんじゃないかと思ったんです。当然、会社の経営だけじゃなくて、人生ある意味”土石流”に飲み込まれるようなものでもあるので、どんな分野の著書でも、その効果は期待できますよね。

自分が数十年ぶりに「読書習慣」を取り戻すことができたのは、本当に良かったと思います。ただ、冒頭の話しと矛盾しますが、読む”数”を目標にするのは必ずしも本質ではないなとも思いました。というのもやっぱり「本当に読んでよかった」と思えるのは、感覚的には30~40%くらいで、少なくとも半分以上は「どっちでもよかった」感もあり…。尊敬する出口さんが「最初の10Pで、読み切るかどうか決める」(参考記事http://logmi.jp/247280)とおっしゃっていたのには、かなり納得しました。自分も時にはかなり飛ばし読みはしてたけど、もっとそうすればよかったなと。

同時に、「今時分が読むべき本を選ぶコツ」も少し見えてきた気がします。長くなりましたので、それはまた次の機会に書くことにします。

文:ネイティブ倉重

おすすめのコラム記事はこちら

[セミナー開催のお知らせ]

2018年1月19日(金)に、ネイティブ自社セミナーを開催します。詳細は以下から是非!

【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。