淡路島と聞くと、関西の皆さんには身近な存在だと思いますが、やはり中部以北、特に関東のひとは正直あまり馴染みがないと思います。でもそんな中でも、「あれ?最近なんか淡路島ってよく聞くような気がするな…」って思う方はもしかしたら少なくないかもしれませんね。そう、淡路島は特にここ数年、色んな面でよく話題になっていて活気があります。特に南の端の「南あわじ市」は、賑わいが半端ない!

淡路島の道の駅「うずしお」の人気を支える企画の数々

その渦のど真ん中は、その名の通り、株式会社うずのくに南あわじが運営する道の駅うずしおと「うずの丘大鳴門橋記念館」の二つの施設です。
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(写真:うずの丘大鳴門橋記念館)
その人気ぶりは正に目を見張るものがあります。平日でもひっきりなしに訪れる観光客。お土産物もどれも目を引くものばかり。休日のレストランは、お昼になると必ずと言っていいほど行列ができます。
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この2施設を運営する株式会社うずのくに南あわじは、この5年で何と売上が倍増だそうで、その人気ぶりを証明する業績をあげています。

この賑わいの仕掛け人の取締役、金山宏樹さんから突然連絡をいただいたのが、2013年頃のこと。北海道の地域メディアを立ち上げていた頃でした。「面白いことされてますね〜。ちょっと淡路島にも来て話をしてくれませんか?」。ありがたいことに、最近はちょくちょくこうしたお声がけも頂くのですが、その頃はまだそういうことも殆ど無かったので、何とも言えない嬉しさを感じたことを覚えています。

それから超人気のハンバーガーのPR企画を皮切りに、いろいろとお手伝いをしてきました。中でも、1年前に始めた「おっタマげ!淡路島」と銘打った淡路島全体のブランディングプロジェクトは、企画した我々も想像以上の反響を頂いています。この企画、そもそもが、金山さんの「なんかやりたい!何すればいいですか?(笑)」から始まり、「やっぱり道の駅をもう一段階、上のステージにあげたいですよね?ファンがつくブランド化したいと思いませんか?」という、自分のちょっと無責任な?返しに対して、金山さんの「なら淡路島全体をブランド化したいです!」という、この上なく素晴らしい一言がきっかけで始まりました。
(そんな風に言う若者~金山さんも若干33歳ですが~、正に地域の宝ですよね。あちこちで増えているんですよね…。ホントに。そういう方に出会うたびに感動します。)

で、うちだけでは無理だし、地元でいい助っ人いないかなーっと思って思いついたのが、ココホレジャパンの浅井さん。彼とはすでに「瀬戸内Finder」のフォトライターとしてお付き合いがあり、そのブっとんだご夫婦ぶりに感嘆しながら楽しくお仕事させていただいてました。本業が地域広告ということで、岡山ですが、まあ近いし、是非と思ってお声がけしました。今回はホントに浅井さんたちが素晴らしいアイデアのおかげで、あれよあれよと話題になって行ったんです。

そのきっかけになったのが、この「たまねぎキャッチャー」。

店頭に設置したとたん、お客様が「淡路島、狂ってる。」という秀逸なコピーとともにその写真を投稿したところ、なんと約8,000以上もリツイートとされ、一気に話題になりました。休日には長蛇の列になるほどの人気で、1年間の通算プレイ回数はすでに7万回を超える「おばけキャッチャー」になっています。老若男女だれもに食いつきがいいのがこの企画の特徴です。やはり「玉ねぎ」自体の愛らしさ、ちょっとナンセンスな雰囲気がマッチしたんでしょうか。

その後はもう、新聞、テレビの取材の嵐です。取材攻勢は今も続いていて、こちらのおっタマげ淡路島企画サイトの下の方に、ずらり紹介されています。

半年たったところで専門家に依頼し、その広告換算価値を試算したところ、何と、1億5千万円!今なら軽く2億円は超えていると思います。投資対効果は数十倍どころではありません。
正直、ここまでバズったのは自分の16年のデジタルマーケティングの経験でも初めて。自分がいちばん「おっタマげ」ました。

地方を沸騰させる2つのポイント

さて、こうした企画。今回は我々も想像以上の集客効果をあげていて、本当に嬉しいんですが、少し冷静に眺めていてふと思うことがありました。
一つには、やはりアイデアはやはり重要。ココホレさんのセンス、さすがです。浅井さんはもとより、上の動画の後半にでてくる、黒尽くめの怪しい人物が、アートディレクターの、自称”佐藤かしわもち”こと「さとうたかよし」さん。オンライン会議でもいつもそのセンスに感嘆し、アイデアに大笑いさせてもらってます。しかも今回はやはりシンプルでわかりやすいことと、名産の玉ねぎを思いっきりとんがらせることにフォーカスしたのも良かったかなと。

ただ、こういう面白くていい企画アイデアって、もちろんココだけって言う訳ではありません。他の地域も面白くてセンスが良くて話題になっているところありますよね。ただ、今回、(手前味噌ながら)すごいなと思うのは、単に話題になっただけでなくて、それを実際の集客に結びつけて、しかもちゃんと売上にかなりの高確率でつなげていることなんですよね。しかもそれが長く続いている。これは単にアイデアの良さだけでは説明できません。

そう。もう一つ重要なポイントは、やはり「実行」(エグゼキューション)なんです。当たり前といえば、当たり前ですが、でもやっぱりつくづく今回はそれを強く感じました。

先ほどの玉ねぎキャッチャーもそうですが、実はお店のスタッフが一人かかりっきりで盛り上げているんです。成功すると鐘を鳴らして「おめでとうございます〜!!」ってやってます。しかも成功率をあげるために、アームを強化したり、玉ねぎの配置を工夫したりして、11~13%の成功率をキープさせてます。そこそこ成功しないとやはり楽しくないですもんね。この企画自体の費用対効果は下がりますが、これこそが玉ねぎキャッチャーは、ロングヒットにさせている要因なんです。

こうした地道で力強い”実行”力は、これまでこの「うずのくに南あわじ」のスタッフの皆さんが、金山さんのリーダーシップのもとに、ここ数年かけて培ってきたものに他なりません。レストランも、おみやげショップも、美味しいものが次から次へと出てくるし、なんか活気があって、配慮が行き届いてて、いい感じだし・・。これはまさに、こうした日々の「実行」の賜物なんですね。
その基盤があって、その上にタイミングよく、ちょっとイケてるアイデアがポコンと乗っかると、大ブレイクする。これが地域を沸騰させる必須条件なんだと思います。

地域に求められるのは、正に「アイデア&エグゼキューション(実行)」。このお仕事では、それを強く感じて、学ばせていただきました。「おっタマげ!淡路島」企画はまだまだ続きます。どうか皆さん、ご期待ください!

写真、文:NATIV.倉重

追記: 「おっタマげ!淡路島」企画、第5玉「タマ泣き美人コンテスト」開催!こちらも大きく話題になりました!

【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。