Q岡山市への移住を決められたきっかけは?

東京で個人の会計事務所に20年以上勤めていたのですが、事務所の所長が引退されて事務所を閉じることになったのが、移住を決めた直接のきっかけです。違う事務所を紹介してもらえるという話もあったのですが、何かを生産するような仕事をしたいという思いがあり、以前から興味を持っていた農業の世界に飛び込んでみることにしました。
もともと東京に住んでいた頃から、自宅のベランダにあるプランターで植物や野菜を育てたり、毎週学習型体験農園に通って農の体験をしたりしていました。土への憧れ、農業への憧れといったものが自分の中にあったんですね。ただ、東京ではなかなか農地を見つけることも難しく、退職を契機に移住を検討することにしました。

Q移住するまでの流れを教えてください。

東京で行われていた移住説明会に何度か参加している時に、国の政策で新規就農制度があることを知りました。ただ、研修終了時の年齢が45歳までという条件だったので、その歳を超えてしまう私は利用できず、残念に思っていました。
でも、そんな時に岡山市の担当者から、岡山の制度では研修終了時の年齢の条件が50歳までで、自分の歳でも条件に該当すると聞き、岡山に行こうと思ったんです。
実は岡山の他にも、島根や鳥取といった様々な地域が移住先の候補に挙がっていました。でも、農業の研修制度はもちろん、妻の「雪の降るところは生活が大変そう」と言う意見、そして「海が近いところで釣りがしたい」という私の思い、そのどちらもが叶う岡山への移住を決意しました。
実際に岡山に移住したのは、2014年の1月です。移住してからは、まず1ヶ月間の農業研修がありました。その後、およそ2年間の実務研修を先輩農家のもとで行い、今は農家としての第一歩を踏み出しました。


*岡山市に移住・定住するための情報サイト「おかやま生活」

Q現在の生活について教えてください。

現在は研修でお世話になった方から畑を借り、1年を通して小松菜の栽培を行っています。また、農家の部会に所属して、出荷もしています。他の作物もそうですが、小松菜も季節によって育ち方が違って、大変さもありますが同時に面白さも感じています。農業を頑張って安定した生活を送って、後から移住してくる人たちの見本になれたら良いなと思っています。将来的には先輩の農家さんのように年齢を問わず、生涯現役で働きたいです。
現在は、畑から車で5~10分ほどの場所にある家に住んでいます。私と妻、それに6匹の愛猫が一緒に暮らしています。農家なのでまとまった休みはありませんが、近くでイベントなどがあれば、ドライブがてら見て回ったりするのが私たちの楽しみです。そういった点では、岡山での生活を夫婦共々満喫していると思います。また、移住してからは、よりお互いを必要とする存在になりましたね。

Q移住してみて苦労したこと、事前に調べておけばよかったことは?

東京に居た頃は、週に1回、車に乗る程度の生活でしたが、岡山では車に乗らない日はないくらい、車中心の生活です。特に妻は、農具や収穫物を運ぶ軽トラに慣れていないせいもあり、運転が難しく感じるようです。街中と比べて公共交通機関が多く通っているわけではないので、これから先、車の運転ができなくなった時の移動手段が、唯一の不安ですね。
仕事の面では、まだ安定した収入を得るための収穫や、出荷のサイクルが掴めていないように思うので、しっかりと目標を決めてそれに向けた取り組みを頑張っていきたいと思っています。

Q移住後に感じた岡山の魅力とは?

やはり食べ物でしょうか。特に果物や魚はすごく新鮮で、東京で食べていた物よりも美味しく感じますね。また、今住んでいるところは海も山も近く、季節になれば山にたけのこを採りに行ったり、海で趣味の釣りを楽しんだりと充実しています。ご近所さんに野菜などをいただいたり、自分でもいろいろな野菜を作ることもあるので、食材に困らないところも嬉しいですね。
それから、人の温かさです。移住当初は土地に馴染めるか不安でしたが、近所の方や農家仲間が色々と気にかけてくれ、岡山の人の優しさを実感しました。皆さんとの交流がなければ、寂しい移住になっていたかもしれませんね。他には、マルシェなど様々なイベントが県内各地で行われているのも魅力的です。

Q移住を検討されている方へのメッセージ・アドバイス

まずは「飛び込んでみる」ことが大事なのではないでしょうか。農業を目指す場合もそうでない場合も、知らない土地だからと身構えて移住を断念してしまうよりも、一度きりの人生なので、いろいろなことを経験した方が楽しいと思いますよ。