昨年くらいから、日本でも「民泊」という言葉が一般になり始めています。一般人の自宅を旅行者に開放し、受け入れることを言っていますが、その世界的なプラットホームとして、Airbnb(エアービーアンドビー)というサービスも一気に日本でも認知をあげているのはご承知のとおりです。しかし、そうした知識がある人が全て、本当に彼らが何をしようとしているか、どうしてこれほど世界を席巻するサービスになっているかを説明できるとは言えないのではないかと思います。

実は、「あんな危ないものを広めるやつらはどうせ…」と思っている方や、創設者のジョー・ゲビアの名前を目にしたことのない人に是非ご覧になっていただきたい動画があります。これは彼が、2016年の2月にTEDで行ったプレゼンテーションです。既にご覧になっている方も少なく無いと思いますが、そうした方にさえ改めて見る価値もあるのではと、私は思います。

官民で観光に関わっている方も、”デザイン”という言葉がつく職業の方も、そしてシェアリングエコノミーという価値観の変化に興味がある方にも、必見です。

(※うまく再生されない方はこちらでも見られます。)

私も、このプレゼンには大変強い感銘を受けました。(少し前に、NHKの「スーパープレゼンテーション」でも紹介されていましたね。)
同時に「どうりで…またやられてしまった!ったく…」という嫉妬や羨望の念?(笑)も湧いてきました。

自分が地域観光に関わるようになって、日々考えるようになった「旅行」という人類の活動の本質についても、改めて考えさせられました。(それについては、また後日こちらに書きたいと思っています。)

空き部屋の活用術とか、不動産で儲ける新しい仕組みとか、ホテル不足の解消とか、そういうレベルの思考では無いのは確かです。もちろん、このサービスのこれからの社会的インパクトは未知数ですし、功罪もあるでしょう。ここまで来る道のりも、このプレゼンだけに語られていることだけで来たとは思えませんが、世界を変えるイノベーションには、それにふさわしいとてつもない規模の思考が背景にあるのは事実です。

少なくとも事業として近い位置にいる我々は、彼らの考え方そのものに直接触れなければ、その真意を受け取れないばかりか、今後起こってくる大きな動きに対応することはできないでしょう。

スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表した時に、「あれは、ネイルの長い女性には不向きだ」と論評した人がいました。自分は、世界を一気に変えるイノベーションは起こせそうにはないですが、少なくとも「そうした人」にだけはなりたくないと思っています。

皆さんは、この動画を見てどう思われましたか?

(文章:NATIV倉重)

【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。