株式会社オマツリジャパンのビジョンは、「祭りで日本を盛り上げる」。一度聞いたら忘れないインパクトを持つ同社は、地域の祭りが直面する人・モノ・金・アイデアといったありとあらゆる悩みを解決していく、お祭りプロデュースの会社です。1987年生まれの若きリーダーに、先行者のいない「お祭りビジネス」を立ち上げるまでのリアルを聞きました。ソーシャルビジネスで起業しようと思っている方は必見です。

株式会社オマツリジャパン

2014年に創業した、「お祭りビジネス」専門のスタートアップ。2017年4月には、キリンホールディングスはじめ複数の企業やエンジェル投資家から資金調達し、8月には新規事業としてお祭りプラットフォーム事業開始。2017年中にお祭りクラウドファンディング事業も開始予定。


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オマツリジャパン代表取締役 加藤 優子

1987年練馬区出身。2012年武蔵野美術大学油絵科卒業。 日本の伝統文化好きが高じて、漬物メーカーに就職したかたわら、オマツリジャパンの活動を開始。2014年に一念発起して退職し、オマツリジャパンを任意団体として創業し、2015年に法人化。好きなお祭りは青森ねぶた祭り。

記事のポイント

  • インパクト・共感・ビジネスモデルの3つを揃える
  • 創業時の自分にアドバイスするなら「1人でやるのはやめたほうがいい」
  • お祭りビジネスは、すごくポジティブで、すごく可能性がある

美大卒のお祭り大好き女子が、起業する

──2017年4月の資金調達、おめでとうございます!

ありがとうございます!キリンホールディングス、第一勧業信用組合の運営するかんしん未来ファンド、株式会社SHIFT代表取締役丹下大氏の運営するMSERRT、シリコンバレーの投資家の鈴木陽三氏、株式会社ゼロワンブースターと、多くの方に支援いただいて、いまやっと事業が加速しはじめたと感じています。

──もともとは、一人で創業されたんですよね。

美大を卒業してからは、日本の伝統産業に関わりたいという思いから漬物会社に就職したんです。パッケージデザインをしたり、漬物の検食をしたりしていました(笑)。大好きなお祭りについては、休日をメインに社会人サークルのようなイメージで、大学時代の友人たちと地域のお祭のポスターデザインや舞台装飾などを手伝っていたくらいでした。ただ、やっていくうちにお祭りの仕事が多くなってきてしまって。それで、思い切って仕事を辞めたんです。

──会社を辞めるときはどんな感じなのか、読者の皆さんも興味があると思います。

あまり覚えていないのですが、「ちょっとお祭りで地域活性化の活動をやるので」みたいな感じで伝えました。会社のみんなは応援こそしてくれたものの、「それ大丈夫なやつ?」「お祭りの会社って何?」といった意味不明そうな反応が大半で、今思い返せば、当時はきちんと説明できていなかったなとも思います。そもそもビジネスモデルもしっかりしていませんでしたし。最初は会社員時代の自分の貯金100万円を資本金にして、1人でスタートしました。

──美大出身で、ファーストキャリアも漬物会社。ビジネスの知識やお祭りプロデュースのノウハウはどこで覚えたんですか?

私も最初は、お祭りを助けることが事業になるとは思っていませんでした。きっかけは、たまたま友人のお父さんが商店街の副会長さんで、チラシやポスター、装飾などを趣味で手伝ったこと。これがすごく喜ばれました。その時、ふと周りを見回してみたら、どのお祭りも同じようにいろんな悩みを抱えていることに気づいたんです。まずは自分の住んでいる関東を中心にいろんなお祭りに出入りしていたら、ありがたいことに引き合いが来るようになっていきました。依頼があるならもう少しやってみよう、次はもっとこうしてみよう、というのを少しずつ試行錯誤した結果、お祭りを元気にするオリジナルのノウハウが蓄積できたと思っています。

創業にあたって必要なビジネスの知識は、オマツリジャパンのサポーター200人プロボノとして、お祭りの活性化を手伝うメンバーのみんなが助けてくれました。創業前は、ピッチやビジネスコンテストにも働きながら出場していたので、ビジネスプランの作り方やプレゼンの準備などはサポーターに助けてもらった部分も大きい。「お祭りが楽しい」という、ただ一点で集まったメンバーでしたが、バックグラウンドも専門性も全く異なる多様な人がいたのでかなり助けられましたね。だから、創業して最初のオフィスは、場所にすごくこだわったんです。