2025-02-14
ふりむけば山、見上げれば高い空。パン職人が見つけた"ちょうどいい"暮らし~東大和市~
「空がやけに高く感じるんですよね」 そう語るのは、2020年に東京都大田区から東大和市へ移住し、パン屋「くじゃくベーカリー」を営む井関剛さん(38歳)です。都会のビル群に囲まれた暮らしから一転、山の稜線が見えるこのまちで、家族とともに新しい人生を切り拓いています。
▼子育てを機に移住を決断
子育てするのにちょうど良い都市機能と自然が魅力の東大和市での暮らし もともとは大田区・大森で暮らしていた井関さんご夫婦。子どもの誕生を機に「もっとゆったり子育てができる環境はないだろうか」と考え始めたそうです。 「大森はとにかく人が多くて道が狭い。満員電車での通勤が当たり前で、当時は"これが普通"だと思っていました。でも、子どもの将来を考えたときに、もう少しスペースや自然がある場所の方がいいかもしれないと感じ始めたんです」 そんな折、奥さまの実家がある東大和市へ足を運ぶ機会が増え、すっかりまちの雰囲気や空の高さに魅了されたといいます。 「都会に比べて空が広く感じるんです。車を走らせると山の稜線が見えて、視界が開けた感じがする。なんだか心が落ち着きました」
▼車社会だからこそ見つけた"理想の物件"
広く高い空の下、自然遊びを満喫できる子育て環境も魅力 移住の最大の理由は、パン職人として独立するにあたり、「理想の場所があった」こと。井関さんは広尾のベーカリーで修業したのち、自分の店を構える物件を探していました。 「東大和市の隣・武蔵村山市は都内なのに駅がない市として有名で、車利用率が非常に高いんです。駅前出店にこだわる必要がないなら、むしろ広い駐車場があった方がお客さんも立ち寄りやすい。そこで今の物件を見つけたとき、"ここしかない"って思いましたね」 店の目の前にはスーパーやガソリンスタンドがあり、少し歩けば川や畑もある。都会の便利さと自然の豊かさが同居した立地が、井関さんの理想とぴたりと合致したのです。
▼地域の温かさが支えに
開業当初は、既存のパン屋さんと競合するのでは、と少し構えていた井関さん。しかし、その不安はすぐに消え去りました。 「オープンして間もない頃、すでに地域でパン屋を営んでいる方が『一緒に盛り上げていきましょう』と挨拶に来てくれたんです。本当にあったかいなと思いましたね。蒲田で育った自分からすると"よそ者"扱いされるのではと身構えていたので、驚きました」
▼子どもたちに"焼きたてパン"の感動を 地域のイベントや自然体験が身近に! イベントではパンを焼くワークショップも盛況 そんな地域のあたたかさに後押しされ、井関さんは「東大和みらい基地」などの団体とコラボしながら、イベントにも積極的に参加しています。 「子ども向けにパン作りのワークショップをやったり、バーベキューに合わせてパンを焼いたり……。子どもたちが"焼きたて"に触れてキラキラする様子を見るのは、こちらも嬉しくなりますね。地域の中で"パン屋としてできること"を考えながら動けるのは、とてもやりがいを感じます」
▼都心との程よい距離感が魅力 東大和市は都心から約35kmの距離。電車なら西武線や多摩モノレールを利用すれば立川へもすぐですが、井関さんは車を使うことが多いといいます。 「月に1度くらいは都心に出ますが、立川駅まで車で行って、そこから電車に乗るのが便利ですね。都心で刺激を受けた後、このまちに戻ってくると"帰ってきたな"って気持ちになります。自分にとっては、こっちが今のホームなんだと実感します」
▼"何もない"が実はちょうどいい 「"東大和市は何もない"って思う人もいるでしょう。でも、人の温かさや程よい自然、生活のしやすさが揃った"ちょうどいい"まちだと思います」と語る井関さん。 そんな思いは店名にも込められています。「くじゃく」という少し不思議な響きには、実は深い意味があるのです。 「海外に行ったとき、なぜか孔雀に縁があって。インドでは孔雀の絵をしつこく売りつけられたり、イタリアのローマ動物園では放し飼いの孔雀の群れに囲まれたり。日本には"孔雀明王"という仏様もいて、疫病を食べてくれる守り神とされるそうです。ちょうどコロナ禍だったので、縁起の良さもあって"くじゃく"に決めました。子どもが覚えやすい動物の名前というのも、理由のひとつなんです」 Instagramでパンの通販を始めたのも、「お店に来られない人にも、東大和の魅力を届けたい」という思いから。都心や遠方の人がその味に触れ、「この街に行ってみたい」と興味をもつきっかけになれば、と井関さんは話してくれました。
▼地域に根ざし、パンを焼き続ける くじゃくベーカリーのインスタグラム 自然体験や地域イベントも満喫 「何もないんじゃなくて、まだ気づかれていないだけ。それを発見するのが楽しいんです」 移住から5年。井関さんはこのまちに、この暮らしにしっかりと根付いています。 「車社会に合わせたお店づくりや、地域イベントへの参加など、やりたいことは山ほどあります。人と繋がるほどに、新しいアイデアがどんどん生まれるんです。東大和市にもっとにぎわいを作れたら最高です」 子育ても、パンづくりも、自然と共に。井関さんの"ちょうどいい"暮らしが、これからの東大和市をますます魅力的な場所にしていきます。 東大和市の暮らしについては、市の公式サイト東京ゆったり日より 東やまとで詳しい情報をご紹介しています。
東京での新しい暮らしに興味をお持ちの方は、東京都が運営する東京たましま移住定住ポータルサイトや、地域との関わり方を提案するプラットフォームSMOUTの特集ページもご覧ください。
新しい暮らしのヒントが見つかるかもしれません。