

今、目の前に、大根菜が大量にある。正確には、大根の『間引き菜』である。スーパーの野菜売り場ではなかなか見かけない代物であろう。この大根の間引き菜たちは、私の家庭菜園で、すくすく育ってくれたものだ。根っこの部分はまだ小さいが、葉は青々としていて美味しそうだ。こんなに立派に育ってくれて、感無量である。この間引き菜を食べることが楽しみで、冬期の家庭菜園を始めたと言っても過言ではない。
今回は、ほぼ家庭菜園初心者の私が、冬野菜を育て始めた話をしたいと思う。
冬の家庭菜園を始める
フリーランスの漫画家は、意外と忙しい。仕事の案件をこなしながら、自費出版用の原稿も描く。最近はお祭りやイベントで、似顔絵を描く屋台を開いたりもしている。まだまだフリーランスとして、どんな稼ぎ方があるのか、模索しているところである。時間はいくらあっても足りない。
でもなぁ~…と思う。せっかく隠岐の島に移住して来たのになぁ~。仕事ばっかりしているのも勿体ないなぁ~…と。私が憧れた田舎暮らしってなんだっけ?
この時、すでに9月下旬。散歩しながら周りを見ると、ご近所さん達はすでに冬野菜の世話をしている。早いお家は、8月頃からすでに、種まき・苗植えを終えているのだ。
いいな、家庭菜園。私も隠岐に移住して来たばかりの頃はチャレンジしていた。ここ数年は忙しくて出来ていないが、ホントはまたやってみたい。
「冬野菜か~…」冬野菜の栽培には、少々苦い思い出がある。実は隠岐に来て1年目の冬、畑で冬野菜を育ててみたことがあったのだ。だが、上手く成長しなかったり(おそらく肥料が足りなかった)、虫に全部食べられたりと、結果は散々だった。以来、冬野菜の栽培は初心者には難しいと、苦手意識が出来てしまったのである。
でもなぁ~…と、また思う。やらなきゃいつまで経っても初心者のままだしなぁ~…。でも、農具を揃えようと思ったら、結構お金かかるしな~。今、そんなにお金ないしな~…。
うだうだ思考はまだまだ続く。「土づくりはどうしよう?」畑は始める前に、肥料や石灰等を混ぜて、土づくりから始めなければならない。それらが土に馴染むまで、最低でも1週間はかかる。時、すでに9月の末。今から土づくりを始めても、種をまけるのは10月頭である。もう時期的に遅いか…。やはり無理せず来年にするか…。でも1年も待つのもな~…と、頭の中でずっとぐるぐる迷い続けていたわけである。
そんなことばかり考えてたので、ご近所さん達との会話も、家庭菜園の話ばかりになる。その時、大根の話を聞いた。大根は種まきの際、一つの穴に3~5粒ずつ種を一緒に入れてまく。種の発芽率が100%ではないため、複数の種をまくことで、少なくとも一本は確実に発芽させるためである。そして発芽して、成長した後は、最もよく育った若葉以外は間引いていく。間引き菜は、柔らかかくて灰汁が少なくて美味しい。人によっては、わざと多めに種をまいて、その成長過程で間引く若葉を楽しみに、大根を育てているのだとか。
それを聞いたとき、何故か無性にときめいてしまった。なんか田舎暮らしの達人っぽくて素敵!
そして、ときめきは人を突き動かす。「私も…私も間引き菜を食べたい…!」今から大急ぎで準備すれば、間に合うかもしれない!こうして私は、冬野菜の栽培に必要な資材を求め、島唯一のホームセンター『ジュンテンドー』に向かったのだった。
大根を植える
ジュンテンドーで、私は『おでん大根』という品種の種を買った。(名前が良い。おでん大好き!)通常、大根は8月~9月中旬に種まきをするのだが、この品種は10月上旬に種をまいても問題ないそうだ。病気にも強く、初心者でも育てやすいとのこと。
大根以外にも、白菜やブロッコリーといった冬野菜の苗を買ってみた。移住1年目に全滅させてしまった野菜たち…リベンジである。
前回、冬野菜の苗たちを全滅させてしまったのは、肥料不足だけでなく、害虫対策をしてなかったのも大きい。冬野菜はアブラナ科が多い。そしてアブラナ科は虫がつきやすい。青虫、アブラムシ、ヨトウムシたちの大好物なのである。
そこで私は、家庭菜園のエキスパートであるご近所さんたちに勧められて、楕円形の支柱と不織布も買った。これでトンネルを作って畝を覆い、虫から物理的に野菜を守るのだ。
1週間という突貫で土づくりを終え、不織布のトンネルも作り、ようやく大根の種をまくことができた。だが、種はなかなか芽を出してくれなかった。1日に何回も様子を見に行った。土からちょこんっと小さな葉が生えているのを見つけて「あ!ついに芽が出た!」と喜んだら、ただの雑草だった。がっかりした。でもしばらくすると、ようやく大きなカイワレのような芽が、一本、また一本と生えていき、後は特に手をかけなくても、あっという間に大きくなっていった。

こうして、現在に至る。大きくなった大根達は、今や狭そうにぎゅうぎゅうに畑に生えている。どんどん間引いて、どんどん料理して食べていかないと!今日から毎日大根菜パーティーである。
おススメ大根菜料理
■納豆と大根菜の和え物
■豚肉と大根菜と卵の中華炒め
■大根菜の高菜風ピリ辛炒め
■菜めし
他にも、漬物にしても良いし、シンプルに味噌汁に入れたり、お浸しにしても良い。それでも余れば、湯がいた大根菜をしっかり水切りして、冷凍保存すれば良い。今年は冬の間中、大根菜を楽しむことが出来そうだ。
家庭菜園は楽しい!
今回、本格的な家庭菜園を始めてみて感じたのは「家庭菜園は田舎暮らしにおいて最高の趣味だ!」ということである。
まず、どうすれば野菜がより良く育つのかと、試行錯誤をする楽しさがあるし、手間をかければそれに応えるように、元気に育ってくれる野菜たちとの対話も面白い。あと、家庭菜園という共通の話題を通して、地元の人たちと仲良くなれるのもとても良い。
でも、何より素晴らしいのは、『自然の恵み』を体感できることである。それを感じた時、「ありがたい」と、心の芯から充足感が沸き起こる。お腹だけでなく、心も満たされるのだ。
おまけ
▼あーささんの記事一覧
隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る
《第1話》移住のきっかけ~
《第2話》地域おこし協力隊で漫画を描く【前編】
《第3話》地域おこし協力隊で漫画を描く【後編】
《第4話》隠岐の夏・隠岐の盆
《第5話》隠岐の虫事情
《第6話》大根の間引
《第7話》冬の憂鬱の特効薬?!隠岐の冬を10倍楽しむ方法
《第8話》隠岐ならでは?隠岐の『期間限定スイーツ』
《第9話》『隠岐移住の決め手は?→生活そのものがレジャー』
◆◇◆━━━━━━◇ プロフィール ◇━━━━━━◆◇◆

【ペンネーム】あーさ
【居住市町村】隠岐の島町
【UターンorIターン】Iターン
【移住前の居住地(都道府県)】愛媛県
【年代】40代
【お仕事】漫画家
【好きなこと】仕事で漫画を描くこと 趣味で漫画を描くこと
隠岐の美味しいご飯屋さん巡り インコを吸うこと
【Love shimaneとしてひと言】
隠岐の島町に愛鳥と共に移住して早4年。暇さえあれば家にこもって漫画を描いているため、まだ訪れたことのない隠岐の観光地がたくさんあるという、なんとも残念な体たらく。
そんなインドア派でオタクでおひとり様の私ですが、ここ隠岐の島町で豊かな暮らしを楽しんでいます。
普段は引きこもり、たまに外に出て隠岐の自然や人々との交流を楽しむ…そんな私の日々の感動をお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。







