「移住者を増やしたいが、なかなか数字に結びつかない」「観光客は来るが、一度きりで終わってしまう」……。
多くの自治体が抱えるこの課題に対し、全く新しいアプローチで成果を上げているプロジェクトがあります。

今回は、私たちFLNの関係人口創出事業で取り組んだ事例のひとつ、VTuberを起用した「タレントの関係人口化」とその劇的な成果について詳しく解説します。

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「観光以上、定住未満」という新しい繋がり

関係人口とは、その土地に住んでいる「定住人口」でもなく、一度きりの観光で訪れる「交流人口」でもない、地域と多様に関わり続ける人々を指します。
少子高齢化が進む中で、自治体同士が住民を奪い合う「移住施策」だけでは限界があります。そこで、「住んでいなくても、そのまちを想い、支えてくれるファン」を増やす方向へと、国全体の舵が切られたのです。2026年度末には「ふるさと住民登録制度」の施行も予定されており、この流れは今後さらに加速していくでしょう。

「まちスパチャ」プロジェクトが目指すもの

私たちが3年前から取り組んでいるのが、「まちスパチャ」プロジェクトです。 コンセプトは非常にシンプル。「地域 × VTuber × 企画」を掛け合わせ、ファンにとってそのまちが「第2、第3の地元」と思えるようなコンテンツを作っています。

まずはタレント自身がその地域を本気で好きになり、関係人口になってもらう。つまり、単なる「宣伝」ではなく、タレント自身の「関係人口化」からスタートします。タレントが自ら特産品を楽しみ、地域の人と触れ合い、愛着を持って自分の言葉で語る。その熱量がファンに伝わり、「推しが愛する地域を、自分たちも応援したい」というポジティブな連鎖を生むのです。

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岡山県新見市:バスツアー応募数が前年比800%超!

具体的な成功事例として、岡山県新見市での取り組みを深掘りします。

課題:制度はあるが「きっかけ」が足りない

新見市には、市外に住みながら地域を応援する「新見市ふるさと市民」という先進的な制度があります。しかし、制度自体があまり知られていないことや、登録後の「市民としての具体的な関わり方」をどう提示するかが大きな課題となっていました。

施策:VTuberの時雨ミトさんと歩んだ「関係人口化」のプロセス

ここでのポイントは、時雨(しぐれ)ミトさん自身がまず新見市のファンとして、地域に深く関わったことです。
彼女は実際に新見市の特産品を自ら楽しみ、歴史を学び、その魅力を自身の言葉でファンへ伝え続けてくれました。その発信が、2025年「新見市ふるさと市民にーみーとツアー」は当選倍率2倍以上となる応募数を得ての開催へと繋がるのです。バス車内モニターに映像を映しながらVTuberが訪問先の案内・バスガイドを行うなど、移動の時間も参加者からご好評いただきました。

▼訪問先
①おかやまジビエみなみ
②夢すき公園
③牛弘(昼食)
④満奇洞
⑤MSファーム
⑥観光案内所

VTuberがバスガイドを務めて観光地の説明などをリアルタイムでアナウンス、満奇洞内でVTuberのイメージカラーにあわせた特別ライトアップを実施するなど、まさにファン心理が地域をかけあわせた企画です。

新見市内の観光地「満奇洞」

VTuber時雨ミトさんのぼり掲示

ほかにも、ツアーでまわる訪問先の写真をSNSに投稿することでVTuberのオリジナルポストカードがもらえるラリー企画など、ツアー終了後も新見市に対する言及が続く取り組みとなっています。

結果:一過性で終わらない「継続的な絆」の誕生

その結果、ツアーの応募数は前年比で800%を超えるという異例の事態に。定員を大幅に上回る申し込みが殺到しました。

しかし、本当の成果はイベント終了後に現れました。

  • リピーターの発生: ツアーから1ヶ月後、SNSには「また新見に来て、あの時食べた肉を食べている」「ライトアップが忘れられず再訪した」というファンの投稿が続出。
  • 広域的な応援: 首都圏で開催された自治体の展示会へ、「新見市が出展しているなら」とファンの来訪が発生。
  • SNSでの資産化: ハッシュタグを通じて新見市の魅力が拡散され続け、街のデジタル資産として残り続ける。

ファンにとって新見市は、もはや地図上の点ではなく、「自分の大切な居場所(=第2の地元)」になりました。これは、タレント自身が関係人口として新見市を愛したからこそ生まれた、唯一無二の絆と言えます。

のちに時雨ミトさんは、「リスナーの皆とここ数年の思い出を振り返ったときに、こんなことあったねと必ず話題にあがるであろう取り組みになった」とこのツアーを語ります。同時にファンにとって新見市は、もはや地図上の点でも単なる行ったことある場所でもなく、異人・体験・拠点が合わさった「関わり続けたいと思えるまち」になりました。これは、タレント自身が関係人口として新見市を愛したからこそ生まれた、唯一無二の絆と言えます。

▽プレスリリースはこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000441.000058260.html

地域の未来を「推し活」でアップデートする

今回の事例は、タレントを単なる広告塔として扱うのではなく、「地域の一員(関係人口)」として迎え入れることで、持続的なファンコミュニティが形成されることを証明しました。

私たちは、この「タレントを起点とした関係人口創出」が、日本中あらゆる世代をまだ見ぬ地域とつなぎ、地域課題を解決する一つのヒントになると確信しています。

さらに詳しく知りたい方へ

今回ご紹介した新見市の事例について、新見市の自治体担当者様と深く掘り下げたセミナー「【関係人口戦略セミナー#2】ふるさと納税×関係人口の連携を考える 〜寄附者を地域のファン・担い手につなぐ実践アイデア〜」のアーカイブ動画を無料配信中です。

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