公務員としての実体験から語られた「マーケティング」読本
「マーケティング」に関する著書は、それこそ星の数ほどあります。
しかしその殆どは、デジタル・マーケティングにせよ、データ・マーケティングやコンテンツ・マーケティングにせよ、「手法」の種類で細分化して語られているか、コトラーなどの大家から本質を探るものが多い気がします。
そうした中で、こちらはその職業としての立場で「マーケティング」を掘り下げた、ある意味、レアな切り口。
しかも、まさかの「公務員」からの…です。
2018年には地方公務員アワードを受賞されているので、ご存知の方も多いかと思います。本著はその「公務員」としての立場や、実践から得られた知見を活かし、自治体内の企画や政策立案にどう反映していけばいいかなどが細かく解説されていて、「公務員が考えるマーケティング」の一つの方向性を、丁寧に紐解かれています。
また「地産品をいかに拡販するか?」というわかりやすい事例をベースに書かれているので、公務員の方はもちろん、幅広い人に理解しやすい内容になっています。また後半は、公務員としての気概や仕事の本質、やりがいを熱く語られていて、公務員という職業が大きく変わり始めているんだということを強く感じさせられました。
過日にご紹介した、HOLGの加藤年紀さんの著書『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』にもありましたが、各地が危機的な状況にあるなか、それをなんとか突破しようとするパワー溢れる方たちが、本当にたくさん、あちこちで活躍し始めています。こういうことが、もっと広く知られるようになれば、本当に世の中が大きく動き始めると思います。
ともすると「どこもうまくいっていない」とか「大失敗だ」「金の無駄遣いだ」というトーンで語られがちな「地方創生」分野ですが、決してそうではない!と声高に叫ぶ人がここにもいました。岡さんは、「マーケティング」という思考を武器にして、大きな成果をベースに、糸島から強烈メッセージを発信しています。その声が、一人でも多くの方に届くのを願わずにいられません。
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【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。