Profile

栗岩 秀彦

73歳 レストラン経営
静岡県出身 1991年に移住

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「・・・今日は風が強いよね。こないだとなりの小屋の屋根が飛びそうになったんで、さっきまで見回りに行ってたんだよ。それにしても、一気に冬がきちゃいそうだね。」

静岡県三島市で生まれ、動物や植物が好きで東京農業大学で学び、卒業後は養蜂を実践・研究する企業に勤めた。

独立する前に世界を見てみようと、5年かけて世界1周の旅をしてきた栗岩さんは、下川町に錨を下した。

エキゾチックで、ほぅっと心の奥底が整うような不思議な空間に、下川に移住してくる「ヨソモノ」たちは、真っ先に魅せられ、心のよりどころにする。

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本場仕込みの本格インドカレー「モレーナ」の看板猫、アーネスト。

動物と自然に囲まれて、旅をしながら暮らしたい

下川に移住を決めたのは、世界一周の旅の最中でした。

もう5年も終わりのないような旅をしていたのですが、日本に帰ろうと思って。

 

どこに帰ろうかと考えていたときに、古い友人が住んでいた名寄市を思い出したんです。

滞在していたリスボンから「名寄の近郊で、自然が豊かな場所で暮らしたいから探しておいてくれ」と葉書を書いて。「下川に3つほど空き家が見つかったよ」という返事をもらって、下川に来ました。3つの家のうち、この家に即決して暮らし始めました。

当時はまだ世界の絵は珍しかったのか、絵を売ったり、個展をして稼いでましたね。

 

あとは、農業の手伝いとかして。でもそのうち絵も売れなくなってきて、どうしようかと思ったときに、

ウチのやつが「レストランにしたら」って。

こんなところにレストランなんかやって、人なんか来るのかと思ってたけど、まあ、おもしろいかなと思ってさ。

旅に出たら、スケッチに絵を描く 世界一周の旅でも、絵を描いて売りながら生活していたという栗岩さん。今も旅先で絵を描くことは欠かさない。

人がやっていないことをやり、新しい文化を創っていく

そこから、友人も巻き込んでみんなでこの家を改修しました。どうせやるなら、人がやっていないことをやりたかったから、カレー屋にすることを決めて。

改修やスパイスにこだわって仕入れていたら、オープン日には、通帳には2万円しかなくてね。お客さんがくるかどうか、すごく不安だったけど、ふたを開けてみたら、下川や名寄の人を中心に、洪水のように人が来て。

 

北海道新聞にも取り上げてもらって、見出しは「発想の転換。離農跡でレストラン」。今も覚えています。

当時、本場のインドカレーなんて食べる機会がなかったから、残していく人も多かったよ。カレーがスープみたいだから食べなれてないからね。でもそこは妥協しなかったんだ。これは、一つの食文化だから、きちんと紹介したかった。

 

ちなみに、ここのカレーのレシピは、1年間インドで滞在していたときに近所のカレー屋に教えてもらったんだ。

代わりに僕はフラメンコギターを教えてあげて。人生の経験って、何がどこで活きるか、わからないよね。