ネイティブでも以前から紹介している福岡のベンチャー「うなぎの寝床」。ビジネスを通して、九州地方に眠るものづくり・文化の価値を社会に改めて問い、継承につなげてきた企業です。
そのうなぎの寝床が12月1日から新たに東京新川分室を中央区新川にオープンしました。早速編集部がオープン初日にうかがい、新拠点の位置づけと今後の展望を代表白水高広(しらみずたかひろ)さんに聞いてきました!
地域に根づいてきた企業が東京に拠点を設ける目的とは。

うなぎの寝床 関連記事

株式会社うなぎの寝床

九州の筑後地方に拠点をおき、その地域の魅力的な「ものづくり」をアンテナショップや通販を通して発信する異色のベンチャー。立ち上げ期にプロデュースした現代風久留米絣(くるめがすり)もんぺは大きなヒットとなり、東京や大阪など全国で販売される。外部から資金調達をせず、売上高は年1.3~1.5倍のペースで安定成長を継続する。2017年は12月決算で年間1億7,500万円程度の売上を見込む。(10月時点)
>うなぎの寝床コーポレートサイト

新拠点は「東京の八女」に。

ー東京に新たに拠点を設けた経緯、また位置付けを教えてください。

白水さん:中央区新川にあるこの明祥ビルは、まるごと一棟、Soiという建築家の二人がここをリノベーションしてオープンしたビルなんです。それでSoiのお二人に声をかけていただいて、立ち上げることになりました。

もんぺなどの卸をやっていて、以前から東京で見られないかというお話があったのでショールームとして立ち上げました。また、東京からだと事務所とアンテナショップがある福岡の八女まで地理的に遠いので様々なコミュニケーションの窓口として都心部に設けたというのが立ち上げの経緯です。卸の拠点、活動全体のショールーム、そして地方に足を運んでもらうためのハブになれば良いかなと考えています。

ー声をかけていただいたというSoiのお二人とはどのようなつながりですか?

余白というカットソーメーカーが運営しているショップが台東区鳥越の方にあるんですけどそこの内装をSoiの二人がやっていて、それをきっかけに知り合いました。うちの活動をずっと見てくれていて、今回声をかけていただいたというわけです。

色んな地域の人たちに入ってほしいというところがあるようで、1階には仙台のコーヒースタンド、うちの隣には山形のアパレルが入っています。そういう点でビルの活動のコンセプトがあっているように感じています。

うなぎの寝床新川分室内装

ー新川という場所はどうですか?

もともと全然知らなかったんですけども、最初に来た時に、中央区にあって、茅場町・八丁堀から歩いてすぐでアクセス良いなと。この立地で公園もあって景色もいい。でも都会っぽさもそこまでなくて、用事がないとなかなか行かない場所。そういう意味ではちゃんとめがけて来た人とゆっくり話せる場所としていいのかなと思っています。

ー(本拠がある)八女っぽいですよね。

そうですね!

「イギリス式」の地域と都市の関係

ー今後の展望は?

新川分室としては他の地域のポップアップストア(期間限定の店舗)をここでできたりすると、面白いかなと思っています。

うなぎの寝床全体でいうと、佐賀でアンテナショップを作る動きがあったり、新潟でもプロジェクトが動き出していたりと、各地域でお店をやりたいという人たちにノウハウを提供して転用していけたらと考えています。うちはお店をやってるように見えるんですけど、リサーチの仕事といった側面もある。どこにどんな作り手がいて、どういったところで売れるか。そういったリサーチ部門みたいなものを今後ちゃんとやっていきたいと思っているところです。

ーショップ自体を自分たちで展開していくわけではないということですか?

そうですね。他の地域の人と組むなら、そこの地域に住んでいて、そこで主体性を持ってやっている人達にノウハウを提供しながらやろうと思っています。自分たちが進出するというイメージではないです。

うなぎの寝床東京新川分室内装2

ー実際に東京に拠点をオープンしてみてどうですか?

今日も早速、某都内美術館でうなぎの寝床のポップアップストアをやろうといったお話が出たりと、反響を感じています。いくらWebや交通インフラが発達したとはいえ、まだまだ東京に人口が集中しているので、東京とコミュニケーションをとりやすい状態にするのは大切ですね。

ーたとえ地域の企業でも東京との関わりは不可欠だということですね。

日本は東京に主軸をおく仕事が多い。それに対して私がイギリス式と呼んでいる働き方があります。イギリスは貴族の人たちが地方にお城を持ってそこに拠点があるのが重要で、ロンドンは営業活動拠点として捉えているらしいんですよ。どこに拠点があるのというのが一番重要。そこに誇りを持ちながら、仕事はロンドンが中心なので営業拠点として持っている利用している。

ー日本でいう〜出身みたいな意識がより強くなったイメージでしょうか。

東京は全く悪くなくて、コミュニケーションをとりやすくためには人が集中していることも重要。だから、ルーツを持ちながらも、東京と関わっていけたらと思っています。

取材・文:宮嵜涼志(編集部)
写真提供:うなぎの寝床

●うなぎの寝床 東京新川分室

  • 店休日:火、水
  • 営業時間:11:30〜18:00
  • うなぎの寝床コーポレートサイト:http://unagino-nedoko.net
  • 住所:〒104-0033 東京都中央区新川1-11-10明祥ビル2階