【移住×2拠点】たくさんの縁をつないでコロナ禍を生きる注目の2拠点生活とは?
オーナーの奥平大(おくだいら はじめ)さんは、2017年に鳥取へ移住、以後鳥取で生活をしながら今年の夏から福岡との2拠点生活を始められました。
今回は鳥取と福岡を行き来する奥平さんに移住のこと、2拠点生活についていろいろとお話を伺ってきました!
プロフィール
福岡県福岡市出身の奥平さんは横浜の大学を経て、地域おこし協力隊として農業が盛んな福岡県大刀洗町へ移り住まれます。
地域おこし協力隊では、地域のイベントに参加したり自治コミュニティ施設の活性化に取り組んだり、農家さんとの体験農園など、まちづくりのネットワークを広げながら3年間の任期を終えられます。
その中で北九州のリノベーションスクールに参加したことがのちに、鳥取への移住へとつながっていきます。
地域おこし協力隊から福岡の久留米市で1年程働き、そこで鳥取でリノベーションスクールがあることを知り、個人的に遊びに来られたのが鳥取との最初の出会いでした。
奥平さん:ほとんど何のイメージもなかった鳥取だけど、そこで会った人たちがおもしろそうな暮らしをしているなぁと思いました。
人口が少ないからこそそういった人たちの存在はより際立ち、リノベーション関係や行政の人たちなど一気に鳥取での知り合いが増えたそうです。
奥平さん:福岡の場合は自分から行動しないと出会えないけれど、鳥取の場合はあちらから来てくれる。笑
福岡から来た変わったヤツがいる、というのでめずらしかったのかも。
「自分から求めにいき行動できる人は凄い!」とおっしゃる奥平さんですが、やはり短い期間で濃密な出会いとつながりが作れることも、凄いスキルではないかと思います。
そして知り合いが増えたことがきっかけで、住む場所もあり仕事を手伝ってほしいという依頼もあり、特に高いハードルはなく鳥取へ移住して来られました。
移住してからの鳥取での生活(最初にハプニング有)
鳥取に移住して最初の仕事で予想外の出来事があり、2~3ヵ月程で仕事がなくなるというハプニングが。
なかなか記事にはしづらいのですが、奥平さんが移住するにあたって各方面で機会を提供してくれていた人と突然連絡が取れなくなったそうです。
そんな中、別の知り合いの飲食店のオーナーさんから声をかけてもらい、鳥取駅近くの飲食店で仕事を再開することができました。
奥平さん:鳥取に来るまでは何のハードルもなかったのですが、来て早々に「なんてことだー!」と思いました。笑
その後、飲食店で半年間働いた頃、もともとリノベーションスクールで知り合った不動産の人から物件の紹介があります。そこで奥平さんの知り合いで独立のため物件を探していた人と不動産屋さんの両者をつなぎ、一件落着!と思いきや、二階建ての物件の一階部分が空いてしまうことになり、「あ、」というちょっとした気づきから奥平さんが一階部分でお店をすることに。
奥平さん:自分でもちょっとびっくりしたんですけど、家賃の問題もクリアしていたし、物件のオーナーさんも知っている人だったので、やってみるか、という感じでした。
移住からちょうど1年後の2018年4月、鳥取市の中心地に立ち飲み屋「おくだいら商店」がオープンしました。
それから2年後に、今回おじゃました智頭町の古民家カフェ「YANAGIYA」を開いた奥平さん。移住してわずか3年でお店を2つオープンさせるという機動力と行動力、脱帽です!
智頭町に拠点を移して
おくだいら商店の営業が順調な中、当時智頭町の町づくりに関わっていたリノベーションスクール時代の講師から「智頭の起爆剤になるような場所を作ってほしい」ということで奥平さんに声がかかります。
物件を一目見て気に入った奥平さんは、2019年の春、智頭町でカフェをしようと決断されました。
そして準備が整った約1年後、新型コロナウイルス感染症が広がり始め、全国的に「緊急事態宣言」が発出された数日後の2020年4月11日、智頭の古民家カフェ「YANAGIYA」がオープン。その2日後には休業というまたしても予想外の出来事でした。
奥平さん:コロナ禍にオープンしたYANAGIYAは、何が正解かわからない中での営業でした。イベントは軒並み中止になり、智頭は関西圏からの観光客の方が多いので、お客さんがとにかく少なかったです。
さらに鳥取駅前も人がいなくなり、おくだいら商店も新型コロナウイルスの影響を大きく受け、仕事的には苦しかったです。
その対策として、お店でお客さんを待つのではなく、しばらくは控えていたイベント出店や、鳥取市内での出張カレーなど自分から外に出るという活動を始められたそうです。
また冷凍カレーやコーヒー豆の販売をインターネットで始めたところ、知り合いがツイッターで拡散してくれたりと、自然と周りの人の協力が得られるのも奥平さんの人徳ですね。
そして2021年の春、自分の中のさまざまな葛藤に決着をつけ、最初のお店である「おくだいら商店」の前向きな閉店を決断。現在、おくだいら商店は冷凍カレーやコーヒー豆のweb shopとして運営されています。
智頭のYANAGIYAは、週末は八頭の天然食堂「つきとおひさま」さんが出店されたり、新たな出店者さんを募集したりと、レンタルカフェスペースとして営業されています。
鳥取⇄福岡の2拠点生活開始
コロナ禍になって2年目の夏前から、奥平さんは鳥取と福岡を行き来する2拠点生活を開始。
理由の1つは福岡での仕事の依頼と、もう1つは実家に住むご家族を心配してのことでした。
奥平さんの場合は、移住先の鳥取と勝手知ったる福岡との2拠点生活ですが、そのメリットとデメリットを伺いました。
2拠点生活のメリット
①場所を変えると気分がリフレッシュされて仕事が捗る
ワーケションでもよく言われることですが、環境が変わるだけでとにかく気分転換になり、仕事にも良い影響があるそうです。
さらに実家の空気感は何にも変えられないリラックス効果があるとおっしゃる奥平さん。
②新たな発見がある
福岡はコロナ禍でも新しいお店が続々とオープンしていて、新しい情報を入手してお店をやっている知り合いにその情報を提供したり、新しいエッセンスを取り入れることで視野が広がっているようです。
2拠点生活のデメリット
①体力的にしんどい
仕事柄荷物が多いのと2匹のネコと暮らしている奥平さん。そのため鳥取〜福岡間の移動は毎回車で、8時間程かかる移動距離に慣れるまでは大変だったとか。
②金銭的負担
移動費など、今までになかった金銭的な負担はやや増えたそうです。
2拠点生活をするようになって、苦労していることや困っている点はあまりないそうですが、あえて言うならばこの2つが挙げられるようです。
奥平さんの場合は鳥取とご実家ということもあり、滞在先を気にすることなく、金銭的な負担も軽減できる「鳥取⇄実家」という2拠点は、おすすめできる理由のひとつのようです。
奥平さん:面と向かっては小恥ずかしいから言わないですが、家族の顔が見られるのは僕にとってはものすごく大きいです。
また地元であり有名な観光地でもある福岡の飲食店や、お気に入りの場所の新しい情報を携帯のメモ帳にきれいに整理している奥平さん。今後も更新されるであろう奥平さんの福岡(九州)情報は、九州を旅行する予定の知り合いの皆さんにとっても重宝されているそうですよ。
鳥取の良いところ・今後の活動について
鳥取に移住して約4年半の奥平さんに、改めて鳥取の良いところを伺いました。
奥平さん:鳥取は時間がゆっくり流れている気がします。汽車の本数が少ないのも、かえってゆっくりできるので僕にとってはデメリットではないです。鳥取の人はあまりせかせかしていない感じで、僕は好きです。
また地方のイメージとして、「何もない」「どこへ行くにも遠い」というネガティブなものがあります。
やっぱり車がないと不便ではありますが、意外と県外へのアクセスの良い鳥取は、奥平さんをはじめ、鳥取へ移住してきた人たちからよく聞く話です。
週に何度も通うカフェや、季節に合わせて訪れるお気に入りの場所があったり、お話を伺っていると、鳥取での暮らしはとても居心地が良さそうです。
またご自身でもお店をされているので、お客さんや他の飲食店の人など自然と知り合いも増えていくとおっしゃる奥平さん。
奥平さん:鳥取に遊びに来た人に知り合いのお店をおすすめできるのがおもしろいですね。それだけ今は鳥取での人間関係が濃いように思っています。
ー地域の人との関係性について
移住者の多い鳥取では、何かやろうとしている人が集まり、話す機会も多いとのこと。
また行政や民間の企業のトップの人たちが都市部と比べて身近な存在であり、そのような人たちの話が直接聞けるのが良かったとおっしゃっていたのが印象的でした。
またコロナ以前は同世代が集まるイベントを主催したり、共通の趣味を楽しんだり、飲みに行ったりという中で、鳥取ならではの「知り合いの知り合いは、知り合いだった。笑」ということも多く、交友関係も一気に広がっていったそうです。
もちろん、移住者であることや福岡との2拠点生活に対して、地域の人からよく思われていないのではないかという思いも少なからずあるそうですが、同じように移住してきた人や智頭に住む奥平さんの周りの人たちは、その活動を応援したり、温かく見守っている方が多いように感じました。
奥平さん:他県同様、鳥取県は移住支援が手厚いと思います。空き家に住む際に使える補助金や、起業する場合などにも、各市町村によってさまざまな支援内容があるのでチェックしてみるといいかもしれません。
僕の住んでいる智頭も移住者が多く、情報の共有をしたり仕事の会話ができたり、いろんな人たちが集まって、話をしていて気持ちのいい場所が鳥取にはあります。
ー今後について
コロナ後を少し見据えて、今後の活動について構想中の奥平さん。
まずは鳥取駅前の商店街(サンロード)で、今年の12月にメキシカンのお店がプレオープン予定なのだそうです。
お店の中の何かを好きになってくれて、愛着を持ってくれるスタッフさんと一緒におもしろいことができたらと、その採用に力が入ります。
気になる方は、インスタグラムをチェックしてみてください!
以上です。
多様化する暮らし方や働き方のヒントに
落ち着いた口調と、時には大変だったことを冗談交じりにお話してくださる奥平さんは、とにかく生きていく力の強い人という印象でした。
それは奥平さんの物腰の柔らかさから垣間見える冷静な決断力や思い切った行動力から感じたことです。
これからますます多様化する暮らし方や働き方の中で、奥平さんの生き方には私たち周りから見ても新しい発見や気づきがあるのではないでしょうか?
これから移住や2拠点生活を考えていらっしゃる方へ、少しでも参考になれば幸いです。
今回伺った智頭のYANAGIYAも落ち着いたとても雰囲気のいいお店だったので、奥平さんが手がける次の新店舗も楽しみです。
この記事を書いた人
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