記事のポイント
- HOSTEL KAGの成功の要因
- クラウドファンディングの本当の価値
株式会社クラビズ
時代の変化に対応しながら、「面白いもの」を倉敷から日本中や世界中に発信することを目指し、企画、広告、Webシステム、ポスティング、そして冷えとり靴下のくらしきぬと幅広く事業を展開。平成26年度に子育て応援宣言を行い、平成29年に県知事賞を受賞。
クラウドファンディング成功の過程
前回紹介したクラウドファンディング「HOSTEL KAG立ち上げプロジェクト」。その支援募集期間が昨年12月末に終了しました。
迎えた最終日、のべ105名の方から、目標金額200万円を大きく上回った2,445,100円もの支援が集まりました。
約40日間に設定された支援期間。HOSTEL KAGは最初の三日間で目標金額の30%を超え、目標金額200万円を期間終了の一週間前に達成することができました。
HOSTEL KAG立ち上げプロジェクトは見事成功を収めることが出来ました。が、その道のりは決して安易なものではありませんでした。
今回挑戦したのは「All or Nothing」という、設定した目標金額に達成して初めて支援金が手に入る支援方法。初めての試み、支援金のみで200万円という大金を集めることは極めて困難でした。事実、多くのクラウドファンディングが目標金額を達成することなく支援期間を終了するという現状があります。
最近では、著名人の利用などで話題にのぼることも多くなったクラウドファンディングですが、実際利用をしたことがあるという人は周囲を見回しても未だ数少ないのではないでしょうか。ましてや、地方ともなるとクラウドファンディングのような新たな支援システムを取り入れる人の割合も減少すると考えられます。
そこで、クラビズは企業向けの大口のリターン枠を設けました。クラビズという地方企業の取り組みを知ってもらい、同様に地方を盛り上げたいと考える企業から多数の支援をいただくことが出来ました。
そしてもう一つ、鍵を握ったのがページのデザイン。株式会社クラビズの主事業となるWEBデザインのノウハウを生かした。金安亮氏のイラストに合わせて統一されたページは、シンプルながら洗練された印象を読者に与えました。
企画とデザインが支援者の輪を拡げ、HOSTEL KAGプロジェクトを成功に導いたのです。
クラウドファンディングの本当の価値
クラウドファンディングによって得られるのは資金だけではありません。むしろそれにも増して重要だと言えるものが得られました。
それは、支援者一人一人の倉敷に対する思い。
支援者からは、一言メッセージを添えて支援が寄せられます。そのメッセージ欄には、それぞれの倉敷への思いが綴られていました。
「倉敷を盛り上げてください!」「楽しみにしています!」「同じホステルに働く者として応援しています!」
「ホステル立ち上げを通して倉敷を盛り上げていきたい」という想いへの多くの共感を集めることができたのです。
クラビズ代表の秋葉さんは「知り合いからの紹介で、未だ面識のない方から高額枠に支援してくださった方もおり、皆様からの期待をひしひしと感じている。支援金を活かせるよう、新たな集いの場を倉敷、そして世界中の皆様に提供したい。」と話します。
クラビズの代表・秋葉さん
クラウドファンディングは、HOSTEL KAGに希望を寄せる人々と企画元であるクラビズとの、地域の連帯感をより強固なものへと昇華する橋渡しとなったといえます。ロジックより共感が刺さる現代においてその価値は大きいのではないでしょうか。
「倉敷をもっと面白い街に…。」秋葉さんの熱い想いから始まったこのプロジェクトは、倉敷、岡山の地元市民に確実に浸透してきています。
オープンは今年の春。HOSTEL KAGの今後にも目が離せません。
取材・文:編集部
写真提供:株式会社クラビズ
●秋葉優一
岡山県倉敷市に生まれ、大学で上京して30歳まで東京で人材・IT業界でのスタートアップなどを経験。2007年地元である倉敷に戻り、実家の家業を継ぐ。地方から世界に通用する企業をつくるため日夜奮闘中。
●株式会社クラビズ
- 住所:岡山県倉敷市昭和2丁目1-68
- 設立:1972年
- 代表取締役:秋葉優一
- 事業内容:企画・広告・デザイン・WEB・システム・ポスティング・EC事業・ホテル事業