移住×ローカル】地方創生の仕事をきっかけに移住!地域を盛り上げる楽しい場づくり!

今回は、地方創生の仕事をきっかけに鳥取に移住した諸岡若葉(もろおかわかば)さんにインタビューさせていただきました!

現在、諸岡さんは八頭町にある閉校になった小学校の校舎と敷地を活用した施設「隼Lab. (はやぶさラボ)」で、コミュニティマネージャーとして建物の管理・運営、広報からイベント企画・運営まで、幅広い仕事を手がけていらっしゃいます。

鳥取に移住されるまでの経緯や、移住してからの暮らしや仕事について色々と伺ってきましたのでご紹介していきます。

プロフィール

宮崎県出身で高校卒業まで宮崎で過ごし、その後東京の大学で民俗学を学ばれます。
民俗学を選ぶきっかけになったのは高校のときの先生のある言葉から。

卒業後の進路を考えたとき、特に何かになりたいというのがなかったため先生に相談すると、「授業の中で何をやっているときが楽しい?」と聞かれたそうです。

もともと好奇心旺盛でいろんなことに興味があったため、週1回の総合学習の時間が楽しいことに気がつきます。

その総合学習というのが、地域のおじいちゃんおばあちゃんから昔の暮らしのことを聞いたり、農業や林業をやっている人から仕事の話を聞いたり、聞き書きを通して生き方やものの考え方を学ぶという授業内容でした。

そこから違う世代の人や、まだ働いたことのない高校生の自分の知らない世界の話を聞くのが楽しいと感じ、それが民俗学へとつながっていったそうです。

そして常々「1度は都会へ行った方がいいよ」というお父さんの勧めもあり、諸岡さんの好奇心は東京の大学で民俗学を学ぶという進路へ向かっていきました。

諸岡さん:民俗学という学問の中で昔の暮らしや文化を学ぶことも好きだったけれど、同時に今の自分の暮らしや現代の人々の日常生活にも興味があったので、あとになって考えるとそういう好奇心が、今地域で働くことや地方の働き方、暮らし方を創っていくというところにつながっていったのかなと思っています。

東京で気づいたこと

東京暮らしのはじめは、例えば電車の乗り方ひとつとっても知らないことがあるほど、新しい刺激の多い世界だったとおっしゃいます。

ただその後すぐに、「大学で授業を受けてアルバイトをして家に帰る」という繰り返しで成り立ってしまう日々に、“せっかくの東京での4年間がこれではもったいない”と気づき、今ある環境以外での新たな出会いを求め、インカレサークルに入り他大学の人たちとの交流を始められます。

諸岡さん:都会に出て気づいたのですが、田舎で土を触ったり、おじいちゃんおばあちゃんと話をするのが好きだったなぁと。だから農業ができるインカレサークルを探しました。笑そこで農業の手伝いをしたり、つながりのできた農家さんの野菜をマルシェで販売したり、大学の勉強とは別の多くの学びがありました。

大学卒業後、岡山へ

大学生活やサークル活動をする傍ら、飲食店でアルバイトをしていた諸岡さん。
そこでの出会いが、大学卒業後の新天地へとつながっていきます。

働いていた飲食店はアパートのワンフロアにあり、その建物の大家さんが飲食店のオーナーさんでもありました。

その大家さん兼オーナーさんが、アパートの入居者が壁紙を決められるようにしたり、当時ではまだ珍しかった「賃貸であっても住みたい暮らしを自分たちで創ることができるように」ということを実現させていた人でした。

また飲食店では、食材の生産者さんとのつながりを大切にしたり、使う割り箸などの素材にもこだわったりと、オーナーさんは今でいうSDGsやサスティナブルな暮らしを早くから意識されていて、とても尊敬する方だったようです。

当時周りは就職活動真っ只中で、諸岡さん自身も卒業後の進路について悩んでいた頃、オーナーさんが岡山県の西粟倉へ誘ってくださいました。

地方創生で有名な西粟倉。
実は飲食店の割り箸やアパートの床材などが西粟倉産だったそうで、オーナーさんは西粟倉の方ともつながりがあったそう。気になり自分でも調べてみると興味が湧いたという場所へ実際に行ってみることに。

いざ行ってみると西粟倉はやっぱりおもしろくて、「次はここで働きたい!」と思われました。
特に仕事の求人があった訳でもなかったそうなのですが、その後入社する会社の社長さんが新たな会社を作るタイミングだったということもあり、その場の口約束で大学卒業後の仕事先が決まります!!

諸岡さん:就職活動で当たり前のようにリクルートスーツを着るのが嫌でした。
その我慢の先に行きたい場所があるとは思えない、、
そんなときに西粟倉に行き、仕事先も見つかり、本当にいろんな縁を感じます。

このご縁を「割り箸1本で移住しました!笑」とお話しされる諸岡さん。
もともとの好奇心と、この行動力と引き寄せる力!
なかなかできることではないですが、学ぶべきことも多いです。

そして約2年間会社の立ち上げを経験し、岡山の西粟倉で充実した日々を過ごし、いよいよ鳥取へ。

隼Lab.との出会い

人口1500人の西粟倉では、地方創生の地域づくりに関するあらゆる業務に携わっておられました。最初4〜5人から始まった会社も約2年の間にものすごいスピードで人数が増え、拠点も広範囲に渡っていったそうです。

諸岡さん:会社も規模が大きくなったと同時に、私自身もこの会社で経験できることは十分できたのではないかと満足してしまいました。

次のステージに行くために転職を決意。
そこからがまた諸岡さんらしさ全開の展開でした!

西粟倉にいた頃から鳥取市へは休みの日などに何度となく足を運んでおられたこともあり、西粟倉の会社を辞めたときには、ふと「鳥取で働いてみたいな」と思われていたのだとか。

そこで前職の有給消化期間中に鳥取での仕事を探してみるもののなかなかピンとくるものがなく、でも「きっといい出会いがある」という直感もあったそうです。

いよいよ休暇が終わる1週間前に訪れた八頭の隼Lab.で転機が待っていました!

当時できたばかりの隼Lab.でカフェがオープンするというので、オープン初日に足を運び、そこで隼Lab.の運営者である古田琢也(ふるたたくや)さんと出会います。

その日は少しの会話でしたが、その後SNSでつながった古田さんから隼Lab.に誘われ、現在に至るというまさにミラクル!!(←ご本人談)笑

隼Lab.での仕事

隼Lab.で働き始めて約3年。

前職とは地方創生や地域づくりに関する分野で近いところはあったそうなのですが、隼Lab.での仕事内容は多岐にわたっています。

まずは隼Lab.という建物の管理・運営。電球を替えることから、大きな建物には管理事務がたくさんあるとおっしゃいます。

そして隼Lab.は、八頭町の中で「持続可能な未来の田舎をつくっていくための拠点」として創られた場所なので、隼Lab.を訪れた人たちや地域の人のコミュニティを豊かにするためのイベントを企画したり、交流する機会を作ったり。

諸岡さんはここでコミュニティマネージャーとして日々奮闘されています。

さらに今後の八頭町の地域づくりに向けて、プロジェクトの提案・推進から移住支援、ふるさと納税に至るまで、行政とのやりとりも多いそうです。

また隼Lab.のチラシやパンフレットは、基本的に諸岡さんが作っているとのこと。

諸岡さん:文章やイラストを書いたりチラシなどを作ったりすることは、隼Lab.の仕事というより自分ができることだったので、それが隼Lab.に活かされている部分なのかなと思います。

大学も西粟倉や鳥取への移住も自分の好奇心に沿って決断してきたということもあり、仕事においても、小さなことでも自分で考えてやりたいことをやるのが仕事のやりがいだとお話しされる姿に胸を打たれました。

同時に隼Lab.での今後の課題もあります。

今後の課題

地方創生や地域づくりへの関心が高まる中で、そのような仕事をやってみたいと思う次の世代の人たちもいらっしゃると思います。

諸岡さんが隼Lab.で地方創生に携わりながら感じておられる課題は、今ご自身が一人でやっている仕事を次の人にどのようにつなげていくことができるかということです。

諸岡さん:他の人が入って来ることで良くなることや隼Lab.の新たな一面が生まれることがあると思っています。またコミュニティマネージャーというあまりない職種だからこそ、新しい人材がその幅を広げることができるのではないかと考えています。

実際にコミュニティマネージャーという仕事は何をやっているのかあまり知られておらず、場所によってもいろんな意味合いがあるため、興味を持ってくれている人たちへ「コミュニティマネージャー」という仕事をうまく伝えられていないのではないか、と自問自答することがあるとおっしゃいます。

また自身のキャリアアップについては常に課題に感じているところなのだそうです。

筆者もよく考えることなのですが、自分がどう成長していくかは自分で道筋を立てて築いていかなければならないし、特にひとつの地域の中でキャリア形成していくというのはなかなか難しいことですよね。

諸岡さん:今は八頭町や隼Lab.で自分にしかできないことができているけれど、地域が変わったとき、例えば地元の宮崎に帰りたいと思ったとき、今やっていることが八頭町を出てしまうとゼロになってしまうのではないかと感じています。

それでも選んでいる以上はやっていかなきゃ!と笑いながらお話しされる諸岡さん。

目の前の人や仕事に対してとことん誠実。エネルギッシュでやる気に溢れていました。

1日のスケジュール

鳥取・八頭での暮らし、来てみて良かったこと

休日は家のことをして過ごすのが好きなのだそうです。

西粟倉から連れてきた猫と一緒に、心地のいい暮らしを自分で選びながら創っていく、常に心にあるそんな思いを大切に鳥取での日々を送っていらっしゃいます。

より良く暮らすために休日はホームセンターに行き木材を調達して、家の中の小さなストレスを少しずつ改善していくのが楽しいそう。

車を運転するのも好きで、海沿いを走ったり好きなお店に行ったり。

仕事では、例えば隼Lab.で毎月1回開催している「はやぶさにちようマーケット」での新たな出会いや出店者さん同士をつなぐ場づくりができることに、喜びややりがいを感じていらっしゃいます。

諸岡さん:ここに来て良かったのは、人が集まる場づくりができることです。その中で自分の思い描く風景を創ることやその場所の価値を上げていくのが好きなんだと思います。

まさにコミュニティマネージャーとしての視点ですね。

諸岡さん:鳥取の良いところも悪いところも知っている人たちが周りにいて、その人たちが地域がより良くなるために考え、それぞれの持ち場で毎日働いています。そんな地に足のついた人たちと一緒に働けることで、私も同じように、今自分が暮らしている鳥取や八頭町のために頑張りたいという気持ちになります。

地元でも地元でなくてもこんな風に思える人には地方はおすすめだと続けておっしゃいます。

移住を考えている方へメッセージ

さらに移住相談もされているのですが、移住については独自の考え方をお持ちです。

諸岡さん:移住する/しない、地方なのか都会なのかではなく、自分の暮らしや働き方を創っていくのはその人自身なので、どういう暮らしや働き方をしたいのかを軸にそのためにはどこに行くのかという決め方がいいのかなぁと思います。
私の場合はほとんど直感ですが…笑

ただ地方をおすすめするだけではなく、移住相談では本当のことをそのまま話すように心がけておられます。

諸岡さん:都会に比べて用意されたものがないので、自分で用意する必要があることと好きなように創っていけることが田舎暮らしの良いところで、私自身は楽しんでいるところです。
そんな暮らしや働き方がしてみたいという人には地方はいいんじゃないかなと思います。

あくまで暮らし方や働き方を創っていくのはその人自身なので、まずは自分の好奇心ややりたいことを大切にという強いメッセージを感じました。

試行錯誤しながら鳥取での暮らしを楽しむ諸岡さんこそ、地に足のついた地域づくりができるのではないでしょうか。

今回は移住だけにとどまらず、どのような暮らしや働き方がしたいのかというのを改めて問う内容だったように思います。

今後の暮らし方や働き方、その先にある移住を考えていらっしゃる方へ、少しでも参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

吉井秀三

鳥取市鹿野町在住。東京で20年間IT関係の会社を経て、鳥取にUターン。 鳥取の魅力的な働き方ができる会社や、面白い働き方をしている個人の情報を発信していきます。

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