今回で連載第三弾となる【HOSTEL KAG】プロジェクト。3回目はHOSTEL KAGを企画し実現にこぎつけた株式会社クラビズに焦点を当てる。倉敷で広告業を中心に事業を展開する株式会社クラビズは、どのような会社なのか。なぜ、どんな経緯でHOSTEL KAGプロジェクトを立ち上げるに至ったのか。その背景に迫った。

記事のポイント

  • 株式会社クラビズの「生産性」に対する意識
  • クラビズが地域に重点を置く理由

株式会社クラビズ

時代の変化に対応しながら、「面白いもの」を倉敷から日本中や世界中に発信することを目指し、企画、広告、Webシステム、ポスティング、そして冷えとり靴下のくらしきぬと幅広く事業を展開。平成26年度に子育て応援宣言を行い、平成29年に県知事賞を受賞。

株式会社クラビズとは

現在、倉敷に本社を構える株式会社クラビズは1972年に創業。今期で47期を迎えた。

事業内容は、広告業を主軸に企画、Webシステム開発、ポスティング事業、そして冷えとり靴下「くらしきぬ」の企画販売、そして去年新たに新設されたホテル事業と、多岐にわたる。

今年で創刊10周年を迎える「classs」は倉敷・総社で8万部発行、配布されているフリーペーパー。”倉敷・総社周辺の生活を楽しくする情報誌”として 倉敷に暮らす地元住民のためのコアな情報を、倉敷周辺に暮らすクラビズ社員が発信している。

classs

フリーペーパー「classs」

広告業やwebシステム開発に限っても、ウェブサイトの制作からWEBマーケティング、セミナーの開催まで幅広く手がけ、クライアント企業のブランディングを多方面から支える。

2012年に誕生したくらしきぬ事業のそもそもの始まりは、秋葉氏の妻が靴下の重ねばきで冷えをとる健康法を実施していたこと。これがママ友に広がっていったことから、
冷えとり靴下を企画し、EC事業をスタートさせた。現在では、雑誌の企画で女優の吉田羊さんとのコラボ商品の販売や、事業開始当時から熱望していた美観地区での実店舗オープンも実現し、勢いを増している。

くらしきぬ

冷えとり靴下「くらしきぬ」

業種・業態の垣根を越えて事業を展開し、年々売上高を更新するクラビズ。その仕組みについて尋ねた。

生産性を最優先させる働き方改革

柔軟な発想が生まれる理由の一つに、オープンでフラットな職場環境がある。

倉敷駅前に構えるクラビズ駅前本部は、全面ガラス張りのフリーデスク。ふと周りを見渡すと、部署間の隔たりなく顔を見合わせられ、コミュニケーションが即座に取りやすい空間になっている。

社長の秋葉氏も例外ではなく、毎日フリーデスク内で日々のオフィスワークや社員との打ち合わせを行う。部署や役職の分け隔てなく、誰もが同じ目線で仕事をする空間だからこそ生まれるアイデアも少なくないという。

そして、アイデアの着想から企画化するまでの速さもクラビズの強みの一つ。秋葉氏の「面白い!」の一声で、新たなプロジェクトが動き出すという。
このプロジェクト進行のスピード感も、限られた人数での複数事業の同時運転を可能にしている理由の一つと言えるだろう。

こうしたスピードとマルチタスクを支えるべく、クラビズでは生産性に重きをおいた働き方が推奨されている。プロフィールにもある通り、クラビズは平成26年度に子育て応援宣言を行い、平成29年に県知事賞を受賞している。
秋葉氏は「子育て中の女性にはスキルを持ちつつも働く環境が整っていないことで就業を断念することが少なくない。働き方のしくみさえ整えれば女性が働きやすくなり、本来の力を発揮できるようになるなら、会社にとってメリットになる。」と考え、部署の垣根を超えて女性が活躍できる環境づくりを目指した働き方改革を実施。それが現在の実績を生んでいる。

具体的には、チャットなどの web 上のクラウドサービスを積極的に活用することで、
社内のコミュニケーションを効率化した。これにより、短時間勤務や在宅勤務など時
間や場所にとらわれない働き方ができるようになった。
その結果のひとつとして、子育て中の女性社員をはじめ、女性のみで構成された EC 事業部は、企画から 6 年で通販事業において 1 億 5 千万円規模の事業に成長させた。

現在、社会問題化している残業時間に関しては、一つ一つの業務を見直し、生産性を向上させることで、残業時間削減を実現している。

例えば、コーディング開発を海外企業に外注し、最終工程のみ自社で仕上げることで、短時間で質のいい制作物を生産する。

前述したフリーデスクでの直接的なコミュニケーションと、クラウドを介した間接的なコミュニケーション。2つの連絡ツールを使い分けることで業務連絡を簡略化することができ、業務のスピードは格段に上がったという。

秋葉氏が投げかけた働き方改革により社員個人が生産性を意識し、効率よく働くことが全社共通の認識となる。意識改革により、より柔軟で働きやすい職場環境が生まれ、それが生産性向上に寄与する。クラビズが実践しつつ目指しているのは、会社全体でのそんな好循環だ。

「地方」に焦点を当てる価値観

そんなクラビズが、HOSTEL KAGプロジェクトを立ち上げた背景には、生産性や効率と同時に「地方」に焦点を当てた価値観がある。
秋葉氏は、「日本を元気にするためには地方が元気にならないとダメ。」と話す。広告・企画会社として、日々めまぐるしく変化する情報社会の現状と、それに伴って求められる地方のあり方の変容を感じているクラビズだからこそ、できることがあると考えた。

地元岡山から、地元や地方全体を想う「熱意」とそれを支える「生産性」がクラビズの両輪。その両輪で仕掛けるHOSTEL KAGは、既存の事業を通して発見してきた倉敷の課題解決の糸口となるべく企画され、実現に向けて動いているのだ。

取材・文:編集部
写真提供:株式会社クラビズ

●秋葉優一

岡山県倉敷市に生まれ、大学で上京して30歳まで東京で人材・IT業界でのスタートアップなどを経験。2007年地元である倉敷に戻り、実家の家業を継ぐ。地方から世界に通用する企業をつくるため日夜奮闘中。

●株式会社クラビズ

    • 住所:岡山県倉敷市昭和2丁目1-68
    • 設立:1972年
    • 代表取締役:秋葉優一
    • 事業内容:企画・広告・デザイン・WEB・システム・ポスティング・EC事業・ホテル事業

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