「地元には何もない、ではなく、まず行動してみる。動けば見つかる。」そう話すのは、2019年に東京から日立市へUターン移住し、都内に通勤しながら、日立市のまちづくり事業にも携わっている小泉さん。話を聞くと、移住先での暮らしを豊かにするヒントが見えてきました。
小泉 冬萌(こいずみ ふゆも)さん
茨城県日立市出身
大学進学を機に上京。海外旅行が好きで、台湾旅行の際に利用したホテルのフロントスタッフの対応に感銘を受け、ホテリエへの道を志す。大学を中退後、専門学校に入学し、ホテル関連の専門知識を習得。卒業後は都内のホテルに就職し、主に夜勤スタッフとして勤務。家庭の事情で、2019年8月に日立市へUターン移住。日立市から都内へ高速バスで通勤している。2021年7月から、ひたち若者かがやき会議のコアメンバーとして活動。
この記事の目次
通えそう!自分らしい働き方と暮らしにチャレンジ
―東京から日立市へUターン移住した経緯を教えてください。
東京に住んでいた頃、家庭の事情で、2連休があるたびに日立に帰省していた時期がありました。それを繰り返すうち「あ、通える!」と思ったんです(笑)日立市から通勤すると決め、1ヶ月後にはUターン移住しました。私の職場は羽田空港近くのホテルで、夜勤専門のフルタイムスタッフとして働いています。職場の理解があったこと、この勤務形態だったことでUターンが実現できました。
ーアクティブ!日立市から都内に通勤、なかなか真似できないことだと思います。
実は学生時代にも、日立と都内を毎日のように往復していた経験があるんです。朝が苦手で、実家で起こしてもらい電車で都内の大学に通っていました(笑)1年ほどそんな生活をしていたので、日立で暮らしながら都内に勤務することへのハードルが低かったように思います。
”暮らす場所”としての魅力に気づいた今
ー社会人を経て日立市での暮らしが再スタートしたとのことですが、戻ってきて日立市の印象は変わりましたか?
変わりました!車を運転できるようになったことで、不便さを感じなくなりました。私、中学生のときからすでに日立を出たかったんです。子どもの頃の私にとっての日立は、最寄り駅の常陸多賀駅周辺。当時何もなく、電車が止まってしまうと過ごす場所がなくて困る~という印象だったんですね。でも今は車があるし、「探せばある!」ことが分かりました。個人経営のカフェも増えましたよね。日立は時間がゆっくり流れているようにも感じるので、住む場所としていいなと思うようになりました。
ー探せばある!、まさにそのとおりだなと思います。その中で小泉さんのお気に入りの場所があれば教えてください!
お気に入りの場所は2ヶ所あります。ひとつは、河原子海岸に面した、河原子北浜スポーツ広場(※)です。最近父から「敷地内にドッグランがあるらしい」と教えてもらい、飼っている犬と一緒によく利用しています。駐車場からドッグランまで約1キロと距離がありますが、海に面しているのでその道のりも気持ち良いんですよ。河原子北浜スポーツ広場にはドッグランだけでなく、スケートボード場やパターゴルフ場、芝生広場もあり、ピクニックしている人もよく見かけます。
もうひとつは、諏訪梅林(※)です。子どもの頃から遊んでいた場所で、今もよく散歩に行きます。特に敷地内を流れる川が好きです。水が綺麗で、鮭も遡上してくるんですよ!
以前、夏に従兄弟が遊びにきたときは、朝から海、自宅に戻って昼寝、午後は川へ行き、田舎の夏休みを楽しんでもらいました。
※河原子北浜スポーツ広場:https://www.hasa.or.jp/sports-facilities/kawarago_sport_square/
※諏訪梅林:https://www.city.hitachi.lg.jp/park/page/p002506.html
ーワークライフバランスが充実しているようすが感じられます!具体的に1日をどのように過ごしているかお聞きしたいです。
仕事の日は、朝、高速バスで東京駅まで移動し、電車に乗り換え職場へ。翌朝夜勤明けで日立に戻り、ドッグランに行ったり、気になるカフェや飲食店に行ったりしています。今日も夜勤明けで帰ってきて、教えてもらった御岩神社近くの蕎麦屋に行ってきました。通勤時間は長くなりましたが、その間仮眠がとれるので、日立に戻ってきてからのほうが行動的な気がします。
思いきって飛び込んだ!若者が日立市の未来を考え、アクションを起こす場『ひたち若者かがやき会議』
ーひたち若者かがやき会議(※)のコアメンバーとしても活動されていると伺いました。参加のきっかけを教えてください。
ひたち若者かがやきプラン(※)策定に関する意識調査アンケートが届き、取り組みに興味を持ったことがきっかけです。回答後、市報でひたち若者かがやき会議設立に向けてのメンバー募集のお知らせを見つけ、参加してみました。初回は正直どんなものか理解しきれず…会議後のアンケートに「何するのかわかりません」と回答していました(笑)でも、市のバックアップがあって活動できるっていいなと思い、コアメンバーとして参画することにしました。
※ひたち若者かがやきプラン:
2020年3月に策定した「第2期日立市まち・ひと・しごと創生総合戦略」で掲げられた「若者応援」という重要なテーマを具現化するとともに、日立市の未来を見据えた新たなチャレンジとしての方向を示す計画。
https://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/012/005/p094654.html
※ひたち若者かがやき会議:
茨城県日立市が「かがやく若者であふれるひたち」に近づくための一歩として、若者主体の組織(2021年7月7日設立)。 「コアメンバー」により構成され、まちづくりや地域課題解決、関係人口創出等に対する取り組みを実践。コアメンバーは、市内に在住・勤務又は通学する、満18歳以上満39歳以下の方で、月1回定例を行っている。
ー思い切って地域に飛び込まれたのですね!もともとまちづくりに興味があったのですか?
ちょうど、地域とのかかわりが欲しいなと思っていた時期だったんです。当時、新型コロナウイルス感染症の影響で、週1回仕事に行くか行かないかという状況だったんです。時間があったので、政治のニュースをよく観るようになり、市政に興味が出てきたタイミングでした。
ー具体的にどのような活動をしているのでしょうか?コアメンバーとして活動してみての感想も聞かせてください。
毎月1回、コアメンバーで定例会を行っています。定例会は夜の時間帯が多いので、私は休みの日や夜勤明けの日に参加しています。2021年9月〜11月には初のイベント『ひたち産直講座~地産地消×SDGs~(全3回)』(※)を開催しました。私は残念ながら仕事の都合で参加できなかったので、今後の活動に向けてがんばります。
今まで家と職場の往復という生活でしたが、地域で精力的に活動している方々とのつながりができ、良い刺激をいただいています。参加して良かったなと思っています。
※ひたち産直講座~地産地消×SDGs~:日立市の魅力「山・海・畑」に触れながら、一人ひとりの暮らしがより心地よく自分らしく豊かになるように、それぞれが出来ることは何かに気づき実行していくための“きっかけ”と“学び”を創出する講座。
https://note.com/hitachi_wkk/n/n75fb36b2a3e7
ーひたち若者かがやき会議のメンバーとして、今後チャレンジしてみたいことはありますか?
私が今提案していることはYouTubeです。日立にはスケートボードやサーフィン、ロッククライミングなどの体験施設がたくさんあります。探せばある、でもみんな知らない。知っていても入りにくい。飲食店もそうですね。そこで『私たちが実際にやってみた!行ってみた!』動画をアップして雰囲気を伝えることで、若い人も行きやすくなるのではと思ったんです。『場所がある』ことを伝えるだけでは、若者は動かない。動画や写真で伝えたほうが響くのかなと。2022年度に取り組むプロジェクトのひとつが「発信」なので、うまく組み込んでいけたらと思っています。ひたち若者かがやきプランの基本理念の一つに「失敗を笑わない」ということばがあるのですが、ひたち若者かがやき会議の活動もまさにそのことば通りで、日立市の担当者からもおもいっきりやっていいんだよといってもらっています。それってすごいことですよね。
次はスキルアップ!日立と都内を行き来している利点を活かし、趣味を充実
ーその他に、チャレンジしたいことがあれば教えてください。
仕事上、英語のスキルアップが必要なので、英語の勉強をすることがひとつ。もうひとつは、好きな裁縫を学ぶことで、ペットの服を自分で作りたいんです。都内に教室があるので、仕事終わりに習うのもいいなと。ここ数年でオンラインの講座も増えたので、日立にいながらでもいろいろな受講ができるようになりましたね。趣味のライブもオンラインで楽しむことができて嬉しいです。
ー今後の日立市にのぞむことはありますか?
ひとつインパクトのあるものを作ってほしいなと思っています。例えば、思い切ってスケートボードパークのようなものをつくるとか。日立市に来ないと出会えない、そんなものがあったら楽しいなと思います。
動けば見つかる!自分から地域に踏み出してみよう!
―最後に、日立市への移住を考えている人や、移住先での暮らしを充実させたいという人へメッセージをお願いします。
仕事をする場所と住む場所を分けるのは、気持ちが切り替わって良いなと感じています。ただ、日立市での暮らしを充実させるには、東京より行動力が必要だと思います。受け身でいると場所もお店もコミュニティも見つけるのは難しい。自分から動かないと見つからないけれど、動けば見つかる。「ここには何もない」と文句を言うのでなく、まずは行動してみてください!