優れたスキルや熱意を持つ人が、地域おこし協力隊として力を発揮できるか?
その答えを大きく左右するのは、配属先の職場環境。
行政の担当職員らと思いが共有できるか、しっかりとコミュニケーションがとれるか、といったことが重要なポイントです。
その点、長崎県大村市は、本年度初めて協力隊員の採用に踏み切りますが、隊員と同じ目線に立ち、同じ方向を向きながら、寄り添って前に進んでいこう、と環境整備に努めています。
「こんな人たちに囲まれて仕事をしたかった――」。元協力隊員が、思わずそう口にするメンバーがそろう配属先の部署では「西九州新幹線駅の開業など発展を続ける大村は、まちづくりの好機!まちと一緒にあなたも成長しませんか?」と応募を呼びかけています。
この記事の目次
1. 「大きな村」ではありません!悩みは知名度の低さ
「関東で大村を名乗った際、『大きな村ですか?』なんて言われたこともあるんです……」。
協力隊の配属先となる大村市 企画政策課 地方創生推進室の福江都志室長が、ため息をつきました。
長崎県の「真ん中」に位置する大村市は、県内では活気がある地域として知られています。一番の理由は、県内全市の中で唯一、半世紀以上にわたり人口が増加しているまちだから。日本全体が人口減にあえぐなか、地方でこのような地域はとても珍しいまちです。
市の移住相談窓口である地方創生推進室に寄せられた案件に限っても、2022年度は301件の移住相談があり、うち149人が移住しました。
「選ばれるまち・大村」。魅力がない訳がありません。それなのに、知名度はまだまだ低いのが悩みのタネです。
2. ミッションは、知る。発信する。まとめる。3年目は自らプロジェクト提案も
このような現状を打開しようと、大村市では知名度アップに向けた取り組みを展開してきましたが、まだ道半ば。テコ入れ策の一環として協力隊の採用を決めました。
ミッションは、ヨソモノ・ワカモノ目線での、隊員のスキルを生かした情報発信です。
【協力隊の仕事内容】
1年目:大村を知る。イベントや事業に参加するなどネットワーク作り
2年目:大村を発信する。協力隊独自のSNSアカウントを通じて情報発信
3年目:大村をまとめる。協力隊員の得意分野での市民協働プロジェクト
(例:Youtube→PR動画制作、カメラ→写真集制作、イラスト→絵本制作など)
ポイントは、3年目の「市民協働プロジェクト」。大村の情報発信はもちろん、退任後に向けて隊員のPRにもなるようなプロジェクトになればと考えています。
推進室のモットーは「仕事は楽しくないと!」。福江さんは「推進室メンバーは女性4人ですが、雑談も大切に、何でも話し合いながら事業を進めています」とのびのびとした雰囲気を強調。一方で「いらない話ばかりしているという声もありますが……」と、おどけた表情も。
受け入れる協力隊員は「SNSなどを活用した情報発信に長けた人」を希望していますが、大村市と一緒に、協力隊員も自らの強みを伸ばしていけることを願っているそうです。
3. 目指すのは「大村と言えばこれ!」ブランディング推進への想い
「選ばれるまち」でありながら知名度が低い要因の一つとして、大村市ではブランディング力が弱いことがあげられます。
その背景には、人口が増え続けている、という恵まれた環境があるようです。
国が「異次元の少子化対策」を打ち出すなか、全国の自治体も人口減少対策を最優先課題に掲げ、さまざまな手を打ってきました。ところが、人口が増え続けてきた大村市では、人口減少対策は必ずしも最優先課題ではありませんでした。
「市が掲げてきた人口10万人は、手の届くところに来ていると思います。ただ、その後、いずれかの時点で人口減に転じることは間違いないでしょう」と福江さん。続けて「そうなってから、あれこれ手を打っても遅い。今のうちから、来るべき時に備えて大村のブランディングを強化する必要がある」と危機感を強めています。
大村市の人口増をめぐっては、さまざまな要因が挙げられていますが、これまで総合的にバランスよくまちづくりを進めてきたため、これがあるから人口が増えている!と明確にいえない部分がある、とのこと。
推進室では、協力隊員とも連携しながら「選ばれるまち」の背景をあぶりだし、明確にしたうえで「大村と言えば、これ!」といったブランディングを進めていく計画です。
4. 市役所っぽくない!?受け入れ先はクリエイティブ色の強い個性派部署
協力隊を受け入れる推進室では、市の発展と活力ある地域づくりに向けた事業の企画・実施や、移住に関する情報発信・相談対応、シティプロモーションなどを手掛けています。
この部署の伝統は、のびのびとした雰囲気。機構改革や人事異動を経てもその風土は脈々と受け継がれているようで、いい意味で「市役所っぽくない」と称されることもあるそう。
その風土のおかげでしょうか、シティプロモーションでは実績を多数残しています。
2019年には、移住・定住の促進を目的としたPR動画「大村市なんて大嫌い」を公開。この動画は、第58回福岡広告協会賞WEB映像部門において銅賞、ぐろ~かるCM大賞2019において特別賞を受賞するなど、反響を呼びました。
移住定住促進PR動画「大村市なんて大嫌い」
2021年には、大村市移住定住促進ホームページ「おおむらくらしのおおくらさん」が、地域の魅力を伝える情報誌やウェブコンテンツなどに贈られる「日本地域情報コンテンツ大賞2021」のWeb部門で、優秀賞を獲得。
おおむらくらしのおおくらさん
https://omuragurashi.jp/
このように個性的な取り組みを展開する推進室。きっと協力隊員のスキルも活かせる職場となるでしょう。
5. コンパクトで暮らしやすく 移住者は関東圏からの子育て世代が中心
大村市で移住相談窓口を担っているのが、推進室に所属する移住コーディネーターの岡本美希さん。岡本さん自身も移住者で、生まれは長崎県の旧世知原町(佐世保市)です。
2018年の着任以来、多くの移住者をサポートしてきた岡本さんに、大村の暮らしや移住者の傾向などを聞きました。
――大村での暮らしの魅力は何でしょうか
わたしの主観ですが、まずまちがコンパクトなこと。どこに住んでいても15分もあればどこにでも行けるので、日々の買い物をはじめ何かと便利です。医療や子育て環境も整備されているので安心。幅広い世代が暮らしやすく、困ることがありません。
――移住者の傾向は?
東京など関東からのUIターンが多いです。子育て世代も少なくありません。20~30代の単身者の相談も増えています。近年は、コロナ禍や、国が東京の一極集中解消に向け導入した移住支援金も追い風になっているかもしれません。
――空港、新幹線駅、高速道路インターチェンジがそろうハブシティでもあります
県内に限っても、離島や観光地など、どこへ行くにも楽。小さいお子さんがいる家庭では、移動距離も短い方が楽ですよね。都会からの移住者も飛行機に乗ってすぐ友人らに会いに行くことができ、日帰りする人もいますよ。
――協力隊員が同僚になりますが、期待は
移住と転職で最初は不安も多いと思うので、仕事面だけでなく、生活面でも寄り添うことができればいいなと思っています。私自身も、協力隊の方と一緒に働くことで、大村の新たな魅力を発見できるのでは、と楽しみにしています。
大村市 移住・定住情報サイト
https://www.city.omura.nagasaki.jp/sousei/shisei/syokai/shisaku/torikumi/izyu_teizyu.html
6. アクセス系「3種の神器」もそろう九州のハブシティ!大村市の魅力は
まちの概要編
長崎県内で唯一、52年連続人口増加中!人口10万人弱は県内4位の規模
空港、新幹線駅、高速道路インターチェンジがそろう公共交通のハブ
長崎県のほぼ真ん中。県内外どこへ行くにも便利
ちょっと田舎、ちょっと都会な「トカイナカ」
医療機関や就職・創業支援策も充実
暮らし編
都市機能がぎゅっと詰まったコンパクトシティ。ベッドタウンとしての役割も
転入者が多いから?「ヨソモノ受け入れに抵抗がない」風土も
移住コーディネーターを配置。移住後の暮らしまでしっかりサポート
妊娠期から子育期まで、切れ目のない助成支援策を用意
「ミライon図書館」は収蔵能力202万冊で九州最大規模!
7. 任期満了後の選択肢と可能性 副業や兼業も容認
協力隊の任期は、最長3年間。任期満了後には、協力隊時代の活動を通じて得たスキルや人脈、コミュニティーなどを足掛かりに、引き続き活動エリアに留まる選択肢もあります。
地元企業への就職、起業独立に加え、「公共交通のハブ」という大村の大きな特徴を生かして2拠点生活を送ることも考えられます。
大村市には、起業したり地元企業に就職したりする形で活躍している移住者もたくさんいますが、推進室では「行政とつながりがある移住者も多いので、いろいろな方を紹介できます」と任期後のフォローも協力を惜しまない構えです。
推進室では「任期中であっても、将来的に進む方向性が固まれば、任期後の仕事がスムーズにいくよう自分の仕事を始めてもいい」と、隊員の副業や兼業も認める方針です。
8. 募集要項
応募のご希望やご質問は、下記お問い合わせフォームからお願いします!
応募に関する問い合わせはもちろん、地域おこし協力隊や移住に関する質問もお気軽にどうぞ!
本採用は、日本一の協力隊のサポーターを目指す協力隊OGOBによる組織「長崎県地域おこし協力隊ネットワーク」がサポートしています。
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ハブシティ・大村で諦めない人生にフライトオン!先輩移住者インタビュー(長崎県大村市・地域おこし協力隊募集)
企画・設計:NCN
取材:NCN / 竹内 章(NCNサポーターズ)
記事編集:NCN
記事執筆:竹内 章(NCNサポーターズ)