和歌山県が、2018年4月から企画している起業・就農、就労の体験プログラムが

「わかやま しごと・暮らし体験」です。

利用者が希望する事業者のもとで「しごと」を体験しながら、

周辺地域の先輩移住者や地域住民の方との交流を通じて「くらし」の体験を行い、

移住後の生活をイメージすることができます。体験費は無料です。その“体験先”をご紹介します。

ベーカリーテラス ドーシェル

住所:和歌山県海草郡紀美野町釜滝417-3
事業内容:パン製造とカフェ

 

和歌山県海草郡紀美野町。山間の細い道を抜け、急な峠道を上ること10分。広い空の下に現れる緑に囲まれた木製の店舗が「ベーカリーテラス ドーシェル」です。多くのファンを持つ言わずと知れたパンの名店で、開店日には県内外から多くのお客さんが訪れます。

オーナーの戸田晶さんは、隣町の海南市生まれ。しばらくサラリーマンとして働いていましたが、このまま続けられないと考え、パン屋の道に入りました。しばらくの修行の後宝塚市でパン屋をオープンしましたが、阪神大震災で被災。地元の近くでパン屋を再建する道を探し、たどりついたのが、紀美野町でした。

「僕は生まれが海南市で、このあたりに知っている人がいたので、結構すんなりこの地域に入れました。でもこの頭なので、最初来たときには、近所のおばちゃんにヤクザかと思われて(笑)。この地区あまり移住してきた人がいないから、みんな慣れてなかったんですね。」

同じ和歌山県北部でも、海南市と紀美野町では人口、環境もまるで異なります。しかしこの場所は商売をしていく上で立地がとても良かった、と戸田さん。田舎ですが和歌山市や大阪などの都市圏に近く、都会の人がちょうど休日に食材を買いに足を伸ばすくらいの距離にあります。実際、ドーシェルさんに訪れるお客さんの中には、和歌山県外からの方も多いのだとか。

今回体験できる内容

そんなベーカリーテラス ドーシェルでの体験は、主に製パンとカフェ業務の二つに分かれます。戸田さんは朝2時30分からパンの仕込みに入りますが、体験者は朝6時から。少し朝早いですが、多種多様なドーシェルのパン製造の工程の体験をすることができます。一方の店内での接客は、少し時間の遅い9時から。海を望む絶景の店内で、パンや飲み物の提供を行います。

移住時には、生活を成り立たせるための技術を持っていると良い。それが、自らも移住者である戸田さんの実感です。自分たちも、製パン技術があったからこそ、安心して移住ができたと言います。

「できれば都会である程度の技術を身につけて、田舎に来るっていうのが一番理想だと思うので。そういうことを伝えたいのが、ありますよね。ここに来てから何かを身につけるんじゃなくてね。」

しごと暮らし体験は、決して長い期間ではありません。そのため、製パンのノウハウを十分に伝えたり、何かの技術を身につけてもらうことは難しいというのが正直なところ。その代わり、パン屋での体験を楽しみつつ、紀美野町での滞在期間をこの地域を深く知る機会にしてほしい、と考えています。働くスタッフも近隣地域から来ている人が多く、話を聞く良い機会になるかもしれません。

人のつながりをもつ機会に

縁もゆかりもない宝塚で店をしていたころ、戸田さんは地域から疎外感を感じていたと言います。だからこそ、紀美野町への移住の際には地元の人とのつながりを大切にしてきました。事前につながりがあったことに加え、出来る限り地域の行事に顔を出しながら、地道に関係性を作っていきました。

紀美野町にも、最近移住者が少しずつ増えてきています。しごと暮らし体験で来た人には、可能な範囲でそういう移住の先達者を紹介しながら、少しずつ地元での知り合いを増やしてもらい、移住の準備につながるように、と考えています。「移住する前の知り合いが増えて、少しはその地ならしじゃないですけど、そういうところに繋がったらいいなと思いますね。」

スケジュールイメージ

1日目(14:00-17:00)
1. 挨拶、面談
2. 店内やスタッフの案内および紹介
3. 紀美野町の案内

2日目(6:00-15:00)
1. 製パン体験・補助

3日目(9:00-13:00)
1. カフェ業務体験
2. 挨拶・解散

※体験内容は状況によって変化します。

補足事項

最少催行人数:1名
費用:無料(宿泊費別)※宿泊費は一部補助あり。
宿 泊 場 所 :近隣宿泊施設