北海道の玄関口である新千歳空港から車で20分ほど、札幌中心部からは車で約80分に位置する安平町。人口は約7000人(2023年6月現在)、北海道エリアでは冬期の積雪も少ないことから住みやすい地域としても知られています。そんな安平町では近年「日本一の教育のまち」を目指し、子育てと教育に特化したまちづくりを進めています。今回はそんな安平町の子育て環境や教育方針を紹介します。
この記事の目次
子どもが安心して育ち、挑戦できる環境をまちぐるみで提供
安平町の教育の特徴は、教育機関や家庭内で行われる「学校教育」と地域コミュニティで行われる「社会教育」の連携を強化し、多様な大人たちがまちぐるみで携わっている点です。親が子育てしやすい環境を叶えるとともに、子どもたちが色々な大人と出会うことで、人生の選択肢を増やすきっかけを作っています。都会に比べて地域の人との距離感が近く、みんなで子供を育てる文化が根付いている町です。
また安平町は、ユニセフが推進する「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」を実践する自治体として、2021年に日本で初めて承認を受けた町です。「子どもがあたり前に意見できるまちづくり」を目指しており、子どもたちがまちについて考えたり意見を述べたりする機会を積極的に作っています。
そんな安平町が特に力を入れている取り組みが、学校と社会(地域)が連携して、協働しながら授業づくりを行う「安平町ふるさと教育・学社融合推進事業」、そして学校外の活動として提供する”遊び”・”学び”から子どもたちの”挑戦”へと繋げる独自の教育パッケージ「あびら教育プラン」。2019年に始動したあびら教育プランでは、「遊育(ゆういく)」「あびらぼ」「ワクワク研究所」「ABIRA Talks」4つの事業を通じて、子どもから大人までの様々な人たちの挑戦を応援しています。
また、安平町では子育て支援も充実しています。不妊治療や妊婦健診の助成金、子どもの病院受診費無料(保険診療分限定)、保育園の充実、保育料の助成など、さまざまな支援を用意しており、安心して子育てできる環境が整っています。ここからは安平町で行われている教育の取り組みを詳しく紹介していきます。
学校を「人や地域と出会う場」に。安平町の学社融合の取り組み
安平町内の幼稚園〜高校が実施している取り組みの一つに、「安平町ふるさと教育・学社融合推進事業」があります。学社融合とは、学校と社会(地域)が連携して、協働しながら授業づくりを行うというもの。学校を単なる知識や技術を習得する場ではなく、人や地域との出会いを通して学び、成長していく場にしたいという思いのもとで始められています。
安平町ふるさと教育・学社融合推進事業の事例として、追分小学校で行われた地域の稲作農家と協業しての農業体験授業があります。小学生が田植えや田んぼの観察、稲刈り、脱穀・精米、収穫祭までを体験し、年間を通して稲作に関わることで、生産者と消費者の距離を縮めるとともに、農業への関心や理解を深める目的で実施されました。
「自分で作ったお米を調理して、いただく」体験を通し、地場産業の魅力や農業そのものへの関心、食べ物を大切にする心を育む機会となりました。
子どもたちが主体でまちづくりも! チャレンジ精神を育む「あびら教育プラン」
あびら教育プランでは4つの事業を柱として、子どもから大人までが互いに学び合い、挑戦できる場を用意しています。「遊育」は、子どもから大人までを対象に「機会・場所・遊びそのもの」を提供するもの。遊びを通して、自分の好きを発見し、深めることを目指しています。
過去には廃校・解体が決まっている早来小学校の校舎を使ったレクリエーションイベント「逃”歩”中」など、子どもたちが発案したイベントを実施したことも。
また雪をテーマにしたイベントなど、幅広い世代が楽しめる地域の交流の場を作っています。子どもから大人まで本気になって遊びをとことん追求できる「遊育」の場は、幼少期の子どもたちにとってはとても貴重な体験。保護者からは「知らない子たちとも交わって楽しんでいた」「家庭だけでは与えることのできない時間を過ごすことができた」など、好評の声が多く挙がっています。
安平町の放課後教室で、あびら教育プランの事業の柱の一つでもある「あびらぼ」では、小学5年生から中学生までを対象に事業を行っています。さまざまなテーマのもとで「学び」「計画」「実践」のサイクルを回し、子どもの知的好奇心とチャレンジ意欲を応援するプログラムです。
あびらぼでは週に1度の通常授業のほか、子どもたちによるイベント企画・運営プロジェクト、オフラインでの1対1面談の実施などを通して、自分の考えを表現する力や、他者と協業する力を養っています。
「ワクワク研究所」とは、小学5年生から中学生までを対象とした「個人のやりたいに向き合う」教室です。子どもたちが自分自身の興味関心に基づいてワクワクするプロジェクトを企画・実践することを通して、子どもの探究活動をサポートしています。
子どもたちは「チャーハンづくり」「オリジナルアニメの脚本づくり」「古着リメイク」など、各々の気になることや好きなものをより深掘りし、のびのびと好奇心や探究心を育むことができます。
今期は、町民のスキルや経験を子どもたちのプロジェクトに還元する「町民意匠制度」を実施。町内のシェフが料理に興味がある子どもにレシピを教えるなど、子供の好奇心を起点に地域とのつながりを作っています。
「ABIRATalks」とは、小学生から大人まで全世代が参加できるクラウドファンディングイベント。やりたいことやアイデアを持った「チャレンジャー」はABIRATalksで想いを語ることで、賛同したサポーターからの出資を募ります。
チャレンジャーたちからは「町内でイベントを開催したい」「コミュニティスペースに本棚を作りたい」など、安平町をより良くするためのアイデアが次々と。参加者もまた、チャレンジャーのプレゼンを聞き、投資するかどうかジャッジすることを通して、地域コミュニティを盛り上げる方法を一緒に考えることができるプログラムです。
0歳から子どもを任せられる、2つの認定子ども園も
安平町には、「はやきた子ども園」「おいわけ子ども園」という2つの公私連携・幼保連携型認定こども園があります。認定こども園とは、幼稚園・保育園の機能、さらに子育て支援の機能を合わせ持つ施設。1歳前から子供を預けることが可能であり、一貫したカリキュラムのもとで、教育・保育が提供されます。
また安平町の認定こども園は、子育て支援センター・児童館・児童センター・放課後児童クラブが併設されている児童福祉複合施設になっており、様々な年齢のお子さんがいる家庭でもお迎えがしやすい環境になっています。
安平町内の子ども園の一つである「おいわけ子ども園」のコンセプトは、「こころ・からだ・あたまを育てるどろんこいっぱいの“園庭づくり”」。広大な園庭には地元の土で作った野性味あふれる築山や、段々畑のような砂場があり、子どもたちは安平町の自然を感じながら成長できます。
園庭には地元の高校生が手作りした木製ステージや、小学生のアイデアを取り入れた水場など、地域が一丸となって遊べる環境も。子どもたちは地元の人たちによる工夫が施された遊具を使うことで、体の使い方や想像力を育みます。
地元食材をふんだんに使った食事もこの園の特色の一つです。主食のお米は地元農家さんから仕入れるほか、野菜農家さんからもぎたて野菜の差し入れが届くこともあるそうです。おやつは基本園での手作りで、アレルギー食にも完全対応するなど、安心安全の体制も完備していると言います。
安平町の子育てを体感できる移住現地ツアーを開催!
安平町では、移住を検討する人向けに町の移住現地ツアーを定期開催中です。参加者は子育てや教育に関心のある人が多く、安平町での子育てや生活をより詳細にイメージできる内容となっています。
移住定住に興味のある方や、安心できる子育て環境を探している方は、ぜひ移住現地ツアーに参加してみてはいかがでしょうか?
【移住現地ツアー詳細】
開催日時:2023年9月2日(土) 10:00~16:30
開催場所:安平町追分エリア
当日のプログラム(プログラムは変更になる場合があります):
・追分エリアの学校教育、あびら教育プランについての説明
・おいわけ子ども園への訪問
・ガンケ山の散策
・地元の枝豆農家での枝豆収穫体験
参加費:
大人:1000円、子ども(小学生まで):無料
※移住検討をしている子育て世代の方が対象となりますので、視察目的の方はご遠慮ください。
※中学生以上は大人料金、昼食代込み、参加費は当日徴収(現金のみ)
ツアー申込締切:2023年8月27日(日)20:00
申込URL:https://peatix.com/event/3637369/view
問い合わせ先:
安平町役場 政策推進課 政策推進グループ(あびら移住暮らし推進協議会事務局)
Email: abira-ijuu@town.abira.lg.jp
〒059-1595 北海道勇払郡安平町早来大町95番地
TEL:0145-22-2751