和歌山県が、2018年4月から企画している起業・就農、就労の体験プログラムが
利用者が希望する事業者のもとで「しごと」を体験しながら、
周辺地域の先輩移住者や地域住民の方との交流を通じて「くらし」の体験を行い、
移住後の生活をイメージすることができます。体験費は無料です。その“体験先”をご紹介します。
龍神村森林組合
住所:和歌山県田辺市龍神村東401 事業内容:造林(植栽、下刈、間伐等)、林産(皆伐、搬出間伐等)、木材の販売、製材加工、道の駅ウッディプラザ「木族館」の運営
和歌山県の中心に位置する龍神村は、江戸時代中期から造林が行われていたほど古くから林業が盛んな地域です。「龍神村森林組合」は、昭和40年代頃から質の良さが注目されるようになった「龍神材」ブランドを守り、龍神村の林業を支えてきました。
「間伐はどの地域でも行われていますが、龍神材の場合は、まずはたくさん植栽して、その中で選りすぐりのエリートを残していきます」と龍神村森林組合の品質へのこだわりは筋金入りです。
「龍神村は、基本的には温暖な気候で木が育ちやすい上に、山が険しく標高が高いので、冬にはしっかりと木の目が詰まってくるんです」
と教えてくれたのは、龍神村森林組合の採用を担当する古久保太郎さん。とにかく「品質の良い木材を作りたい」という一心で、2010年には「龍神材」の地域団体商標も取得したそうです。
「最近では、SDGsがよく話題になりますが、育てて伐って使って植えるを繰り返す林業はそんな言葉が生まれる前から循環している業種」と古久保さん。林業は「祖父が植えた木を孫が伐り出す」と言われるほど長いスパンで考えなければなりません。
この機会に、目先の利益を追うだけではない持続可能な仕事である林業に触れてみてはいかがでしょうか。
今回体験できる内容
龍神村森林組合の業務は、古久保さんが「説明が長くなりますよ」と前置きを入れるほど多岐にわたります。
まず、「造林」と呼ばれる工程では、苗を植え、草刈りや間伐などの手入れを行い、木が育ちやすい環境を整えていきます。「その前に、荒れた山を開拓し、植える場所を整備しなければならないのですが、この地拵え(じごしらえ)という作業が案外大変なんです」
と古久保さん。そもそも作業道さえ整わない山が仕事場になるわけですから「山を歩く体力」が林道従事者の資質として重要だと話します。
今回の体験では、チェーンソー防護ズボンと呼ばれる「硬い・重い・暑い」防護服を着用し、実際に山へ入ってみましょう。その上で、タイミングが合えば草刈りなどの「造林」の仕事をお手伝いさせていただきます。
そして、育てた木を伐り出して収穫するのが「林産」です。お金を生み出すエース部門とも言えます。龍神村森林組合が特徴的なのは、伐り出した原木を販売する市場も開設している点です。龍神以外の木材も含めて選別し販売するのが「木材共販」部門です。月に2回開催される原木市の様子を見学し、原木の質を見極める目利き術も学んでいきましょう。
さらに「製材加工」部門では、原木を柱や梁などの建築用材として製造し、地域の方の家づくりをサポートするマッチングサイト「Forestyle龍神」も運営しています。
龍神村森林組合なら「造林」「林産」「木材共販」「製材加工」の4つの工程を通じて、「苗木から住宅産業まで」の業務を一貫した流れで学ぶことができるでしょう。
しごと・暮らしの特徴
業務の幅広さもさることながら、多様なキャリアを描ける点も龍神村森林組合の特徴です。林業の仕事は「造林」が中心となることが多いですが、龍神村森林組合では「林産」にも重きを置いており、現在正職員を募集中です。
自然を相手にする仕事ですので朝は早いですが、7時半〜16時半勤務を基本とするいわゆるサラリーマン的な働き方ができます。現場が遠く、出勤が早まる場合には手当もつくそうです。
反対に「造林」は、比較的時間に縛られない形で仕事をするため「自分の裁量で稼ぎたい」という方にもやりがいのある環境です。
仕事内容においても、「伐った木を傷つけずにイメージ通りの方向へ倒して、安全に搬出できた際にやりがいを感じる」という人もいれば、重機操作に関心があったり、トラック輸送が得意だったり、好みは人それぞれなんだそうです。
当然一通りの仕事を覚えていく必要はありますが、チームの中で話し合って、得意不得意を補い合いながら仕事を進めていけるのも組合の魅力と言えるのかもしれません。
ステレオタイプな林業のイメージを良い意味で壊してくれる龍神村森林組合。ぜひここで、自分に合った林業での働き方を見つけてください。
採用情報
【勤務地】 | 和歌山県田辺市龍神村 |
【給与】 | 平均年収359万円 |
【雇用形態】 | 正社員、パート(日給月給)、アルバイト(時給) |
【必要なスキル】 | 普通自動車免許(現場や取引先、研修先への移動) |
【その他、推奨される資格およびスキル】 | 伐木等の業務に係る特別教育(チェーンソー) 刈払機取扱作業者安全衛生教育 その他、クレーンや重機 等 ※上記の、部署や業務で必要な資格については、採用後に当組合の費用で取得をしていただきます。 |
【勤務時間・曜日】 | 8:00~17:00(休憩90分 実働7.5時間) ※7:30~16:30等、部門によって多少変わります。 年間休日101日(当組合カレンダーによる) 時間単位有給休暇(40時間/年)取得可 |
【待遇・福利厚生】 | 社会保険・雇用保険・団体医療保険・退職金制度等 |
体験スケジュール
1日目(13:00~17:00)
1.ごあいさつ、やりたいことや目的の確認
2.「龍神村森林組合」の仕事の説明
3.仕事の見学
・製材工場の見学
・木材加工体験
※実際の仕事状況によって変更があります。
2日目(7:30~16:30)
1.仕事のお手伝い
・造林(植栽、草刈り、獣害防止柵設置等)
・林産(枝払い、作業道の整備、搬出作業等)
※実際の仕事状況によって変更があります。
3日目(7:30~15:00)
1.仕事の見学
・木材市場または間伐材流通センターの見学
・原木仕入れの目利き術を学ぶ
2.最後のまとめ
・体験の感想、質疑応答
※実際の仕事状況によって変更があります。
注意事項
最少催行人数:1名
宿泊場所 :近隣宿泊施設
集合場所:龍神村森林組合(本部)
体験経費
参加費:無料
宿泊費:5,000円/泊まで補助あり
※初回の体験のみ適用
食費:実費負担
交通費(自宅~集合場所):実費負担