期間は限定、経験は一生モノ。「一年漁師」
漁師に興味はあっても、自分に向いているのか、一生漁師として働き続けることになるのか、不安が拭えずに選択肢から外してしまう人もいるはず。そんな理由で、漁師を諦めようとしている人へ向けて考えた期間限定の雇用「一年漁師」。
『天洋丸で漁師をやろう!』といった一本釣りみたいなやり方にこだわらないで、とにかく漁業をもっと広めよう・もっと知ってもらおうってつもりでやっています。
多方面から漁業に興味を持つ人を受け入れる中で、もし職業として漁師を選択する人が現れたら雇用に繋がる可能性があるが、天洋丸はもっとゆるいスタンスで取り組んでいます。たとえ他の職に就いたとしても、なかなか味わえない一年漁師の経験は特別なもの。仕事をする上でプラスになる 部分もあるだろう。漁業へのハードルを低く、少しでも接点を持ってもらいながら、地域の観光とも連携して繋がりを深める。そうしてどんどん関係人口を増やしてネットワークを広げながら、まずは「漁師になる人を増やす」ことを大事にしています。
漁業に新しい風を
外部から新しい風を入れることで、会社側にも変化が。続けて女性を雇用したことで、トイレ の設置や休暇制度など、会社の就業規則を見直すきっかけに繋がりました。この「一年漁師」の取り組みについては、第25回「全国青年漁業者交流会長崎県大会」で発表し、なんと最優秀賞 を受賞……! さらに発表に磨きをかけ、全国大会となる第29回「全国青年・女性漁業者交流大会」では最高位の農林水産大臣賞を受賞しました。
一年漁師をもっと広げて継続できるようにという目的であると同時に、どこかの漁業者が真似してくれることにも期待しています。漁業から地域全体のまちづくりへ。「みんなとみなとプロジェクト」という地域活動も行っています。天洋丸は今後の展開として、新しい加工場の設立なども計画中。おもしろい“こと”はこれからも 次々に生まれる予定です。
始めたばかりの養殖も、これから本格的な出荷・販売が待っています。それ以外にも寮の 空き部屋をゲストハウスにしようとか、新しい煮干しの加工場には自社の直売所を併設させようとか。いろんな展開が進んでいくので、漁業以外のスキルを持った人材が必要なんです。
そして、これらのユニークな取り組みは、水産業界から地域にまで影響が及び始めており、天洋丸のこうした動きに、南串山町というまちも追随するようになってきています。
煮干しっていうのはもう地場産業だから、魚を獲るところだけが生き残っても、それだと結局続かないんです。関連産業もちゃんと生き残ってくれないと。もっと言えば、直接関連してないけど、農業にしろ観光にしろ他の産業も残ってくれなきゃ生活する上で不便なんです。そう考えると、地域自体が存続しないと漁業自体も生き残ることは難しいと思っています。
自分たちの会社にだけ漁師が増えれば良いわけではない。自分たちの会社だけがうまくいけば 良いわけではない。それは漁業の世界に限った話でなく、地域についても同じことが言えます。そんな流れから、天洋丸を中心にしたまちづくりプロジェクトが始動。「みんなとみなとPROJECT 」です。
2021年度、長崎県の「ひとが創る持続可能な漁村推進事業」のモデル地域となった雲仙市南串山町。地域の京泊漁港周辺を中心に、行政主導ではなく地域住民の手でまちのみらいを作っていこう、と活動がスタートしました。
いろんな農家さんや地域の人との繋がりの中でこのプロジェクトができました。雲仙市の農漁村整備課に協力してもらい、地域おこし協力隊として“みなみくしやまライター”を募集したんです。このプロジェクトの中心事務局として、今までの構想を広げたり、一つずつ実現していってもらいたいなと思ってます。
天洋丸の愉快な仲間たち
天洋丸の水産加工場
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