和歌山県が、2018年4月から企画している起業・就農、就労の体験プログラムが

「わかやま しごと・暮らし体験」です。

利用者が希望する事業者のもとで「しごと」を体験しながら、

周辺地域の先輩移住者や地域住民の方との交流を通じて「くらし」の体験を行い、

移住後の生活をイメージすることができます。体験費は無料です。その“体験先”をご紹介します。

株式会社中川

住所:和歌山県田辺市文里2丁目32-7
事業内容:【育林事業】植栽/防護柵設置/下刈り/間伐/枝打ち/育苗
     【教育事業】緑育/木育
     【コンサル事業】森林管理/作業道設計/書類作成/樹木診断/森林評価/山林簡易測量/計画作成管理

「私にとって田辺は日本で一番“食”と“住”が整っている場所です。夕方に獲れた魚をその日に食べることができて野菜の種類も豊富、フルーツ大国でもあります。ここで十分豊かな“食”が事足りるのです」

「株式会社中川」を創業し、日本全国を飛び回る中川雅也さんにとって、南紀白浜空港に近く羽田まで50分というアクセスの良さも魅力。夕方急に誘われて東京・恵比寿まで飲みに行くこともあるそうです。

「株式会社中川」は“木を伐らない林業”をコンセプトに、木を伐採するのではなく、伐採された山に植栽することを主な事業とする林業のベンチャー企業。全国的にも珍しいそのスタイルは、事業内容だけでなく経営方針や社員の働き方にも表れています。

創業者の中川さんは代表取締役には就任せず、一従業員として業務にあたるフラットな社風。社員の給与をオープンにし経営の透明性を保ちながら、実働5時間で高い給与水準を実現しています。林業における新たな働き方でグッドデザイン賞も受賞しました。

毎年、50名近いインターンシップ生を受け入れているそうですが、経済や経営、観光などを学んでいる学生が多いというのもうなずけます。林業という視点だけでなく、地方創生、社会の持続可能性という点からも学びの多い体験になるはずです。

「田舎暮らしや林業などの一次産業に否定的な人にも来てほしい」と中川さん。きっと林業のイメージを大きく変えるような体験を提供してくれることでしょう。

今回体験できる内容

和歌山県内には木を伐採した後に何も植えられず、管理もされていない“植栽放棄地”と呼ばれる山が多く存在します。植栽放棄は、林業の衰退だけでなく災害リスクにもつながります。

そうした山に植栽し、健全な状態にして管理するのが「株式会社中川」の育林事業です。まずは、木を植える植栽の仕事を体験させていただきましょう。

「タイミングが合えば、大型ドローンで荷物を山に運ぶ作業も見学もできます。秋口には、山作りの第一歩となる苗作りも行いますよ。地元のおじいちゃんおばあちゃんや学校に通う子ども達が拾ってくれたどんぐりから苗木を作っているんです」

全て無農薬・有機肥料で生産している点も特徴です。樹木は直接口にするものではありませんが、30年後の地下水に影響します。子どもたちの未来のために、きれいな水を担保し続けられるよう取り組んでいます。

林業は長期的な視点が必要な仕事です。苗だけ作って終わり、植栽して終わりという局所的な捉え方ではなく、俯瞰的に物事を見る目も養っていきましょう。

また、福利厚生施設として従業員とインターンシップ生のためだけの古民家が用意されていますので、「株式会社中川」の仕事に関わる多様な方との交流を通じて、自分の固定観念に気づき、社会にとっても自分にとってもより良い働き方のヒントを見つけてください。

しごと・暮らしの特徴

田辺市出身の中川さんは、大学卒業後は貿易会社に勤務し、インドネシアと日本を往復する日々を送っていました。地元に戻って中川を創業したのは、「もっと一緒に遊んでほしい」という子どもの一言がきっかけです。

「家族のために働いていると言いながら、家族と過ごす時間を大切にしていなかった」という気づきが、独自の働き方を実現する「株式会社中川」を誕生させました。

さらに「中川の従業員として働く以上、地域にどんな貢献ができるかを常に考えるべき」と「おせっかい35」というビジョンを掲げ、従業員が働きやすいというだけでなく、これまでの35%増しの地域貢献ができる会社にしていきたいと努力を重ねています。

「私の描く世界は、家族のためというミクロな視点が出発点」と中川さん。

「今は元気な子ども達も、将来どんな困難に遭遇するかわかりません。病気や事故で障がいを抱えることになるかもしれない。どんな状況になっても自分の子ども達を受け入れるだけのキャパシティを持っておきたい」と、「障がい者を納税者に」という次のミッションも見据えています。

「リセットボタンがない今の日本で、失敗してもリセットボタンを押してもう一度再起しようと頑張る人に、第一次産業がチャンスを与えられるのではないか」

そう語る中川さんのもとで、経済第一主義の考え方を幸福度第一主義に変える体験をしてみませんか?

体験スケジュール

※育林の仕事は、秋から春先が仕事のピークです。夏場は体験できる仕事が限られてしまうため、10月〜3月の期間で体験の受け入れを行います。

1日目(13:00~17:00)
1.ごあいさつ、やりたいことや目的の確認
2.「株式会社中川」の仕事の説明
3.仕事のお手伝い
・植栽放棄地の見学
・どんぐり拾いや苗木作り
※実際の仕事状況によって変更があります。

2日目(6:00~15:00)
1.仕事のお手伝い
・植栽、地拵え、獣害防護柵の設置等
2. 地域交流体験
・地域事業者、従業員、インターンシップ生等との交流
※実際の仕事状況によって変更があります。

3日目(6:00~13:00)
1.仕事のお手伝い
・植栽、地拵え、獣害防護柵の設置等
2.最後のまとめ
・体験の感想、質疑応答
※実際の仕事状況によって変更があります。

注意事項

最少催行人数:1名
宿泊場所 :近隣宿泊施設
集合場所:株式会社中川

体験経費

参加費:無料
宿泊費:5,000円/泊まで補助あり
※初回の体験のみ適用
食費:自費負担
交通費(自宅~集合場所):自費負担