定年退職後、出羽島に移住した濵美樹さん
徳島県海部郡牟岐町の沖に浮かぶ小さな離島『出羽島(てばじま)』。かつて漁業の島として栄えた出羽島に、昨年定年退職して移住してきた女性がいます。
今年で71歳になる濵美樹さん。濵さんは元々は徳島県鳴門市の出身で、高校卒業後から出羽島移住まではずっと関西で暮らしていたそうです。
「移住したのは2023年ですが、初めて出羽島に来たのは20年くらい前です。そのさらに10年前に阪神・淡路大震災で被災していて、家も崩れてしまい、当時はとても騒がしい日々を送っていました。そんなとき、弟から『ゆっくり暮らせる、とても良い島があるよ』という話を聞いたんです。それが出羽島でした」
そのときは神戸で暮らしていた濵さんですが、弟の言葉を信じて出羽島へ行ってみることにしたそうです。そのときの感想を濵さんはこう話します。
「もう本当、一目惚れという感じで。出羽島には車が一台も走っていなくて、穏やかな島だなと思いました。当時は都会の仕事で心身とも疲れていたのですが、ただ島内を歩いているだけで癒されたんですよ」
知っているだけで幸せな島、出羽島
その後、何度か出羽島を訪れ、島内にあった空き家を別荘として購入した濵さん。神戸で暮らし、仕事をしながらも、休日にふらりと出羽島の別荘に行くという生活を続けていたそうです。
「出羽島に家があるから、都会での仕事を頑張れるというか。出羽島で過ごす休日が生きがいのようになっていましたね。普段は都会にいても、心の中に出羽島の存在があるだけで気分が良くなるんです。だから私、出羽島のことを『知っているだけで幸せな島』と呼んでいます」
昨年までは神戸のドラッグストアで薬剤師として働いていた濵さんですが、定年退職を機に出羽島へ移住することになります。
「実は定年退職はもう少し先の予定だったんですよ。でも、職場の定年退職の年齢が70歳に引き下がって。本来はショックなことなのでしょうけれど、そのとき私は嬉しくて。店の責任者も私が喜んでいることに驚いていましたが、私は『これで出羽島に移住できる』ということで、逆に嬉しかったんですよね」
そして、2023年9月に出羽島へと移住した濵さん。「私、この島ではまだまだ若手扱いなんです」と笑います。
昭和30年代の暮らしがそのまま残る出羽島
現在濵さんは、以前に購入した別荘ではなく、新たに家を借りて暮らしています。
「新しく借りたお家は、2階の寝室からの景色が最高なんですよ。朝起きたら美しい港の景色が窓越しに広がっていて、毎朝の目覚めの気分がとても良いです。何ヶ所か畑も借りて家庭菜園もしているんですよ」
そんな出羽島での新生活を送っている濵さんに、移住してみて改めて感じる出羽島の良さを聞いてみました。
「出羽島の人口は今40名弱で、人は少ないですが、そのぶん人間関係が濃いですね。私が子どもだった昭和30年代の暮らしや人間関係が、この島にはそのまま残っているような感じです。私は出羽島に来て一度病気になったのですが、それから島のみんなが心配してくれていて、朝少し遅い時間まで家の窓が開いていなかったら、島の人が様子を見に来てくれるんです」
そして最後に、これから出羽島への移住を検討している方へのアドバイスをいただきました。
「本格的に移住する前に、まず島の人たちに馴染むことが重要だと思います。何度か遊びに来て、島の人たちと交流してみてください。私もそうやって最初はただ遊びに来て、島の人と仲良くなって、それで空き家を紹介してもらったりして、今の移住に至りました」
出羽島にはいくつかの民宿があります。何度か島に通って民宿に滞在すれば、きっと島の人と仲良くなれるはずです。まずは、心身の疲れを癒やしに出羽島に遊びに来てみてはいかがですか?
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