• 出身地と現在のお住まい
    楢葉町出身→高校で山形県進学などを経て楢葉町にUターン。妻と子ども、愛犬との3人暮らし
  • 現在の仕事
    楢葉町スポーツ協会の施設管理や野球指導
  • 移住を決めたきっかけ
    プロ野球選手を引退してセカンドキャリアを考えたこと

オリックス・バファローズや横浜DeNAベイスターズで投手として活躍した赤間謙さんは、プロ野球選手を引退後、2021年に生まれ育った楢葉町に移住しました。ふるさとを拠点に、これまで培ってきた野球の技術を指導者として次の世代に伝えたいといいます。Uターンしてからお子さんも生まれたという赤間さん。楢葉町での暮らしと、野球指導者としてのこれからを聞いてきました。

 これまでの経験を地元で伝えたい

横浜DeNAベイスターズ時代の赤間さん(写真:赤間さん提供)

――楢葉町にUターンを決めたきっかけを教えて下さい。

2020年に、横浜DeNAベイスターズでプロ野球選手を引退することを決めました。球団職員としてデータ処理のポジションを提案いただいていましたが、苦手分野で。その前に所属していたオリックス・バファローズからも打撃投手のオファーがありましたが、家族を連れて横浜から大阪に戻るのはちょっと気が引けてしまいました。地元の友人に次のキャリアを相談したところ、ご縁があり楢葉町スポーツ協会の仕事を紹介していただいたんです。業務として地元のスポーツ少年団(以下、スポ少)の指導があって、自分がこれまで続けてきたことを地元の子どもたちに伝えることができる。生活も仕事も安定できると感じ、楢葉に戻ることを決めました。

――奥様にはどのように相談しましたか?

妻は大熊町出身なので、楢葉町で暮らすことに抵抗はなかったようです。「第二の人生を地元で過ごすのもいいんじゃない?」と背中を押してくれました。

――普段どのようなお仕事をしているのか教えてください。

楢葉町スポーツ協会での主な仕事は、楢葉町総合グラウンドの運動場やグラウンドの整備・管理です。本当はつながりのあるプロ野球選手を呼んで野球教室を開催したいのですが、プロ野球がオフシーズンの時期は地域のスポーツ行事が多くて忙しく、なかなか実現できないのが残念ですね。

――野球の指導についてはいかがですか?

週に1回、楢葉町のスポ少で指導しています。野球が好きというより、体を動かしたくて参加している子が多いので、野球の面白さを伝えていきたいです。人数は10人ほどですが、川内村のスポ少で中学時代のコーチが監督をしている縁で、ときどき一緒に練習しています。最近は合同チームを組んで試合もするようになり、少しずつ意欲的になってくれる子が出てきました。
スポ少以外でも、郡山市にある尚志高校の野球部で指導に携わっていて、身体の動かし方をうまく伝えられて、選手に変化を感じたときにやりがいを感じます。元選手同士のつながりで野球教室に呼ばれることもあります。スポ少は週1回で、高校の指導もたまになので、正直いうと地元に貢献している実感はまだはっきりと持てていません。今は本業と指導の仕事、家庭、休養のバランスを探っているところですね。

医療も子育ても、いわき市は生活圏内

――地域の方との関わりはありますか?

Uターンをしてから消防団に入りました。普段は関わることのない年代の方と関わる機会があり、何かあった時に近所に頼れる人がいることはありがたいですね。訓練や器具の点検があったり、時期によっては仕事の後に各家庭を回ってチラシを配ったり、鐘を鳴らして火の用心を呼び掛ける「夜警」をしたりします。大変な時もありますが、地方で暮らす宿命だと感じています。

――Uターンしてからお子さんも生まれたと聞きました。

子どもは1歳7か月になります。双葉郡には分娩できる産婦人科がないので、妻は茨城県にいる家族のところで出産しました。産前産後検診は、車で50分ほどのいわき市のクリニックに通っていました。楢葉町に住んでいると、いわきは生活圏内です。住まいは楢葉でいわきに通勤・通学している人もいます。

楢葉だけを見ると、子どもが本気で打ち込めることの選択肢は限られているかもしれません。僕自身も野球をするために山形県の高校に進学したので、息子が何か夢中になれるものを見つけたら、住んでいる場所にとらわれず広い視野で進路を選択してもらいたいと思います。

――Uターンをして良かったことはどんなことですか?

楢葉町で過ごしたのは中学生までなので、これまでは親に会う機会も限られていましたが、家族にちょこちょこ顔を見せられるようになりました。地元の友人とは毎年会っていたので、近い距離にいられるのもいいですね。妻とは大阪で出会って結婚して、横浜にもついてきてくれたので、家を建てて生活の拠点ができて安心したのではないかと思います。

自然豊かな環境で子どもとのんびり暮らせている

赤間さんが登録している「ドリームコーチング」の画面

――今後はどんなことにチャレンジしたいですか。

常磐道のインターチェンジがすぐそばにあり、車移動がしやすいので、楢葉を拠点にもっと指導者としてのキャリアを積んでいきたいです。現在はスポーツ指導者と個人やチームをつなぐ「ドリームコーチング」というサービスにも登録しています。指導では、自分の経験を伝えつつ、考えを押し付けないことを心掛けています。プロスポーツ選手として、トレーニングやストレッチを学ぶ機会も多くありました。悩みに対して効果をかみ砕いて伝えられることも強みだと思います。

――楢葉町に移住を検討している人にメッセージをお願いします。

楢葉には特別、遊べる場所やショッピングを楽しめる場所は多くありません。でも、身近で自然に触れられる環境はとても住み心地が良く、子どもとのんびり生活できているなと感じます。まちの人はみなさんめちゃめちゃ優しいですし、食べ物も美味しい。みんな明るいし、いいところです。自然豊かでキャンプもできるし、釣りもできる。そんなところに惹かれる人はぜひ来てみてください。

赤間 謙(あかま けん) さん

1990年、楢葉町出身。東海大学山形高校、東海大学、鷺宮製作所を経て2015年にドラフト9位で投手としてオリックス・バファローズに入団。2018年に横浜DeNAベイスターズに移籍し、2020年に引退。プロ野球選手としては1軍で通算38試合に登板している。

※所属や内容は公開当時のものです。
写真・文:五十嵐秋音

※本記事はふくしま12市町村移住ポータルサイト『未来ワークふくしま』からの転載です。