富良野の閑散期に二地域居住やワーケーションをしてみませんか?

北海道のど真ん中に位置する富良野市。夏はラベンダー、冬はスキー場が観光客で賑わいますが、その繁忙期と閑散期の落差は、観光・宿泊業を始めとしたたくさんの業種に影響を与えています。
そんな影響に立ち向かうため、富良野市のある宿泊事業者が新プランをスタートしました。

閑散期のワーケーション・二地域居住向け宿泊プランのご紹介

宿泊プランの概要

ワーケーションプラン

「The North Peak Furano 」101号室のダイニング

・対象期間:①4~6月 ②10~11月
・滞在期間:「2週間滞在プラン 」or 「1ヶ月滞在プラン」
・滞在場所:北海道富良野市内の宿泊施設
       ①The North Peak Furano
       ②Retreat Furano(※ペット同伴可)
・対象者:市外の社員等【企業・団体の役員・社員(職員)又はフリーランス・個人事業主】
※いずれも日本国内に住所を有し、居住実態がある者

・人数:1~8名までご利用可。おひとりさまからご家族・友人同士などでの滞在が可能。
(「The North Peak Furano 」の定員は17名まで)

★通常時よりもかなりおトクに泊まれるプラン!

※4~6月の受付は、定員に達成したため終了しました。
※9名以上でのご利用をご希望の際は、直接お問合せください。
※2週間以上の滞在かつ「親子ワーケーション」「転職なき移住者向けワーケーション」ご利用の方は
助成対象になります。

▼費用などの詳細はこちらのHPよりご確認ください!

▼合わせて2週間以上のワーケーション滞在で助成金がもらえる助成金制度

▼助成金が気になる方はこちらの記事も!

富良野の課題 | 繁忙期と閑散期

富良野市は、夏と冬の2つの観光シーズンに国内外から多くの観光客を迎え、地域経済が活性化しています。
夏は見事に咲き誇るラベンダーや極上の富良野メロンを。冬は“パウダースノー”と呼ばれる極上の雪質を求めて雪上を滑りにやってくる観光客で溢れかえります。
しかし、その狭間に訪れる春と秋の閑散期は、観光客の数がガクッと減り、地域経済にも大きな影響を与えています。

富良野のラベンダー

冬の富良野の風景

こうした中で、新たなターゲット層として注目されているのが、多様な働き方・暮らし方を実践しているリモートワーカーやデジタルノマドたちです。
ワーケーションや多拠点居住、二地域居住といった新しいライフスタイルを取り入れる人々を富良野に取り入れることで、閑散期の地域経済を支えるだけでなく、関係人口の創出や将来的な移住、ローカルベンチャーの誕生といった副次的な効果も期待されています。

地方創生と新たな働き方:富良野市の取組み

地方の人口減少が進む中、国は「東京一極集中」を是正するためにさまざまな施策を進めています。
その一つとして注目されているのが、「二地域居住の推進」です。
国土交通省によれば、二地域居住は、都市部と地方部で生活の拠点を持つことで、地域活性化や人口分散を図る方策として期待されています。

▼詳しくはこちらから

北海道では、関係人口創出やこうした流れを受け、「北海道型ワーケーション」が進められています。
北海道の豊かな自然環境と地域資源を生かし、リモートワークをする人々を誘致することで、関係人口を創出し、地域経済の活性化を目指しています。

▼詳しくはこちらから

富良野市も、地域振興の一環として、第6次富良野市総合計画に基づき、関係人口創出や将来的な移住・二地域居住を見据え、ワーケーションの受け入れを進めています。
このように、富良野市は新しい働き方や暮らし方を取り入れた地域づくりを進め、閑散期の地域経済を支えるとともに、移住者や二地域居住者の受け入れ体制を整備しています。

インタビュー(対談)

以上の情勢の中、「閑散期対策」の一環として、中長期滞在によるワーケーションや二地域居住を検討する方々を応援するため、「宿泊プラン」を新たに設定した合同会社和み村・宿泊担当者の中村さんと富良野市シティプロモーション推進課職員の松野さんが対談されました。

真剣に対談する合同会社和み村・中村さん(左)と富良野市シティプロモーション推進課・松野さん(右)

①宿泊施設の基本概要:和み村とは

和み村・中村さん

今回、新たに「宿泊プラン」を設定したのは合同会社和み村の宿泊担当者・中村さん。
中村さんは、宿泊施設を運営する「合同会社和み村」と介護施設を運営する「株式会社すまいるふらの」の両方で働いています。

中村さんが宿泊事業を始めたのは2023年12月で、「すまいるふらの」として宿泊事業を始めましたが、翌年の2024年4月に宿泊事業「和み村」として立ち上げました。

今回、インタビューを行うにあたって、和み村が経営する宿泊施設のひとつ「The North Peak Furano」にてお話を伺いました。

The North Peak Furano

施設の詳細は画像をクリック!

「The North Peak Furano」は、富良野市にある全6部屋の宿泊施設です。
個室は1名~8名までの人数に合った部屋が用意され、単身利用は勿論のこと、家族などのグループ利用から団体の大人数利用まで可能な施設となっています。
全館にWi-Fiが通っており、各部屋に延長コードも備えてあるため、ワーケーションの際にも利用できます。

The North Peak Furano – 和み村

こちらは専属スタッフを配置していない無人システムで経営しており、宿泊中にスタッフと顔を合わせることがないため、プライベート空間が確保されます。
また、全部屋に生活必需品が備わっており、まるで家で過ごすかのように落ち着いて生活ができる空間が特徴の宿泊施設となっています。

【室内】家電が揃っており、入居の日から軽食や自炊にも対応出来る。

▼Retreat Furanoについてはこちらの画像をクリック!

和み村で経営している最大6名まで宿泊可能な一棟貸の宿泊施設。ペット同伴OKの2棟がある。庭にドックラン、BBQが出来るウッドデッキも設置されている。

1年間を通しての宿泊者の推移、現状と課題

富良野は観光シーズン(夏冬)と閑散期の差が激しいと前述しましたが、その影響は宿泊業にも大きな影響を与えます。

中村さんこれは和み村に限らず、富良野市の宿泊業全体、観光業全体に言えるんですけど、繁忙期と閑散期の落差による課題というのは経営面に対しても、やっぱりどうしてもありますね。直近の冬シーズンでは毎月8~9割の稼働率だったものが2~3月で半分の5割くらいに、閑散期の4月に入った瞬間、週によっては0割、月単位でも1~2割になります。

富良野市の観光入込月別比較 2009/2017/2022(出典:富良野市『富良野ビジョン(第2期)アクションプラン』(2023年6月5日発行)p.7より、筆者にて一部加工)

中村さん年度初めでGW前というのもあって、4月の時期はそんなに大きく伸びるってことはないんですよね。とは言え、宿泊事業者としてはこの落差のダメージがあるから、1年を平均してならした時、(従業員に)一定程度の収入をあげるために夏と冬の価格差を上げざるを得ないというのが現状です。

中村さんによると、1年間を通してのインバウンドと日本人の比率は7:3に上りますが、世界的にも雪質の良い富良野のスキー場でウィンタースポーツを楽しむべく訪問する観光客が多いため、冬場はインバウンドの割合は8割にも及ぶそうです。
反対に、ラベンダーが咲き誇る夏は日本人の割合が4割近くまで増加するとのことでした。

※インバウンドとは:外国から日本を訪れる観光客のこと

これまでの観光客以外でのワーケーションや移住体験の利用者実績

ワーケーション利用によって宿泊施設では、シーズンオフや平日の長期的な利用が運営コストの削減に繋がり、一定程度の収益や稼働率の増加も見込めるメリットがあります。
また、利用者が増えることで口コミも広がり、リピーターが増えて顧客の確保にも繋がります。

松野さん:ワーケーションを推進している富良野市としても、ワーケーションで長期滞在してもらえる方が再来訪に繋がると考えています。何故なら、オールシーズン可能な中長期滞在のワーケーションは、観光による短期滞在に比べ、より富良野の地域資源の魅力を知ってもらえるからです。以前、2週間から1ヵ月滞在し、富良野ワーケーションされた方々は、地域住民や飲食店スタッフとの交流機会が増えたり、グルメを満喫されたりして、再来訪の確率が高まります。

和み村では、これまで観光客以外にワーケーションで利用されたこともあるそうです。

2024年10月、(株)リコーと実施した「事業課題解決型ワーケーション」ノースピークフラノ駐車場前にて。

介護事業所「すまいるふらの」の業務課題をヒアリングする(株)リコー社員、滞在最終日に業務課題に対するアイデアなどを提案した。

「The North Peak Furano」のワーケーション利用実績

▼4歳のお子様と一緒に、約2週間滞在されたご家族の体験記

富良野ワーケーション体験記一覧はこちら

今回新たに「ワーケーションプラン」を設定した理由

閑散期の課題と差別化の戦略

─富良野の宿泊施設が抱える課題について、どのように考えていますか?

中村さん:「閑散期をどうするか?」というのは大きな課題でした。他の宿泊施設と同じことをやってても勝てないなと思い、まだ競争が激しくない分野に力を入れることで差別化を図ろうと考えました。また、地域コミュニティの創出や地域活性化に少しでも力になればという思いもあり、「ワーケーションプラン」を打ち出しました。

松野さん:全国的に人口減少が進む中、日本人だけをターゲットにした観光施策では競争が激しくなり、限界も見えてきています。その一方で、インバウンド需要の取り込みや、新しい滞在スタイルの提案には大きな可能性があります。特にワーケーションは、観光客と同じ数の来訪を閑散期に期待するものではありませんが、地域にじっくり滞在することで、 “第二のふるさと” のような存在になり、ファンや関係人口の創出、さらには将来的な移住や二地域居住といった副次的な効果も期待できます。

松野さん宿泊需要の確保という点では、ワーケーション単体では限界があるかもしれませんが、まずは中村さんの宿泊施設からこうしたプランで検証してみて、成果が見えてきたら、市内に閑散期対策の取組みが広がっていくのは良い方法ですね。

─宿泊施設の運営について、特徴的な点はありますか?

中村さん:無人システムを導入しているので、宿泊中に宿でスタッフと顔を合わせることがなく、プライベートな空間を確保することができます。全館Wi-Fi完備、延長コードの各部屋に設置し、キッチンや生活必需品を揃えています。ただし、リモートワーク向けのデスク・椅子はないため、ダイニングテーブルでの作業になります。

【ダイニングテーブルでのワーク】長時間の業務には、椅子が重要かもしれません。

─無人システムによる宿泊施設では、地域との関わりが生まれにくいという懸念もありますよね。

中村さん:完全に無人ではなく、事務所が開いている日にはスタッフが対応できます。また、ゲストとは基本的にメッセージでやり取りする仕組みです。ただ、リアルタイムでの対応が難しいことがデメリットですね。

松野さん:宿泊施設が長期滞在者向けに地域や生活に密着した情報を提供できると、より地域とつながるきっかけになりますよね。観光情報は観光協会のサイトなどでも得られますが、「もっと地域を知りたい」「コミュニティを作りたい」と思ったときに、気軽に相談できる仕組みがあると良いと思います。

閑散期に訪れるメリットとは?

─閑散期に富良野を訪れることの魅力は何でしょうか?

中村さん:繁忙期はどこに行っても観光客が多く、飲食店の予約も難しいですが、閑散期ならゆっくり過ごせます。もちろん、ラベンダーやスキーのシーズンも魅力的ですが、「何もない時期」だからこそ富良野の生活感を味わえる良さもあります。地域の人も心にゆとりが持てて、飲食店で気さくに話しかけてもらえることもあります。

田舎臭さが心地いい、それが富良野

─富良野のどんなところが好きですか?

中村さん:好きですよ。自然も勿論なんですけど、田舎臭さっていうか、人との関わりが近いところが好きですね。なんだかんだ言って、結局、人が好きだったりするんですよ。

松野さん:確かに、富良野に限らず田舎あるあるかもしれないけど、飲み屋で『おお!久しぶり!』ってなるのは、都会から来た人はびっくりしますね。最初はカルチャーショックみたいで、『なんでこんなに知り合いと遭遇するんですか?』って驚かれる。都会だと、居酒屋に行っても知り合いと偶然会うことってあまりないけど、富良野には普通にありますからね。

中村さん:そう、それが富良野の“カオス”な部分で、好きな人はすごく好きだけど、ちょっと面倒くさいって思う人もいるかもしれない。でも、それが富良野らしさですよね。実際、僕は富良野の中でも田舎の出身だから、(近所の方が)家の前で焼き肉してたら『食ってけ食ってけ!』って言われるのが普通の環境で育ちました。だからこそ、人との距離が近いこの雰囲気は、落ち着くというか、やっぱり富良野がいいなって思うんです。

おわりに

いかがだったでしょうか?
観光客の少ないオフシーズンだからこそ、富良野でリアルな移住体験をしてみませんか?
この機会にぜひ、富良野に訪れてみてください!

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【参考記事】ワーケーションフラノ(画像をクリック!)