君は闇を見たか?──富良野で本当の“闇”を体験
完全な“暗闇”を体験したことはありますか?
光があふれるこの時代。夜道にもコンビニがあり、スマホの画面が常に手元を照らしている──
そんな現代人にとって、“光のない空間”は想像以上に衝撃的です。
しかし、電気が通る前、人類は夜をその暗闇とともに過ごしていたはずです。
北海道・富良野のNPO法人C・C・C富良野自然塾で、
視覚を完全に封じ、五感を研ぎ澄ます「闇の教室」がコロナ禍を経てついに再開!
今回は、富良野市地域おこし協力隊隊員である私が、同協力隊員たちとともに、その先行体験に参加してきました。
正直、言葉だけでは伝えきれないこの体験。
でも、伝えたくなる“静けさ”がそこにありました。
富良野自然塾の「闇の教室」とは
北海道富良野市にある富良野自然塾は、『北の国から』『優しい時間』の脚本家・倉本聰氏が主宰するNPO法人。
使われなくなったゴルフ場跡地を森へ還す「自然返還事業」や、旭山動物園を初めとする様々な団体と連携した「環境教育事業」の活動などを行っています。
「闇の教室」は、視界を完全に封じられた“真っ暗闇”の空間で行われます。
目が使えなくなると、不思議なほど他の感覚が鋭くなる。
そんな状態の中、音や温度、香り、触覚、そして味覚に至るまで──
さまざまな仕掛けがあなたの五感を刺激します。
現代の暮らしの中では感じることのない“闇”という原始的な感覚を、
富良野の静けさの中で体験してみませんか?
コロナ禍でしばらく中止されていましたが、2025年夏より再開されます!
倉本聰の“世界”に触れる
「闇の教室」は、脚本家・倉本聰さんが“現代人が忘れた感覚を呼び戻す”ために監修したプログラムです。
2007年に始まり、多くの来訪者に静かな衝撃を与えてきました。
『北の国から』『優しい時間』『風のガーデン』──
自然と人間の関係、時の流れ、沈黙の中にある感情。
倉本聰さんが描いてきた物語は、決して派手ではないけれど、どこか“深く沁みる”ものがあります。
「闇の教室」には、その“倉本聰の世界観”が静かに息づいていました。
自然と向き合うこと。余計なものを手放すこと。自分の内側の声に耳を澄ませること──。
ドラマや舞台ではなく、“体験”として、その作風の本質に触れられる時間だったように思います。
派手な演出も、奇抜な仕掛けもない。
ただ、静かに、じわじわと、自分の感覚が変わっていく。
自然とともにあることの意味を、五感で感じる時間でした。
「闇の教室」先行体験してきました

写真の都合上怖そうに見えるが全然そんなことはない
部屋に入るとまず、荷物を預ける棚があります。
「闇の教室」では、スマホの持ち込みも禁止されています。
スタッフの説明を受けた後、裸足になったらいよいよ開始。
最初のドアが閉まった瞬間、真っ暗闇の世界が広がります。
この“真っ暗闇”に、最初は誰もが戸惑いを覚えることでしょう。
でも不思議なことに、数分も経たないうちにその“恐怖”はスッと薄れていきました。
代わりに感じたのは、静けさ、安心、そして何とも言えない“穏やかさ”。
もちろん、前が見えないことへの不安はありますが、「暗闇が怖い」という感覚にはなりませんでした。
視覚がない世界では、他の感覚が自然と鋭くなる。
スタッフの声、床の冷たさ、空気の動き──
すべてが、自分の感覚に深く訴えかけてきます。
詳細は体験の楽しみを奪ってしまうので多くは語りません。
ただ、「闇の中でしか味わえないものが、確かにある」とだけはお伝えできればと思います。
スタッフの方が常に人数の確認をしてくださるので、置いて行かれるなんてことはありませんでした。
危険な目に遭ったり、何かが急に驚かしてきたりするような、心臓に悪いことは決して起こりません。
進むにつれて、徐々に「楽しさ」「穏やかさ」を感じました。
本当に不思議な体験ができたように思います。
人間、視覚を奪われると他の感覚が鋭くなるということを確かに実感しました。
途中、視覚以外の感覚の、聴覚、嗅覚、味覚、触覚それぞれを刺激する仕掛けがありますが、常に見えている状態より、より繊細に感じ取れた気がします。
終わったあとはほう…と息を吐いてしまうような清々しさがありました。
「闇の教室」のキャッチコピーでもある「君は闇を見たか?」の問いかけの答えが、少しわかったような気がします。
参加したくなった方へ
「光のある生活」が当たり前になった今こそ、
あえて“闇”に身を任せてみる価値がある──
そんな風に感じています。
この夏、ぜひ富良野で“本当の暗闇”を体験してみてください。
・開催日:2025年8月22日(金)、8月23日(土)、9月5日(金)、9月6日(土)
・所要時間:約50分
・場所:富良野プリンスホテル隣接特設空間
・定員:1~5名
またはお電話で 0167-22-4019
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季刊誌『カムイミンタラ』は、創設以来20年にわたり、自然塾の活動を伝えてきました。
その一心で、富良野自然塾はこの挑戦を決意しました。
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