
秋に開催される大熊町の一大イベントである「大熊町ふるさとまつり」。震災前から町内で開催され、2025年度は初めて大野駅西交流エリアで開催。ギネス世界記録への挑戦・認定など今年も大いに盛り上がりました。
今回は、このまつりの事務局を務めるおおくままちづくり公社の一条勝則さんから、その開催に込めた思いや、このまつりがどのように人と人とをつなげているのか、お話をを伺いました。
大熊町ふるさとまつりとは
大熊町ふるさとまつりは、大熊町で毎年秋に開催されてきたまつりです。町民全体が集まるまつりということもあり、趣向を凝らしたステージイベントや餅つきなど、憩いの場として大いににぎわっていました。震災前の2010年には第25回のふるさとまつりが盛大に開催されました。
しかし、東日本大震災で全町避難を余儀なくされたことで、町内でのふるさとまつりの開催が難しくなりました。避難先でもまつりの開催を望む町民の声は大きく、多くの方のご協力をいだだきながら、会津若松市やいわき市内でまつりは継続して行われてきました。2019年に町への帰還が始まったものの、台風や新型コロナウイルスの影響でまつりの中止が重なり、2022年、実に12年ぶりに、念願の大熊町内でのまつりが復活しました。

2025年は町内で再開後4回目の開催となりました。今回のふるさとまつりは、今年の3月にオープンしたばかりの大野駅西交流エリアではじめて開催し、特設ステージでの歌謡ショーやお笑いライブ、ヒーローショーに加え、大熊町の伝統芸能である相馬流れ山踊りなど、年齢層を問わず楽しめる催しがたくさん企画されました。町内団体など66団体の出店も予定されていたのですが、強風のため残念ながら中止となってしまい、ステージイベント中心の開催となりました。
そして、今年の目玉は「同時にフルーツをスプーンですくった最多人数」でギネス世界記録に挑戦するという一大イベントでした。
今回、みんなですくって食べたのは町内産のキウイフルーツ。大熊町はかつて、「フルーツの香り漂うロマンの里」と呼ばれるほど、果樹栽培で有名な地域でした。震災により途絶えてしまった栽培も徐々に回復しつつあり、特にキウイフルーツは復活を目指すプロジェクトが町内で進められてきました。
さらに、町の復興をPRできるように、町民、町内で働いている人、大熊町を応援していただいている方などを対象に「キウイをすくって食べる人」を募集したところ、356名が集まりました。
大熊町の魅力とその復活を象徴するキウイを、ギネス記録達成という同じ目的に向かって、町民や町に関わる人みんなで食べる。一条さんは「復興やまちづくりにみんなで取り組んでいくこの時期において、このことが持つ意味は大きかった」と話します。

復興に向かっていく中でのまつりの役割とは
ふるさとまつりには毎年避難先から訪れる方が数多くいらっしゃいます。
一条さんは、ふるさとまつりを機に旧友と再会し、少しずつ復興が進む町の姿を自分の目で見て、町の「今」を感じてもらうこともこのまつりの意義の一つだと話します。再びふるさとである大熊に足を運ぶことが町への帰還のきっかけにつながってほしいと考えています。
さらに、ふるさとまつりは、移住を考える方に大熊町の魅力を発信するよい機会でもあります。町内で新たな挑戦をしている方々との交流を通し、大熊の人々が今何を頑張っているのか、何に苦労し何を目指しているのか、という等身大の姿を見てもらうことが、復興へ向かう中では重要だと話します。

まつりを移住のきっかけに
さらに一条さんは、町外の参加者に対して、このまつりを通して、大熊町の人々の人柄や復興に向かって頑張っている姿を知ってもらいたいと話します。そして大熊町で自分が「できること」を発見し、再訪や移住へと繋がる触媒となることを目指しています。
一条さんは、民間企業から一般社団法人おおくままちづくり公社に出向し、大熊町の復興と活性化に取り組んできました。そんな一条さんの思いの根底にあるのは、将来、大熊町で育った子供たちが、大人になってからも「ふるさと」として戻ってこられるような、持続可能で活気のある町をつくっていくことです。
大熊町に関わる人々の、様々な想いが詰まった「大熊町ふるさとまつり」。ぜひみなさんも、次回のふるさとまつりに参加してみませんか?