2026年10月、大熊町に待望のスーパーがオープンします。そのスーパーとは「マルト大熊店」。いわき市を拠点とする「マルト」が双葉郡に初めて店舗を出店します。
いわき市を拠点に地域密着型の店舗づくりをしてきたマルト。スーパーの品ぞろえはもちろん、そのお惣菜の味は全国的にも高く評価されてきました。なぜ大熊に出店し、どんなお店作りを目指すのか。安島浩社長にお話を伺いました。

2026年10月、待望のスーパーがオープン
マルト大熊店は、JR大野駅から南西に1キロにある原地区にオープンします。周辺には移住者・帰還者向けの住宅が整備され、中央産業拠点等の整備も進められています。これまで町内にはスーパーがなかったため、町民のみなさんは富岡町など隣町に買い物に出かけていました。マルト大熊店の開店により、町内で生活に必要なものを購入することができます。
オープン日は、2026年10月2日。当初は2027年度中の営業開始を予定していましたが、計画を1年以上前倒しし、店舗予定地では今まさに工事が進められています。
店舗の売場面積は2040平方メートル。食品、惣菜、衣料品などを扱うスーパーマーケットのほか、ドラッグストアや100円ショップが入る予定です。また、約120台が駐車できる駐車場も備えます。建物は町が建設しマルトが入居する「公設民営」という形で運営されます。

マルトは本社のある福島県いわき市内に24店舗、茨城県内でも日立市、水戸市などで13店舗を展開しています。(2025年11月現在)これまで出店していた地域に比べると人口規模が少ない大熊町への出店を決めた理由は、若い世代の移住が進んでいることや、工場の稼働や様々な施設の建設が進み、周辺の自治体から大熊町に働きに来ている人が増えていること。そして町側の熱意も出店の決め手になったと振り返ります。
安島社長は「地域で長く店舗を続けるためには若い方の雇用が大切で、大熊の人口構成を見ると若い方が比較的多い。そして大熊は昼間の滞在人口が一定ある地域。大熊に仕事で来られた方にマルトで買い物してもらえるようにしたい」と話します。
ただ、通常のスーパーマーケットの営業を考えると、大熊町の居住人口はまだまだ少ないのが現状です。そこで、マルト大熊店で力を入れていきたいのが「配達」。町内の企業や工場向けに店舗から直接商品を届けることを考えています。例えば、従業員が購入を希望する商品を企業にまとめてもらうことで、従業員分の商品を一気に届けることも可能になります。マルトでは今後、町内の企業等を訪問し、協力いただける企業を募っていきたいと考えています。
マルトではいわき市内の店舗でも配達は行っていますが、大熊ではより多種類の商品をお客さんのニーズに応じて届けられるように、インターネットやタブレット端末などのICTを活用することを検討しています。マルトでは大熊でのこのような取り組みが、人口が少ない地域での店舗運営のモデルケースにもなりうると考えています。
大熊にも並ぶ、マルトこだわりのお惣菜
そしてマルトと言えば、おいしいお惣菜で有名です。全国スーパーマーケット協会主催の「お弁当・お惣菜大賞2025」で5年連続入賞するなど、そのお惣菜の味は高く評価されてきました。地元の海産物「常磐もの」を活用した弁当や健康を意識した減塩メニュー、オリジナルのピザやおにぎり、店で揚げる揚げたての天ぷら、スイーツ…など多種多様な惣菜メニューを開発し、できたての惣菜を店舗で作り、そのおいしさを多くの人に届けてきました。
安島社長はこの日、いわき市内の店舗で作られたお寿司やえびやアナゴの天ぷら、餃子などの惣菜を携えてインタビューにいらっしゃいました。中でも目を引いたのはこだわりの生本マグロづくしのお寿司。赤身、中トロ、軍艦とシャリに載せられたマグロが光り輝いていました。

安島社長は「本当においしいものを食べていただきたいので、鮮度には非常にこだわっている。毎日生の本マグロを仕入れ、店までブロックの状態で運び、店で切りつけて刺身や寿司にしている」とこだわりを語ります。
さらに「一定の温度になると脂が溶け、味が落ちてしまう。刺身や寿司を置く冷蔵ケースの深さや設備も確認し、味と鮮度を落とさないようにしている」と続け、鮮度を維持するために細部までこだわっていることを強調しました。
そんな安島社長が太鼓判を押すおいしいお惣菜が、大熊店にも並びます。「大熊の方にもマルトのおいしいお惣菜を食べていただきたい。そのためには毎日買っていただけるようなものを提供する必要がある。当然、寿司ネタも刺身も大熊で切りたい」という安島社長。オープン後はいわきから大熊に惣菜の担当者を派遣し、マルトの技術を伝えていきたいと考えています。

大熊の人たちと一緒に作る幸せ
スーパーマーケット・マルトは1964年、安島社長のご両親が立ち上げました。マルトを経営するうえでご両親から受け継いだ大切な言葉が「医食同源」。「食べ物を食べて、お客様に健康になってほしい」という願いに基づいています。2001年に社長となった安島社長は、「医食同源を本物にしたい」と思い、管理栄養士を採用し、より栄養価が高く安心安全な食品を提供することを目指しました。
そして転機となったのが2011年の東日本大震災でした。震災直後、支援のために避難所を訪問した安島社長の目に入ったのは、疲弊した避難者たちの姿でした。「震災で沈んだ方を笑顔にするのがスーパーの役目」と考え、よりおいしく、品質の高いものを売ろうという思いを強くしたといいます。そこからスーパーマーケットの運営はもちろんドラッグストア「くすりのマルト」や「衣料ファミリー」など様々な業態の運営を通し、地域に住む人たちの暮らし・健康づくりをサポートしてきました。
また、マルトではスーパーマーケットの経営にとどまらず、様々な社会貢献活動を地域と連携して行って来ました。近年は子どもたちへの食育にも力を入れています。お弁当作りを通して親子の会話を増やしてもらおうと小学生向けのお弁当コンテストを10年以上継続して開催し、また地元の高校生と共同で弁当などを開発してきました。
マルトの経営理念には「お客様の幸せ」、「地域の幸せ」、「従業員の幸せ」、「取引先の幸せ」の4つの幸せの実現が含まれています。この4つの幸せを実現することが、マルトの成長にもつながると考えています。安島社長は「スーパーマーケットを運営できるのはお客様のおかげ。私たちも地域に寄り添うので、大熊の方々も買い物に来ていただきたい。そうやって地域の皆さんと一緒にお店を作っていきたいです」と話しました。
