緑豊かな高知・嶺北。 その中心に、嶺北高校生たちの学びと暮らしの拠点、れいほく教育魅力化・交流支援センター「とまり木」があります。

この日、普段は生徒たちが自習や談笑をするこの場所が、「未来への扉」となりました。

スクリーンに映し出された「AI」の二文字に、集まった生徒たちの間に緊張と期待が走ります。 壇上に立つ一人の講師が、力強い眼差しで語り始めました。

「君たちは、AIを使いこなす最初の世代になるんだ」

これは、変化の最前線に立つ高校生たちに贈られた、熱いエールの物語です。

AIは「魔法」じゃない、「相棒」だ

「AIって、なんだか難しそう? 大丈夫、僕もプログラミングなんて勉強したことなかったんだよ」

そう言って微笑んだのは、AIコンサルタントとして企業のDXや人材育成を手がける講師。彼は、AIとの出会いが自身の「できること」を爆発的に広げたと語ります。

「今では、専門知識がなくてもアプリやウェブサイトが作れてしまう。まるで優秀な秘書や同僚ができたみたいにね」

言葉だけではありません。彼がPCを操作すると、1時間もあるYouTube動画の内容が、わずか数秒で要約され、見事なスライド資料にまで生まれ変わっていきます。

生徒たちから「おぉ…」とどよめきが漏れました。 遠い未来の技術だと思っていたAIが、今、目の前で「使える道具」として動いている。その事実に、生徒たちの目の色が明らかに変わっていくのが見て取れました。

「地方の逆襲」が、ここから始まる

話は、AIがもたらす社会の変化、特に「地方の可能性」へと移っていきます。

「今、多くの若い人が給料や働きやすさを求めて東京や大阪に出ていく。でも、もし地方の中小企業がAIを使いこなして、都会の大企業と同じ生産性を出せるようになったらどうだろう?」

講師の問いに、会場はシンと静まり返ります。

「AIを使えば、コストを抑えながら生産性を何倍にもできる。僕が支援した愛媛の会社は、売上が1.5倍になった。これが当たり前になれば、地方にいても世界と戦える。給料だって上げられる。 わざわざ都会に出なくても、この大好きな地元で、豊かに暮らせるようになるかもしれない」

父親でもある講師の言葉には、確かな熱がこもっていました。「地方が衰退していく未来なんて見たくない。だから、AIの力で地方を元気にしたい。君たちにも、その担い手になってほしい」

君たちは「作業者」から「監督者」へ

では、AIと共に働く時代に、人に求められる力とは何なのでしょうか。

「これからのAIは、指示を待つだけの道具じゃない。自ら考えて動く『エージェント(代理人)』になる。人間は、彼らに的確な指示を与える『監督者』になるんです」

それは、毎日の勉強も同じです。 例えば、AIに自分のテスト結果を読み込ませれば、AIは苦手を正確に分析し、克服するためのオリジナル問題まで作ってくれます。

「塾の先生がマンツーマンでやってくれるようなことを、AIは一瞬でやってのける。どんな時でも、自分だけの特別な学習時間に変えられるんだ」

AIを使いこなすか、否か。その差が、これからの人生を大きく左右するかもしれない。 だからこそ、変化の真っ只中にいる高校時代にこの「最先端の武器」に触れる意味は、計り知れません。


最先端を、教室の外でも。嶺北高校魅力化プロジェクト

今回のAIセミナーの会場となった「とまり木」は、嶺北高校生の公設寮と公設塾が一体となった、まさにプロジェクトの心臓部です。

嶺北高校魅力化プロジェクトでは、学校の授業だけでなく、放課後の時間や生活の場も「学びのフィールド」に変えています。

  • 公設塾「燈心嶺」: 寮生と地元生が共に学び、地域と交流する拠点。今回のようなセミナーも頻繁に行われます。

  • ICT・デジタル教育: AI活用やプログラミングなど、これからの社会で必須となるスキルを実践的に学ぶ機会。

  • トップランナーとの対話: 起業家やクリエイターなど、第一線で活躍する講師陣から直接刺激を受ける授業。

「地方だから遅れている」なんてことはありません。 むしろ、新しい技術を武器に「地方から世界を変える」人材を、私たちは本気で育てようとしています。

この学び舎から、次の時代を作るイノベーターが生まれることを信じて。