国が進める「ふるさと住民登録制度」は、2027年度の本格運用に向けて準備が進んでいます。地域に関心のある人が、アプリを通じて情報を受け取り、担い手活動に参加する仕組みも整えられつつあります。

制度の仕組みやガイドラインのポイントは、こちらの関連記事で紹介しています。

準備を進めるなかで、自治体の担当者の方が頭を悩ませるのが、「うちの地域では、何をお願いすればいいんだろう」ということではないでしょうか。

有名な観光地があるわけでも、大きなお祭りがあるわけでもない。草刈りやイベントの手伝いなら思いつくけれど、それでわざわざ来てもらえるのか、自信が持てない。

参加を募る仕組みができても、そこに載せる活動は地域で考える必要があります。ただ、新しいイベントを一から企画しなくても、候補は身近なところにもあります。

地域の人にとって毎年の当たり前の作業が、外から来る人には、そこでしかできない体験になることがあるからです。温泉の掃除も、収穫の手伝いも、その一つです。

今回は、地域の困りごとをふるさと住民の「出番」に変える、4つのステップを紹介します。庁内や地域での聞き取りに使える棚卸しシートも用意しました。

担い手活動づくりの4ステップ:集める、選ぶ、組み立てる、つなげる

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1.まずは「何に困っていますか?」と聞いてみる

最初は、庁内や地域の人に話を聞くところから。担当課だけで考えていると、なかなか候補は増えません。

文化財担当には、年に一度の建物の清掃で人が足りないという悩みがあるかもしれません。教育委員会では、高校生の探究学習に付き合ってくれる大人を探していることも。自治会や公民館、農協、商工会、お祭りの保存会などにも、日々の仕事のなかに困りごとがありそうです。

聞くときは、いきなり「関係人口に手伝ってほしいことはありますか」と尋ねるより、普段の仕事や行事の話から入ってみます。

「毎年、人手が足りなくなる作業はありますか」
「準備や運営の負担が大きい行事はありますか」

制度に合う活動を考えてもらう前に、何に困っているのかを教えてもらう。この段階では、活動にできるかどうかを決めなくても大丈夫です。

メモするのは「誰が困っているか」「いつの時期か」「何人くらい必要か」「どんな作業か」の4つ。立派な企画書にする前に、まずは数を集めてみましょう。

2.参加する人が「やってみたい」と思えるか

困りごとが並んだら、今度は参加する人の立場で眺めてみます。

地域にとって助かる作業でも、それだけで人が来てくれるとは限りません。参加する人が「やってみたい」と思えるか、という視点で見直すことが大切です。

たとえば、温泉を掃除した後に一番風呂に入れる。お城のすす払いに参加できる。雪の中に貯蔵したお酒を掘り出す。住民にとっては毎年の仕事でも、初めて訪れる人には、参加してみたくなる体験です。

担い手活動は、体を動かす作業に限りません。高校生の探究活動の相談相手になるなど、自分の経験を生かして関われる活動もあります。

候補を見直す目安は、次の3つです。

  • その地域ならではの作業か
  • 半日から1日で区切りがつくか
  • 終わった後に「やってよかった」と思えるものがあるか

一方で、危険を伴う作業や、専門の資格・技能が必要な作業は、単発で訪れる人にお願いするには無理があります。毎週欠かさず人手が必要な仕事も同じです。こうした仕事は、必要な資格や技能、継続して担える体制に応じて、別の担い手に依頼することを考えたほうがよさそうです。

3.作業の理由を伝えて、一緒に過ごす時間をつくる

候補が決まったら、募集する前に「なぜ、その作業をするのか」を言葉にしてみます。

たとえば草刈りなら、どんな自然を守るためなのか。手入れをしなくなると、その場所はどうなってしまうのか。地域の人が続けてきた理由まで分かると、参加する人も、自分の手伝いが地域でどう役立つのかをイメージしやすくなります。

地元の人には当たり前すぎて、普段は説明していないこともあるはずです。その作業を続けている理由や、地域で大切にしていることを、募集文の最初に添えてみましょう。

もう一つは、作業をお願いする地域の人と、参加者が一緒に過ごす時間です。

終わった後に昼ごはんを食べる。休憩中に、その作業の由来を教えてもらう。温泉掃除の後に一緒にお風呂に入る。交流のために、特別な催しをもう一つ用意する必要はありません。

作業をお願いした人がその場にいて、話ができることが大事です。何を手伝ってもらうかとあわせて、誰が参加者を迎え、一緒に過ごすのかも考えておきます。

共同作業、地域の手入れ地図の確認、休憩中の交流を描いた活動例

4.お礼と「次はいつ?」を、先に考えておく

参加してくれる人は、時間や交通費をかけて地域に足を運んでくれます。その負担の一部を補うという趣旨を踏まえながら、歓迎の気持ちをどう伝えるかも考えておきたいところです。

豪華な特典を用意し、自治体同士で競い合う必要はありません。普段は入れない場所を案内する、感謝の便りを送るなど、その地域で用意できるお礼もあります。

岐阜県飛騨市の「ヒダスケ!」では、地域の人と一緒に活動し、参加者に「オカエシ」を用意しています。どんな手伝いを募集し、どんなお礼を組み合わせているのか。プログラムを眺めると、地域の活動を考えるときの参考になります。

そして、一度来てくれた人には、次の活動も案内したいところです。

春は田植え前の作業、夏はお祭りの準備、秋は収穫、冬は雪にまつわる活動。棚卸しした候補を季節ごとに並べると、年間の予定が見えてきます。

「次は冬に来ませんか」と声をかけるには、次の日程や内容がある程度分かっていることが前提です。案内を送る仕組みとあわせて、活動の予定も考えておきましょう。

最初は、3〜5個の活動からでも

ここまで読むと、「それを何十個も用意するのは大変そう」と感じるかもしれません。

地域の事情にもよりますが、最初は3〜5個ほどから始めるのでもよさそうです。数をそろえることを急ぐより、一つひとつの活動で参加者を迎えて地域の人と交流してもらい、参加後に次の案内まで届けられるようにすることが大切です。

「うちには何もない」という地域にも、誰かが毎年続けている仕事や、人手が足りずに困っていることはあるはずです。

まずは、それを10個書き出してみる。その中に、地域を訪れる人が「やってみたい」と思うものが、2つ、3つと見つかるかもしれません。

まずは、地域の困りごとの棚卸しから

私たちフューチャーリンクネットワークでは、今回の4つのステップに沿って使える「担い手活動の棚卸しシート」をご用意しました。

庁内や地域で聞き取った困りごとを書き出し、活動の候補を仕分けるためのシートです。「何から始めればいいか分からない」という方も、各課への聞き取りや、課内での検討のたたき台にお使いいただけます。

ご担当の地域なら、どんな活動ができそうか。まずはシートを手元に置いて、庁内や地域の方と話してみませんか。

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