和歌山県が、2018年4月から企画している起業・就農、就労の体験プログラムが
利用者が希望する事業者のもとで「しごと」を体験しながら、
周辺地域の先輩移住者や地域住民の方との交流を通じて「くらし」の体験を行い、
移住後の生活をイメージすることができます。体験費は無料です。その“体験先”をご紹介します。
有田川町林業振興センター
住所:和歌山県有田郡有田川町大字清水387-1 事業内容:林業教育、次世代の担い手育成
和歌山県内の中北部に位置し、有田川の流れとともに東西に広がる有田川町は、平成18年に旧吉備町・金屋町・清水町が合併して誕生した町です。西部の吉備エリアは有田みかん、東部山間部の清水エリアは日本一の生産量を誇るぶどう山椒の産地として知られています。町の77%を森林が占め、林業も盛んな地域です。
有田川町林業振興センターは、清水森林組合と金屋町森林組合及び地元の中心的な林業事業者が一体となって、有田川町の林業を持続可能なものにするべく様々な課題に取り組んでいます。
令和4年4月に組織化されたばかりですが、行政との協力体制も整いつつあり、先ずは、林業の担い手育成に取り組むとともに林業をもっと多くの方々に知ってもらうための教育活動に力を入れていく予定です。
「とにかく林業に触れてもらいたい。」と有田川町林業振興センター長さん。現在の林業では、ITの活用や機械化による効率化が進んでおり、林業で活躍する女性も増えています。また、未経験からの転職者も多いそうです。
木材を伐り出すだけが林業ではありません。森林資源を管理しながら守る林業従事者には様々なミッションが与えられています。その実態を自分の目で見て、林業の可能性を感じてください。
今回体験できる内容
林業は、50〜100年という長い年月をかけて森林を適切に管理し、森林資源を利用しながら、健全な森林を守り育てる仕事です。
木材を生み出すだけではなく、地面に雨をたくわえてきれいな水を作り出したり、空気をきれいにしたり、災害を防ぐなど、地域に役立つさまざまな働きが森林にはあります。こうした森の働きを守りながら地域に貢献できることも林業の醍醐味です。
林業には木を伐って原木を生産するほかにも、森林を育てるための間伐、作業道の設置、植栽、下刈りなど森林に関わる様々な作業があります。実際の現場を視察・体験することで理解を深めてほしいです。
そして有田川町についても学びましょう。自慢は「あらぎ島(蘭島)」に象徴される美しい景観。あらぎ島は、日本の棚田百選に選ばれ、国の重要文化的景観にも選定されています。
平地の少ない清水エリアは、高野山地域のニーズに応える多様な農産物を生産することで、暮らしを発展させてきました。清水エリアを含む有田川上流域と聖地高野山を結ぶ持続的農林業システムは、日本の農業遺産に認定されています。
その独特な地形を活かした有田川町の暮らしも体感できるはずです。Iターン移住者も多いため、林業に挑戦する楽しさや苦労、移住の心構えなど、体験者のリアルな声も聞くことができるでしょう。
仕事・くらしの特徴
有田川町では昔から専業林業者の他、農業や紙漉きなどの仕事と組み合わせて生計を立てる兼業者もたくさんいました。今で言うパラレルワークです。
その伝統を受け継ぎ、現在も林業と農業を組み合わせた「半農半林」の取り組みが盛んに行われています。特に地域名産のぶどう山椒は、栽培のための繁忙期が林業と重ならず両立がしやすい農産物です。
「山椒の栽培と林業は技術的にも共通点がある。」と話すのは、竹上木材株式会社社長の竹上光明さん。山椒の木の剪定や園地の草刈りと、林業で行う間伐や枝打ち、下刈りは、どちらもチェンソーや草刈り機を使うので、それぞれの仕事で得たスキルの相乗効果が期待できるのです。
さらに清水森林組合では「ながら林業」を営む人材を募集中。農業以外にも飲食店や民泊経営など、他の仕事を続けながら空いた時間に林業に従事する働き方を提案しています。
林業を軸に、自分の経験やスキルを活かして多様な働き方を模索できる点は、大きな魅力ではないでしょうか。有田川町林業振興センターで、是非一緒に人にも地球にも優しい持続可能な林業と、自分らしい暮らしをデザインしてみませんか。
体験スケジュール
1日目(13:00~17:00)
1.ごあいさつ、やりたいことや目的の確認
2.「有田川町林業振興センター」の仕事と林業について学ぶ
3.有田川町について学ぶ
※実際の仕事状況によって変更があります。
2日目(9:00~15:00)
1.林業体験
・視察および作業の手伝い
2.最後のまとめ
・体験の感想、質疑応答
※実際の仕事状況によって変更があります。
※林業体験は、町内の協力事業所が行います。
補足事項
最少催行人数:1名 *日曜日を挟む場合は要相談
体験料:無料(宿泊補助あり)
宿泊場所 :近隣宿泊施設