鳥取県伯耆町にあるナチュラルワイン&食品の小売店「al Covo アル・コーヴォ」を営む関東出身の岸本 学さんと関西出身の味岡 節さん。
お二人が鳥取に移住して来られたのは2年前。この場所を選んだ一番の理由は「人との出逢い」と「きれいな水」だったといいます。
水道の蛇口をひねって出てくる水を、そのまま直接飲めること、きれいでおいしい名水の汲める場所がいくつもあること。
鳥取に住んでいる私たちにとって、それは当たり前の日常の中にあり、その大切さを忘れがちです。
しかし、昭和60年に全国の「名水百選」に選定された「天の真名井」をはじめ、「布勢の清水(鳥取市)」、「宇野地蔵ダキ(湯梨浜町)」、「地蔵滝の泉(伯耆町)」の3地点が、環境省「平成の名水百選」にも選定されるなど、”名水”は、次世代にも引き継いでいきたい鳥取県民の貴重な財産です。
現在、岸本さんと味岡さんは、ナチュラルワインと、ナチュラルワインと同じコンセプトでセレクトした食品などを通し、思いをもって仕事をしている生産者さんたちの声を伝えていきたいと活動されています。
日々大量生産されている食品だけではなく、農薬や肥料に頼ることなく作られた野菜、添加物のない食品を自由に選べる世界を守りたい。
お二人が移住に至るまでの経緯、食品や水に対しての思い、そしてナチュラルワイン&食品の小売店「al Covo アル・コーヴォ」のことなどをお話していただきました。
ぜひご覧ください。
al Covo アル・コーヴォ
2024年1月、伯耆町にグランドオープンした、ナチュラルワイン&食品の小売店「al Covo アル・コーヴォ」。
関東出身の岸本 学さんと関西出身の味岡 節さんが営むお店です。
数多くのペンションが並ぶ大山ぺンション村のほど近く。大山をすぐそばに望むことができる自然豊かな場所にあります。
移住までの道のり
元々、ワインの輸入会社で働いていたこともあり、販売の経験もあった味岡さん。13年前に兵庫県芦屋市で衣食住を扱う「VERT (ヴェール)」を開業。
実店舗を閉店後、西宮市に移り、扱う商品をナチュラルワインと食品に絞ってオンラインショップを始めました。
「自分が食べたいと思える食品を扱う店がほとんどないことに気付き、危機感を感じたことがきっかけでした。」
開業して5年経った2016年頃から、味岡さんの心には、自分で食べるものを自分で作りたいという思いが芽生えたと言います。
「欲しいと思う食べ物を作る生産者さんは家族経営などの小規模な生産者さんばかり。一方で欲しい人はたくさんいる。天候不順などがあれば生産量はさらに減り、需要と供給のバランスが完全に崩れてしまう。」
「このままでは、店で販売するどころか、自分の食べ物すらいつ確保できなくなるかわからない。」
味岡さんは、西宮で畑を始めようと模索。
しかし、月々の駐車料金も高く、畑を借りたとしてもそこまでの距離も遠く、往復だけで時間がかかってしまう現実。交通費、駐車場代など畑の土地代以外にも必要となる維持費や、時間などを考えていく中で、移住という選択肢が出てきたのだそう。
ちょうど同じ頃、パートナーである関東出身の岸本さんも、物に溢れているはずの都会でありながら、実際は食べ物の選択肢が年々減っていってること、食の豊かさが失くなっていることに不安を覚えるように。
大手スーパーなどが増えていき便利になっていく一方で、少しずつ消えていく個人商店。
イタリアのナチュラルワインを輸入している会社で働いていた岸本さんは、仕事で全国各地を回ることも多く、これまでいろいろな土地を見てきたと言います。
「道の駅や直売所など、地元の農家さんの野菜や、素材にこだわった本当にいい商品が置いてある町に行くたび、都会にはない食の豊かさを感じました。」
岸本さんの心に芽生えた、地方の食を守りたいという強い思い。その頃から二人は、今後の暮らしや移住先について話し合うようになります。
ある日、仕事で鳥取を訪れた岸本さん。お二人が移住先を鳥取に決めたきっかけとなった「久米桜酒造」の杜氏(とうじ)と出会います。
その際、ガーデンプレイス近くの橋の上から見えた景色が、まるでイタリアの風景のように思えたと岸本さんは言います。
「彼女に見せたいと思いました。」
片側には弓ヶ浜が見え、
反対側には大山が見えるこの場所をとても気に入ったのだそう。
杜氏が案内してくれた地蔵滝の泉では、きれいな水が汲めることにも感動。
その後、味岡さんと共に再び鳥取へ。
鳥取には、名水が汲める場所がいくつもあることを知ったこと、現在の店舗である物件に出会ったことなども大きく
「この場所に呼ばれているような気がしました。」と味岡さん。
そして2022年3月、伯耆町へと移住。8月には「VERT」の実店舗を限定的にオープン。
店舗の一部を改装し、ワインセラーに加えて食品の販売スペースを設け、日本酒の取り扱いも開始。店名を「VERT(ヴェール)」から「al Covo アル・コーヴォ」に改めて、2024年1月にグランドオープンしました。
「食べる人のことを考え、大切に作られた本物の食(ワイン)は、美しくて、生き生きと力強いもの。人を元気にして、生きる活力を生み、まさに「食べるは生きる、生きるは食べる」ことだと実感させてくれる存在です。」と岸本さん。
今後は、更に山陰の食品にスポットを当てていきたいと考えているのだそう。
日々、大量生産される食品だけではなく、農薬や肥料に頼ることなく作られた野菜や、添加物のない食品を自由に選べる世界。
そして想いをもって仕事をしている生産者さんたちの声を、ナチュラルワインや同じ考えで造られた食品などを通し、伝えていきたい。
ナチュラルワインや食品の生産者さんの想いをしっかりと伝えることで、日々の食卓が、より豊かで健全なもので満たされますように。
移住を考えている方へ
「移住先の下調べは、とても大事だと思います。」と岸本さん。
細かな決まりごとや行事など、住みたい地域がどのような頻度で行われているのか、近所の方との距離感はどの程度なのか。
実際に生活していくことを想定して、イメージすることが大切なことです。
「下調べをしてから決めた移住先、鳥取県での生活は「もう都会には住めないね。」と二人で話すこともあるほどこの場所を気に入っています。」と声を揃えて話してくださいました。
お二人が鳥取に移住してきて2年。近所の方々と程良い距離感を保ちつつ、居心地のいい暮らしとなっているそうです。
鳥取県には、移住を考えている人への情報サイトがあります。
市のホームページなどにも地域の情報や移住定住に関する支援情報などが掲載されています。(各市のホームページをご覧ください。)
また、定期的に移住者体験ツアーなども実施されているので、鳥取県に興味がある方や移住先を検討されている方も気軽にご参加ください。
【関連記事】鳥取においでよ!『鳥取県移住体験ツアーin 境港・米子・江府』に行ってきた
ぜひ鳥取県へ遊びに来て、美味しい食べ物や豊かな自然を体験してみてくださいね。
移住年表
2000年 大学院卒業後、単身イタリアへ、トスカーナ州のワイナリーでブドウ収穫を体験
2000年 新宿御苑にあったタベルナ・ロッサーナでソムリエ修業を始める
2004年 イタリアワインの輸入元、ヴィナイオータ入社 ~茨城、京都、兵庫と会社の仕事をしながら拠点を西日本に移していく
2019年9月 岡山を中心に、都市部から離れた移住先を具体的に考え、実際に住む家を探し始める
2021年7月 偶然久米桜酒造を訪ね、大山周辺の景色を見たときに自分の中で沸き立つものを感じ、この地域への移住を本気で考え始める~2~3か月に一度大山を訪れ、知人のツテや不動産屋さんの紹介してくれた物件を見る
2022年3月 移住
2023年10月 ヴィナイオータ退社
2024年1月 al Covo に店名変更してリニューアルオープン
2011年~2014年 ワイン輸入元勤務を経て、VERT(ヴェール /ライフスタイルショップ /ナチュラルワインと食品・雑貨の小売店)を開業
2016年 西宮市でオンラインショップVERT(ナチュラルワインと食品の販売)立ち上げ
2018年 移住先探し開始
2021年 秋 鳥取を訪れる
2022年 春 移住
2022年 冬 VERT(店舗)をオープン
2024年 al Covo に店名変更してリニューアルオープン
al Covo アル・コーヴォ データ
住所:鳥取県西伯郡伯耆町金屋谷1714-11
営業時間:10:00~18:00
定休日:月・火曜日
イベント出店により臨時休業あり
駐車場:あり
とっとり移住定住ポータルサイト 鳥取来楽暮(とっとりコラボ)
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(データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。変更ある場合がありますので参考程度にお願いします。)