おいしいご飯と楽しいおしゃべり。もちろん1人でいてもいい。そうした“自分らしくいられる場所”が生活の合間にあると、毎日の足取りも軽やかになるものです。福島県田村市船引町にある「dining月・天(ダイニングつき・てん)」は、まさにそんな時間を過ごすのにぴったりのお店。珍しいトレーラーハウス型ダイニングで、地元の人や幅広い世代から愛され、お店で出会った人同士が仲良くなるなど、新しいつながりも生まれています。

オーナーの永橋きくえさんは福島県いわき市出身で、「灯りをともすような店を作りたい」と、未経験で飲食店をスタート。開業に込めた想いや、新しくオープンした「BBQハウス天・空(バーベキューハウスてん・くう)」について、お話を伺いました!

オーナーの永橋きくえさん。穏やかで聞き上手な人柄に惹かれ、お店に人が集まります

ー お店を始めたきっかけは何だったのでしょう?

ずっとお店を持ちたいと考えていました。末娘が社会人になったタイミングで「今しかない」と感じ、勤め先に「1年後に辞めます」と宣言して準備を始めました。どんなお店でも良かったのですが、東日本大震災で心が落ち込んでいる人もまだまだいると思ったので、「灯り」をともしたいと、飲食店をやろうと決めました。ここに来たことでほっとしてもらえるような、そんなお店にしたいと思いました。

最初はいわき市でやろうと準備を進めていましたが、いろいろあって頓挫しました。その後、知り合いから田村市の土地を紹介してもらったことがきっかけで、今の場所にお店を構えることになりました。偶然、縁があったんですね。経営や運用を勉強しようと、飲食店でアルバイトをするなどして準備を進め、2022年6月にオープンしました。ランチ営業と夜のバー営業のほか、各種イベントも開催しています。バー営業は、私がお酒を飲むのが好きなのでやっています。笑

ー トレーラーハウス型のお店は、なかなか珍しいと思います

東日本大震災で、そこにあるのに食べられない、使えない、行けない…という状況を経験したり目の当たりにしたりする中で、「『ある』もの(固定のもの)はいらない」という感覚を持つようになりました。お店の建物をどうしようか考えたとき、何かあったら移動ができ、もし次に必要な人がいれば持っていって利用してもらえるよう、トレーラーハウスが良いと考えました。

ー オープンに先立ち、大変だったことはありますか?

特に思いつかないですね。あったのかもしれないけど、デッキの材料を買ってきたり、力仕事したり、そういうのも全部楽しかったですよ。自分ができることはやって、できないところは人に手を差し伸べてもらい、いろんな人に助けてもらいました。お互い様の精神というか、生きるってそういうことなのかなと思っています。

ー どんなメニューが食べられるのでしょうか?

ランチはワンプレートが3種類、ピザが5種類、コッペパンが7種類、ほかにもいろいろあります。コッペパンは、学校給食にも提供している大越町のニコニコパン店から仕入れています。夜は各種アルコールをはじめ、アヒージョやあらびきウインナー、イタリアン風オムレツなど、夜用メニューを用意しています。

ランチメニューの決め方は、直感ですね、そんなに考えていないですよ。笑 ワンプレートでいこうと決め、そこに合う盛り付けを考えた結果、今のメニューになりました。田村市に来たからにはできるだけ地元に還元したいと、まずは川合精肉店のお肉をメインにすることを決めました。お肉にどんな副菜を入れたら、食べやすく見た目にも良いかな?と考えて、メニューができあがっていきました。

特に常連さんに人気なのは、スパイシーチキンのランチプレートです。自家製発酵フルーツを乗せたヨーグルトや、お味噌汁つきです。漬け置きなどはせず、注文を受けてから作っており、スパイスもオリジナルでブレンドして使っています。気に入ってくださる方が多くて嬉しいですね。

ランチで提供しているプレートやカップは大堀相馬焼。福島市にある窯元で月・天のために特別に焼いてもらったもの

ー 各種イベントも盛り上がっていますね

私が思いついたものを、いろいろやってみています。これまでに、占いやパン・雑貨販売、カラオケ、ライブなどなんでもありのマルシェや、音楽ライブ、浴衣で飲みましょう!の会、新月イベントなど開催しました。今は、着物を着る機会が少ない人のために、着物の日を作ろうかなと。いつ何を思いつくか分からないのですが、これからも、思ったものはまずやってみようと思っています。お客さんが笑顔で帰ってくれると嬉しいです。

今後は「ここでイベントをやりたい」という人に向けて、場所を貸すこともしていきたいと思っています。大いに活用してもらって、コミュニティの場にしてもらいたいです。

ー どのようなお客さんが来られるのでしょう?

20代のグループ、1人で来る男性、年配の女性…老若男女さまざまなお客さんが来られます。はじめは「勇気を出して来てみました」という人も、その後常連になってくれたりします。ランチに来てそのまま夜のバーまでいる人もいれば、天気の良い日はただ外をぼーっと眺めている人もいるし、ビールのお代わりを自分で注ぐ人もいます。私が戸締りを忘れて帰った際には、「大丈夫?」と、わざわざ電話で教えてくれた人もいるんですよ。

どんな季節もみんなが集える場に!BBQハウス天・空について

ー どうしてBBQハウスを作ったのでしょう?

もともと隣の土地が空いていて、誰か何か、お店を出してくれないかなと思っていました。でも誰も出さないので、じゃあ自分でやろうと思い立ちました。私自身アウトドアが好きだったことと、寒さが厳しい冬も含めて年中集まれる、みんなのコミュニティになればいいなと、BBQハウスを作ることにしました。とんとん拍子で話が進んで開店に至り、「タイミングってあるのだな」と思いましたね。

<できること>
1.手ぶらBBQ
2.ビアガーデン(木~日、15:00~)
3.イベント開催

<手ぶらBBQのメニュー>
・スタンダードコース、プレミアムコース、ジンギスカンの3種類(ドリンク、飲み放題別)
・肉や野菜は、基本的に田村市産のものを使用予定。
※メニューは今後変更の可能性あり

<その他概要>
広さ:室内は約25畳、外にテラスあり
料金:問い合わせ時に相談
申込方法:電話(記事末尾に記載)
営業日・店休日:dining月・天に同じ

広々と使える室内スペース。電子ピアノやカウンター、ビールサーバーなども設置

これからも、その人らしくほっとできるお店を

ー 今後はどんなお店にしていきたいですか?

1人でもここに来てほっとできるお店になればと思います。また、ここに足を運べば知り合いが増える、コミュニティが広がる、1人でいたくない時にくる、そんな場所になればいいな…とも思っています。今でもすでに、お客様同士で仲良くなって、「車があったから回ってみたよ」とか、一緒に旅行に行っている人なんかもいます。そういう人たちが増えてほしいですね。

ー 田村市に移住を考えている方へメッセージをお願いします!

私自身、最初は右も左も分かりませんでした。それでも、いろんな人に助けてもらいながら、1から始めてここまできました。動けば縁が繋がり、何とでもなります。思っているだけではなく、動くのが大事だと思います。

田村市は、地域の人があたたかいです。野菜をお裾分けしてくれたり、地元の人しかわからないような話を教えてくれたり、とても助けられました。こちらが気にかければ気にかけてもらえて、地域のつながりができます。自分のやりたいことに「素直」であることが大事だなと思ってます。

 

dining 月・天/BBQハウス 天・空

住所:福島県田村市船引町船引字舘柄前125-1
電話:090-9735-6889
営業時間:11:00〜21:00
定休日:毎週水曜日
Instagram:https://www.instagram.com/tsukiten__/


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たむら移住相談室(運営:一般社団法人Switch)
TEL:050-5526-4583
Mail:contact@tamura-ijyu.jp

※希望日の2週間前までの申請が必須であること、また予約状況により、希望する日、日数のご利用ができない場合があることを、あらかじめご了承ください。