2025年7月30日(水) に、ゼロから農業をはじめたい方に向けて新規就農の流れについて説 明するオンラインイベントを開催しました。
今回は、新規就農をサポートしている田村農業普及所の小川さん、田村市農林課農政係の石井さんをゲストにお招きして、就農に向けた研修や支援制度、新規就農までの流れを説明していただきました。さらに田村地域就農支援プロジェクトのサポートを受け、実際に就農に向けた研修に入っている先輩移住者の及川さんから、農業のリアルと本音、研修内容について語っていただきました。

ゲスト:
・ 小川佳祐さん(田村農業普及所)
「ひとづくり」、「ものづくり」、「地域づくり」の 3 つの視点から、田村市、三春町、 小野町の農業振興に関する取り組みを行っている。 地域農業推進、経営支援を通して認 定農業者や新規就農者の育成など農業の持続可能な発展に注力している。
・石井聡子さん(田村市農林課農政係)
田村市役所職員。新規就農者の相談窓口や就農後のアフターサポートを担当。
・及川光幸さん(就農型地域おこし協力隊)
田村市の就農型地域おこし協力隊。農業未経験の元会社員。今年6月からピーマン農家を目指し、現在研修中。
「新規就農」のスタートは「相談」から!
──及川さんは今年から農業研修を始めたのですよね?
及川さん:はい。未経験なので、自分がいま何をしているのか、これが今後どのようにつながっていくのかわからないため、研修先の方に尋ねながら学んでいます。
──研修を始めるとき、なにが一番不安でしたか?
及川さん:農業が自分に向いているか、体がついていくかが不安でしたね。知識もない し、農業はお金がかかる印象でした。いま住んでいるところは農地付きなのですが、他の方は農地を借りるところから始まるはずです。
小川さん:農業未経験の方は県外から移住して農業を始める方が多いので、住む場所、農業をする場所を探すことからスタートします。
石井さん:市役所窓口にもよく「農地を探しているのですが」と相談を受けます。農地あっての農業だという考えの方が多いですね。
小川さん:作物にはそれぞれ特性があるので、農地を探すにはまず「何を作りたいか」ということを考えることがとても重要です。
▪ 田村市にて未経験から農業を始めるルート2選
【ルート①】田村市役所の窓口に相談
石井さん:田村市でどんな作物が作れて、どんな人がいて、どんな環境なのかを実際に現地に足を運んでもらい知ることが大切です。農業は単独ではできないので。
及川さん:私も実際に一年かけて農業体験ツアー・トライアル農業やオンラインイベント などに参加しました。
石井さん:目指す方向などについてお話を聞き、それに合った農家さんと繋げるためにも、直接対面してお話しさせてもらっています。
──及川さんは就農型地域おこし協力隊ですが、それって?
石井さん:三年後に田村市内で農家として独立してもらうのが「就農型地域おこし協力 隊」です。三年間は研修を積んでスキルアップしてもらいます。途中で作物を変えることも可能です。
──研修では何を学んでいますか?
及川さん:六月に研修を始め、ピーマン作りに必要な準備や土づくり、選別方法や病気など、いろいろなことを学んでいます。あとは耕作放棄地を自分で草刈りして土づくりをしています。
石井さん:田村市内の空いている農地は耕作放棄地が多く、水の確保なども難しい場合があります。そういう農地について周囲から情報を集めることも必要です。
小川さん:農地バンクという窓口があり、貸したい人と借りたい人のマッチングをしています。農業委員会でもやっているので、農地を借りたい人は一度ご相談ください。
──二年目はどんな研修をするのですか?
及川さん:二年目はハウス一棟を任せてもらい、経営者としての知識も教えてもらいます。
小川さん:研修して一~二年で独立する人もいますし、実際にそれを経験させてもらうことはとても大きいと思います。
──三年後の販路はどう考えていますか?
及川さん:JAを頼ってそこから販路を広げていこうと思います。そういうノウハウも研修を通して学んでいます。
▼参加者さんからの質問
●質問:井戸を掘って水は確保できますか?
小川さん:深く井戸を掘れば水は出ると思います。ただ、雨量減少によりこの地域の水源の水量が少なくなっているため、農家さんは大体井戸を持っています。農業には水源が必要なため、その土地を掘って水が出るかどうかの情報も周囲の人に聞いた方がいいですね。
●質問:一日のスケジュールは?
及川さん:今日の場合は、5時半からピーマン収穫、7時半に朝食休憩、8時から再開、10 時休憩、12時までピーマン収穫をしてお昼休憩を挟み、13時にヘタ切り。最近日中は暑いので朝早くからやってます。熱中症対策として、空調服や濡らすと冷えるタオル、帽子などは必須で、水分や塩分補給をしながら作業します。
【ルート②】田村地域就農支援プロジェクト
小川さん:田村地域就農支援プロジェクトとは、県、田村市、三春町、小野町、JAで協力して新規就農を支える制度です。ヒアリングを実施して「何を作るか」「どこに売りたいか」などの希望や、就職希望か独立希望か等を聞きます。雇用後に独立するパターンもあります。
──ヒアリングとは?
小川さん:なぜ農業をしたいのか、福島県のことをどのくらい理解しているかなどを聞きます。実際に現地に来てもらって農地や暮らしを知ることが重要です。さまざまな体験プロジェクトも開催しているので、それらに参加して地域や農業を知ってもらい、農家さんから話を聞きながら交流を深めましょう。
──その後の認定農家への研修とは?
小川さん:県の認定を受けている農家さんのもとで研修を受けます。研修期間は一年以上(1200 時間以上)。研修中は研修生と農家さんにヒアリングし、研修方向や事業計画などを一緒に進めていきます。最初にどういう農業がしたいかを答えられなくても、ヒアリングやイベントなどで情報収集してもらい、農地や販路も研修中に考えて決めてもらいます。
──実際に研修してる年齢層はどのくらいですか?
小川さん:現在は30代の方が研修中です。研修制度を利用するには年齢制限があります が、制度を利用しなくても学べるため年齢は関係ありません。さらに、認定新規就農者という国の制度があり、事業計画を作成し市町村に認定してもらえれば(条件あり)、サポートや補助金を受けることもできます。
現地イベントに参加して「はじめの一歩」を踏み出そう!
どのゲストも現地に足を運ぶことが大切だということでした。
田村市や田村地域就農支援プロジェクトでは新規就農にご興味がある方に向けたさまざまな農業体験を開催しております。
・“農ある暮らし”を体験する、in田村9月27日(土)~28日(日)(1泊2日)8名限定
・オーダーメイド型農業体験(通年)
・お試し就農生(雇用就農を最大3ヶ月お試し体験)令和8年2月28日まで 20名限定
・たむらの就農相談会(予約制)次回開催:10月1日(水)(3名/日)
・たむら地域の農業見学会9月26日(金)~27日(土)(1泊2日)
・たむら地域のお試し就農体験10月17日(金)~10月18日(土)(1泊2日)
ご興味がありましたら、ぜひ一度お問い合わせください。
今回もたくさんの方にご参加いただきました。参加者からは、
・農業における経費や水の確保などの話も聞けて参考になりました
・新規就農までの流れがイメージできました
・実際に働いている方の体験談が聞けて、とてもイメージしやすくなりました
との感想をいただきました。
たむら移住相談室では今後も、田舎での暮らしを満喫されている方や活躍する地域プレー ヤーをゲストにお迎えしてオンラインイベントを行います。ぜひ今後の情報もチェックし てみてください。
たむらぐらし