和歌山県が、2018年4月から企画している起業・就農、就労の体験プログラムが
利用者が希望する事業者のもとで「しごと」を体験しながら、
周辺地域の先輩移住者や地域住民の方との交流を通じて「くらし」の体験を行い、
移住後の生活をイメージすることができます。体験費は無料です。その“体験先”をご紹介します。
住所:和歌山県橋本市 事業内容:梅、柿、八朔、みかんの栽培
橋本市は、大阪市内まで電車で約40分というアクセスの良さから、通勤や通学で大阪へ通う人も多いエリア。その一方で、豊かな自然の中で四季の移り変わりを楽しむことができる“便利で自然に癒される”暮らしやすい街です。
かつては高野山の食料供給地としての役割も担っていた橋本市は農業も盛んで、恵まれた土壌を活かした高品質な果実が収穫できることで知られています。そんな橋本市で、梅、柿、八朔、みかんといった多彩な果樹栽培を手がけるのが「前田農園」です。
農園主の前田治樹さんは、14年間農家に勤めて農業経験を積んだ後に独立。今年で6年目を迎える果樹栽培のエキスパートです。前田農園の果実は、その品質の高さから予約段階で完売してしまうほどの人気を誇っています。
「天候不良などによる不作の影響もあって果実の価格は高騰していますが、お客様が求めているのは、やっぱり最後は味なんです。味へのこだわりがないと続けられないと思います」
「農業はチャンス」と語る前田さんは、橋本市でも増加が問題となっている耕作放棄地を活用し、独立後は順調に生産量を増やしてきました。
「前田農園」なら、単なる農作業体験だけではなく、果樹栽培の奥深さや自然と向き合う農業の本質、農園経営など幅広い学びの機会を得ることができるでしょう。特に本格的に就農を考え独立を目指している方や、定年後のセカンドライフとして農業を検討されている方にぴったりの体験です。
今回体験できる内容
「前田農園」では、梅、柿、八朔、みかんと年間を通じて、さまざまな果樹栽培を行っています。梅は初夏、柿は秋、八朔やみかんは冬が収穫時期です。「収穫してもらうのが一番楽しいと思います」と前田さん。実際に自分で収穫した果実を味わうことで、農業の喜びを体感しましょう。
「前田農園」で特に栽培量が多いのが梅です。「梅栽培で、人ができることは全体の2割程度、残りの8割は天候次第です」と前田さん。その2割の努力を最大限にすることを常に心がけていると言います。
中でも剪定作業が重要で「剪定で全てが決まってくる」そうです。そのノウハウは書籍で学べるようなものではありません。この体験で、農業経験20年の前田さんの経験値から生まれる技術に触れてください。
梅と八朔は特別栽培の認証を得て、有機肥料100%で栽培していますので、環境にやさしい農業に興味のある方にもおすすめです。
「私の場合は、畑に恵まれていますね」
前田さんは、独立前には経験がなかった八朔の栽培にも取り組んでいます。JAや地元の地主さんのご協力で良い土地に出会えたことが質の高い八朔作りにつながっていると言います。
「農業といえども人との関わりが多いですし、結局コミュニケーション能力が大事です」と前田さん。
農業従事者グループである「紀北果樹ネットワーク」の幹事長も務める前田さんから、地域コミュニティとの関わり方、土地選びのポイント、新規就農のための補助金情報など、実践的なアドバイスを受けることができるでしょう。
しごと・暮らしの特徴
「もっと早く独立すればよかった」と話す前田さん。
元々農業に関心があったわけではなく、親戚の紹介で農家にアルバイトに行ったことがきっかけで農業を始め、「これ以上の年収を望むなら自分でやるしかない」と独立を決意しました。
独立後は長年耕作放置されていた畑で梅を育て、1年目には2トン程度だった収穫量を2年目には10トン、3年目以降はそれ以上に伸ばすことに成功します。
「独立して6年になりますが、その間、果物の価格は右肩上がりです。就農を考えている方には果樹栽培をおすすめしますね」
しかし、そのためには肉体的にも精神的にもタフさが必要だと話します。「同じ作業がずっと続きますので、忍耐力が必要です。収穫時期は、ずっと走り続けているような感覚です」
天候の影響で色づきが悪かったり、カメムシなどの害虫が発生したり、自分ではコントロールできない問題と常に向き合う必要があるのが農業。それでも前田さんが農業を続けることができるのは、「お客様の声」に励まされているからです。
「ネット販売を通じて、お客様とのつながりが深まっています。お客様からのメッセージには全て返信し、普段の作業内容や梅の開花などの様子も積極的に発信しています」
「農業に対して前向きな姿勢を持った方に来てほしい」という前田さん。現状からの逃げ場として農業を選ぶのではなく、明確な目標を持って取り組む方に対して20年の経験を活かした指導を惜しみません。自然と共に生きる「農業」を通じて、新しい人生のチャンスをつかんでみませんか?
スケジュールイメージ
1日目(13:00~17:00)
1.ごあいさつ、やりたいことや目的の確認
2.「前田農園」の仕事の説明
3.仕事のお手伝い
・収穫作業
(梅6〜7月、柿9〜11月、八朔12〜1月)
・剪定、摘果などの農作業
※実際の仕事状況によって変更があります。
2日目(9:00~17:00)
1.仕事のお手伝い
・収穫作業
(梅6〜7月、柿9〜11月、八朔12〜1月)
・剪定、摘果などの農作業
※実際の仕事状況によって変更があります。
3日目(9:00~15:00)
1.仕事のお手伝い
・選果、荷造りなどの出荷作業
2.地域交流体験
・周辺環境の見学や地域の方とのふれあい
3.最後のまとめ
・体験の感想、質疑応答
※実際の仕事状況によって変更があります。
アクセス情報
集合場所:和歌山県橋本市野793(前田農園)
※公共交通機関では行きづらい場所のため、レンタカー・自家用車での参加がオススメです。


