はじめに

2023年春より大熊町に移り住み、大熊インキュベーションセンター(OIC)の広報スタッフを務める齋藤心さん。齋藤さんは今、福島県浜通りの宇宙産業に携わりながら、日々大熊町の情報を伝えています。齋藤さんの目から見る大熊町はどんな場所で、今後どんな発信をしていきたいのか、お話を伺いました。

大熊に移住した理由:復興が進む町に関わりたかったから

北海道出身で、大学院までを北海道で過ごしました。その後、大熊町に移住し、大学時代にインターンとして関わっていたSpace Connect株式会社に入社しました。もともと大熊町のことはあまり知らなかったのですが、たまたま知人に誘われて大熊町を訪れた際、OICを見学する機会があり、大変興味を惹かれました。オフィスとしての設備が整っており、多くの本や雑誌も揃っていて、非常に快適で魅力的な環境だと感じました。また、自分と近い年齢の方々が活躍されている様子にも関心を持ちました。

さらに、今まさに復興が進むこの町が今後どのように変化していくのかを見届けられることにも魅力を感じ、「ここに住んでみたい」と思うようになりました。

実際に移住してみて、あらためてOICの快適さを実感しています。施設はとてもきれいでネットワーク環境も良く、その日の気分に合わせて作業スペースを選べるのが気に入っているポイントです。移住当初は車を持っていませんでしたが、町内を循環する無料バスを利用できたことや、地域の方々に助けていただいたおかげで特に不便さは感じませんでした。確かに、遊ぶ場所や買い物できる場所は都会よりは多くありませんが、つい浪費してしまいがちな私にとってはかえってそのシンプルさが心地よくもあります。

また、仙台や郡山、東京など都市部へのアクセスが良いことに加え、晴れの日が多い点も、この地域の住みやすさを感じる理由のひとつです。

誰もがわかりやすいメディア発信を目指して

Space Connect株式会社では宇宙ビジネスメディア「SPACE CONNECT」の担当として宇宙産業について発信しています。宇宙産業というあまり聞きなじみのないテーマについてお伝えするにあたり、宇宙産業に関心がある人にもそうでない人にも伝わるような記事づくりを意識しています。

https://space-connect.jp/

最近、福島県浜通り地域では南相馬市を中心に宇宙産業が盛んになりつつあり、ロケットの発射実験なども行われています。「SPACE CONNECT」でもそのロケット発射実験の様子や南相馬市で開催された「福島スペースカンファレンス」の様子を紹介させていただきました。

今後は大熊町の方々ともロケット打ち上げ実験を見に行ったり、大熊町の企業さんとの連携を広げたりできたらいいなと思っています。浜通りで広がる宇宙産業の魅力を、もっと多くの人に知ってもらえるよう努めていきたいです。

また、OICのスタッフとしても広報を担当しており、大熊町民や企業の皆さんにOICの情報をお伝えするべく、様々な情報を発信しています。現在は、3月15日にOICで行われる予定の「OKUMA ODYSSEY 復興交流イベントおおくま学園祭 2025」に向けても広報活動を行いました。入居企業様との交流もあり、和気あいあいと過ごすことができ、とても居心地が良い場所だと感じています。

大熊町で広がる人と人とのつながり

大熊町に移住して感じることの一つに、人と人とのつながりの温かさがあります。町に関わる人々はとても親しみやすく、全く知り合いがいない状態で移住した私にも、自然と交流の輪が広がっていきました。

おおくまーとの「軽食喫茶レインボー」で開催されていたバーイベントのスタッフをさせていただいたり、食事会に参加したりと、賑やかで楽しい時間を過ごしています。大熊町には料理の得意な方も多く、私自身も「もっと料理を上達させたい」と良い刺激を受けています。

また、スポーツも人とのつながりを深めるきっかけになっています。私は学生時代から卓球を続けているのですが、大熊町でも町民の方々と卓球チームを組み、日々練習や試合を楽しむことができています。

移住を考えている方へのメッセージ

大熊町は、大規模な産業から地域の産業まで、様々な産業の発展を感じることができる町です。若者が多い印象がありますし、チャレンジできる環境が整っていると感じています。都会と比較すると不便なところは確かにありますが、それも楽しみの一つとなっています。迷ったらぜひ一度、短期間でも来てみてください!