100年先も、梅林のある風景を残したい。小田原の梅農家が描く、地域と都市の新しい関係
神奈川県小田原市に広がる曽我梅林。この地域で「梅林を次の100年へつなぎたい」と活動するのが、合同会社10decades代表の平澤 勉さんです。
目指しているのは、梅を栽培し続けることだけではありません。農家が誇りと生計を持ち、地域の内外から訪れる人々が「遠い親戚」のように関わり続けられる、新しい梅農業と地域の仕組みをつくることです。
なぜ、平澤さんはこのテーマに取り組むのでしょうか。そして、X-Fieldsでどんな未来をつくろうとしているのでしょうか。
今回のテーマ|曽我梅林の営みと風景を、次の100年へ
「曽我梅林の農業・風景・暮らしを次の100年へつなぐため、地域内外の人が『遠い親戚』として関わり続けられる、新しい梅農業と地域の仕組みをつくりたい。」
これが、平澤さんがX-Fieldsで取り組みたいテーマです。
梅の産地として知られる小田原市の曽我梅林。長年にわたり地域の人々が育んできた農業と風景を未来へつないでいくためには、これまでとは異なる仕組みが必要だと平澤さんは考えています。
農家だけで課題を抱えるのではなく、地域の外から訪れる人も、梅林を支える仲間になれるのではないか。
農業体験や商品づくり、継続的な交流など、さまざまな関わり方を通じて、地域と都市の人がともに梅林の未来を考えることを目指しています。
神奈川県小田原市|100年続く梅林を目指す梅農家
合同会社10decades代表 平澤 勉さん

川崎市出身。日産自動車(株)にて15年ほど研究開発に従事した後退職、地域活性化プロジェクトなどへの参画を経て、現在は神奈川県小田原市の曽我梅林で就農し、農業の再生と持続可能な地域経営を目指すプロジェクトに取り組んでいる。地元農家と協働しながら、農地保全、6次産業化、農泊や企業研修などを連動させながら、地域と継続的に関わる関係人口を生み出す仕組みづくりを進めている。
https://llc10decades.com/
Why|食べ物をつくる人が、誇りを持って生きられる世界をつくりたい
平澤さんが梅農家を志した原点には、「食べ物をつくる人が、やっていてよかったと思える世界をつくりたい」という願いがあります。
私たちの暮らしを支える農業。しかし、農家の高齢化や担い手不足、収益性の低さなど、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
曽我梅林も例外ではありません。
気候変動や担い手不足などによって梅林の存続が危ぶまれるなか、梅を生産して販売するだけでは、将来にわたって農業を続けていくことが難しいという現実があります。
平澤さんが目指すのは、農家が安心して暮らし、仕事に誇りを持てる未来です。
同時に、農業を支える地域の人々や、そこに暮らす生き物、自然環境も大切にしたいと考えています。
「自分が生まれ育ったところの水道は、ここの水を犠牲にしたことを忘れないため」
「素晴らしくなる可能性が見えてしまったため」
平澤さんの言葉からも、平澤さんが環境や地域との関係を、自分自身の生き方と結びつけて考えていることが伝わってきます。

Background|自動車エンジニアから、地域の梅農家へ
平澤さんは神奈川県川崎市出身。日産自動車株式会社で約15年間、研究開発に従事した後、退職しました。
その後、地域活性化プロジェクトなどへの参画を経て、現在は神奈川県小田原市の曽我梅林で就農し、農業の再生と持続可能な地域経営を目指すプロジェクトに取り組んでいます。
小田原との出会いは、暮らしやすい景観に惹かれたことでした。
さらに、地元の農家による収穫イベントに参加したことが、地域との関わりを深めるきっかけとなります。
車でわずか5分ほどの場所に、これほど豊かな営みがあること。それを3年間暮らしていても知らなかったこと。
その驚きが、平澤さんを地域の農業へと向かわせました。
How|梅を育てるだけでなく、地域に新しい循環をつくる
平澤さんはこれまで、梅の農薬・化学肥料・除草剤を使用しない栽培や、商品企画・開発、製造・販売、里山体験プログラムの企画・提供などに取り組んできました。また、食料自給をテーマにしたコミュニティの企画・運営、社会人大学院生の合宿受け入れ、研究会の開催など、農業を入り口にさまざまな人が地域と関わる機会も生み出しています。
現在は、古民家の改修による拠点整備、農業実習生の受け入れ、農地改良・農法改革、企業研修の企画などにも取り組んでいます。
これから特に挑戦していきたいのは、次の三つです。
①農業の手法を変え、梅の価値を届ける販路を広げる
農家の負担を軽減しながら、環境にも配慮した営農を続けるため、循環型農法や低樹高栽培など、新しい栽培方法を検討していきます。同時に、これまで十分に活用されてこなかった梅も商品へ変え、新商品開発や販路拡大を進めることで、農家の所得が安定する仕組みをつくりたいと考えています。「つくる方法」と「届ける方法」の両方を変えることが、梅農業を続けられる仕事にしていくための第一歩です。
②体験・研修コンテンツを広げる
梅林や里山、古民家を生かし、企業研修、農業体験、合宿、農泊などのプログラムを充実させていきます。平澤さんが用意したプログラムを提供する「コンテンツ提供型」だけでなく、企業や団体が自ら企画を持ち込み、地域をフィールドとして活用する「場所貸し型」も試したいと考えています。梅林を、働き方や暮らし方、環境との関係を見つめ直す学びの場へ育てていきます。
③梅林そのものを、新しい挑戦が生まれる場にする
関係人口づくりが得意な人や、人と地域をつなぐことが好きな人とともに、「シェア梅林」のような継続的な関わり方をつくっていきたいと考えています。さらに、梅林を守るための活動に参加してもらうだけでなく、この場所を社会実験のフィールドとして開いていくことも構想しています。
梅林を舞台に新しいサービスを試す。地域資源を生かした事業を立ち上げる。「ここで起業してみたい」という人が現れる。地域の外から来た人が、用意された体験を受け取るだけでなく、自ら新しい動きを興していける場所にすること。それが、平澤さんが目指す次の段階です。

梅林を舞台に新しいサービスを試す。地域資源を生かした事業を立ち上げる。「ここで起業してみたい」という人が現れる。地域の外から来た人が、用意された体験を受け取るだけでなく、自ら新しい動きを興していける場所にすること。それが、平澤さんが目指す次の段階です。
Vision|「遠い親戚」のように、地域と関わり続けられる未来へ
平澤さんが大切にしているのは、「遠い親戚」という関係性です。
家族ほど近くはないけれど、まったくの他人でもない。ときどき顔を合わせ、必要なときには力を貸し合える。地域に暮らしたり、農業を本業にしたりしなくても、梅林の未来を一緒に考えることはできます。観光で訪れた人が、体験をきっかけに再訪し、やがて農作業や地域活動に関わる。その先に、二地域居住や就農という選択肢が生まれるかもしれません。一人ひとりに合った関わり方を育て、梅林を支える人の輪を広げていきます。

地域の農業や風景、暮らしを守りながら、地域外の人も自分らしい関わり方を見つけていく。環境的な持続可能性、社会的な公正、精神的な充足を大切に、ここに関わる人が幸せを感じられる文化を残していきたいと考えています。
X-Fieldsで、一緒に考えたいこと
100年先も曽我梅林の風景を残していくために、今、何ができるのでしょうか。
農業の生産性を高める方法、新しい商品やサービスの可能性、都市部の人が継続的に地域と関わる仕組みなど、考えられることはさまざまです。今回のX-Fieldsでは、地域の外から参加する共創コーディネーターの皆さんと、それぞれの経験や得意なことを持ち寄りながら、新しい可能性を探っていきます。
農業の専門家である必要はありません。
企業研修や人材育成に関わってきた人。商品開発や販路づくりが得意な人。コミュニティや関係人口を育ててきた人。地域をフィールドに、新しい事業を試してみたい人など。大切なのは、地域の人々の思いや営みに関心を持ち、ともに考え、試してみようとする姿勢です。100年先の梅林の風景を思い描きながら、平澤さんと一緒に、これからの地域と都市の関係を考えてみませんか。
X-Fields 共創コーディネーター募集!
地域と都市を往来しながら、新しい仕事や協業の可能性を探る。
X-Fieldsは、地域の担い手である「テーマオーナー」と、地域内外から参加する「共創コーディネーター」がチームを組み、対話や現地での実践を通じて、地域と都市の新しい関係をつくるプログラムです。用意された課題に答えを出すのではなく、それぞれの思いや経験、得意なことを持ち寄りながら、一緒に問いを見つけ、これからの関わり方を形にしていきます。
【募集要項】
X-Fieldsは、地域の担い手である「テーマオーナー」と、地域内外から参加する「共創コーディネーター」がチームを組み、対話や現地での実践を通じて、地域と都市の新しい関係をつくるプログラムです。用意された課題に答えを出すのではなく、それぞれの思いや経験、得意なことを持ち寄りながら、一緒に問いを見つけ、これからの関わり方を形にしていきます。
活動期間: 2026年11月30日(月)〜2027年2月23日(火・祝)
募集地域: 神奈川県小田原市・群馬県沼田市・長野県飯綱町
募集人数: 各地域3〜5名程度
参加費: 無料(交通費・宿泊費等は自己負担)
本エントリー締切: 2026年11月12日(木)
選考結果通知: 2026年11月18日(水)予定
X-Fields プログラム全体の紹介
https://nativ.media/114796/
参加までの流れ
オープンセッション参加orアーカイブ視聴で内容を知る → 本エントリー →オンライン面談( 30分)※→選考・チーム編成 → 結果通知 → オンラインキックオフ
※オープンセッションに参加できない方はアーカイブ視聴が必須となります。
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※こちらをクリックしてご覧ください。
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X-Fields運営事務局(ミテモ株式会社)
E-mail:cue@mitemo.co.jp
TEL:03-4572-0407
Web:https://www.mitemo.co.jp/
主催:郵便局ネットワーク活用都市・地方広域連携二地域居住促進コンソーシアム 運営:ミテモ株式会社
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