ラグビーワールドカップの日本代表チームの活躍は、本当に素晴らしかったですね。
自分は、完全に「にわか」です。(笑) 正直、今回人生で初めてラグビーの試合を最初から最後まで見ました。
ふと思ったのですが、選手は当然自分よりも若い世代で、その殆どが日本の”少子化”が始まった後に生まれた人たちです。
なのに、世界的なレベルがこれだけ上がったのは、なぜなのでしょうか?
他のスポーツもそうですが、ある意味その多くが「同世代の人口が減る中でグローバル競争力を上げている」ではありませんか。
その中でも特にラグビーは、比較的団体競技で困難だと思われていたそのことを見事に実現しています。
「人口減少が全ての元凶で、もう競争力を回復する術はほとんど無い」というくらいネガティブに語られがちな、日本や地域にとって、
もしかしたら、このラグビー日本代表から学べることは多いかもしれません。
いやもっと言えば、これから地域はこの「ラグビー型社会」とも言うべき形をめざしてもいいくらいかもと!
興奮しすぎでしょうか(笑)
ともかく折角の機会なので、初心者の新鮮な目で、そのラグビーから学ぶべきポイントを整理してみたくなりました。
この記事の目次
ポイント① 専門化が進み、スペシャリストが活躍している
ラグビーは想像以上に役割分担がすすんでいますね。野球やサッカーももちろんポジションがあるのですが、
それが交錯することも多いような気がします。ラグビーは、ほとんどそれがない、というかポジションによって体型が全く違うくらい役割分担が徹底しているようです。
それだけ、その専門性が重視されているということでしょう。
地域社会もそうかも知れません。もっともっとスペシャリストが沢山増えて、その専門性が活かせる社会を目指すべきかもしれません。
ポイント② 多様性が半端ない
ラグビーを見ていて一番素晴らしいなと思ったのは、やはりダイバーシティの面ですね。
外国国籍の選手が非常に多く、また海外からの血縁をもつ方も本当に多い感じでした。
個人的には、将来の日本がこんなふうになっていたら、本当にいいなと思います。
というか、たぶんそうなっていくんだろうなと。自分がラグビーを見ていて一番気持ちが良かったのはこの点でした。
こうなると、いわゆる「国境」や「国籍」の意味は本当に薄れてきますね。
国が持つアイデンティティや文化そのものの価値が、それを上回る社会になります。
要するに、チームのコンセプトや戦略、価値観などがそれに当たります。
いいですねー。本当に。
そうなると、世界中から「日本」にあこがれてくれる人が増えるんじゃないか…と考えるのは楽観的すぎますかね?
そうなるようにしなければと思います。
地域も同じです。
多様性を大いに受け入れ、そのことがよりその土地の文化や価値観を際立たせる社会。
これこそ、これから目指すべき地域のありかたではないかと強く感じました。
ポイント③ 監督が現場で口出ししない
このポイントも、他のスポーツにないかなりユニークなポイントに見えました。
いわゆるヘッドコーチは、試合中観客席みたいなところから見ていて、選手に直接指導しないんですよね。考えてみれば、これってすごいことだなと。
昔、あの伝説のラガーマンで、若くして亡くなった平尾誠二さんが書かれた記事か著書の中で「考える組織」という言葉を使われていました。
実は、かなり前のことですが、この言葉からは非常に強いインパクトを受けた記憶があります。
ちょっと探したら、こちらの記事に同様の事が書かれていました。
【一人ひとりが考える組織に】
いま組織は新しい転換期に差し掛かっていますし、プレーヤーの評価の仕方も変わってきています。
昔は監督の言ったことをちゃんとやってくれるのがいいプレーヤーでしたが、いまはそういうプレーヤーは頼りない。それよりも、新しいものを自分で創り出せる人が求められます。
(出典:致知出版:ミスター・ラグビー、平尾誠二が語った「強い組織」の作り方2019/7/7記事)
同じようなことが、東北大震災後の女川町の復興の掛け声になっているというエピソードを聞いたことがありました。
それは「還暦以上は口出すな。」という言葉です。
これは要するに、”これまで仕切ってきた世代は、若い世代のサポートに回ろう”という意図で発せられた、実は「地域のリーダー」からの言葉です。
少しニュアンスは違うかもしれませんが、指導的立場の人たちが、上意下達で動かす時代ではなくなった…
という意味としては、重なる部分があるかもしれません。
要するに、現場にいる誰もが主体的に判断して動く社会が、これから求められるということだと思います。
特にその役割を、若い人たちが担っている地域は、やはり直感的に可能性を感じます。
ポイント④ にわかファンを大切にする
ラグビーって、経験者の皆さんも、非常に寛容だなという印象があります。初心者の受け入れ方が優しいですよね。
関係者・経験者にとっては、「ようやくここまで注目されるようになった」という積年の思いからくるからかもしれません。
少なくとも「初心者にはわかるまい」的な疎外感や、閉鎖的な雰囲気はほとんど感じません。
これもラグビー特有の、リスペクトを重視する価値観や、ノーサイドの精神からくるのでしょうか。
このポイントは、これからの地域には特に重要なことだと思います。
以前、コラムにも書きましたが、関係人口というのは、言ってみれば「熱烈なファン」だと思うのです。
ファンを大切にし、熱烈なファンに育てることこそ、正しく「関係人口創出」そのものですから。
ポイント⑤ リスペクト(敬意)を全ての基盤にしている
ラグビーの気持ちよさの最大のポイントがここですね。
このことに対して、もう異論がある人はいないでしょう。
ある意味これが全てかもしれません。人間社会の根源的なものかなと思います。
あれだけ激しいぶつかり合いを成り立たせるには、必須なのかもしれません。
敵味方の関係性はなくても、継続的な関係性を構築するには、無くてはならないことだと改めて気付かされました。
これから地域と関わろうとする人も、受け入れる人も、これがないと成り立たないのは言うまでもありません。
大人がしっかり正しい姿勢を見せるというだけで、こんなに周囲の気持ちが良くなる。
今回、ラグビーから教えてもらった一番のことかもしれません。
以上の5つのポイントが、ラグビーを見ていて特に大切だと感じたことで、どれも普遍的なことではありますが、特にこれからの地域社会には必要な条件になってくる気がしました。
皆さんはどう感じましたか?
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【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。