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大分県の「余白感」を関係づくりのきっかけに。関係人口創出の先進事例「大分で会いましょう。」の考え方

大分県がおこなっている「大分で会いましょう。」という取り組みがあります。月に1度のペースで、ある2人が大分を訪れ、行く先を話し合い、旅を始めます。その様子を映像として配信するという旅番組です。キーワードは、「せっかくだから 大切な話は、大分で」 2018年に始まったこの取り組みは、地域の関係人口を創出する試みとして注目されています。 [...]

ラグビー型社会は、地域の未来のお手本かもしれないと感じた5つのポイント

ラグビーワールドカップの日本代表チームの活躍は、本当に素晴らしかったですね。自分は、完全に「にわか」です。(笑) 正直、今回人生で初めてラグビーの試合を最初から最後まで見ました。ふと思ったのですが、選手は当然自分よりも若い世代で、その殆どが日本の"少子化"が始まった後に生まれた人たちです。なのに、世界的なレベルがこれだけ上がったのは、なぜなのでしょうか?他のスポーツもそうですが、ある意味その多くが「同世代の人口が減る中でグローバル競争力を上げている」ではありませんか。その中でも特にラグビーは、比較的団体競技で困難だと思われていたそのことを見事に実現しています。「人口減少が全ての元凶で、もう競争力を回復する術はほとんど無い」というくらいネガティブに語られがちな、日本や地域にとって、もしかしたら、このラグビー日本代表から学べることは多いかもしれません。いやもっと言えば、これから地域はこの「ラグビー型社会」とも言うべき形をめざしてもいいくらいかもと!興奮しすぎでしょうか(笑)ともかく折角の機会なので、初心者の新鮮な目で、そのラグビーから学ぶべきポイントを整理してみたくなりました。ポイント① 専門化が進み、スペシャリストが活躍しているラグビーは想像以上に役割分担がすすんでいますね。野球やサッカーももちろんポジションがあるのですが、それが交錯することも多いような気がします。ラグビーは、ほとんどそれがない、というかポジションによって体型が全く違うくらい役割分担が徹底しているようです。それだけ、その専門性が重視されているということでしょう。地域社会もそうかも知れません。もっともっとスペシャリストが沢山増えて、その専門性が活かせる社会を目指すべきかもしれません。ポイント② 多様性が半端ないラグビーを見ていて一番素晴らしいなと思ったのは、やはりダイバーシティの面ですね。外国国籍の選手が非常に多く、また海外からの血縁をもつ方も本当に多い感じでした。個人的には、将来の日本がこんなふうになっていたら、本当にいいなと思います。というか、たぶんそうなっていくんだろうなと。自分がラグビーを見ていて一番気持ちが良かったのはこの点でした。こうなると、いわゆる「国境」や「国籍」の意味は本当に薄れてきますね。国が持つアイデンティティや文化そのものの価値が、それを上回る社会になります。要するに、チームのコンセプトや戦略、価値観などがそれに当たります。いいですねー。本当に。そうなると、世界中から「日本」にあこがれてくれる人が増えるんじゃないか...と考えるのは楽観的すぎますかね?そうなるようにしなければと思います。地域も同じです。多様性を大いに受け入れ、そのことがよりその土地の文化や価値観を際立たせる社会。これこそ、これから目指すべき地域のありかたではないかと強く感じました。ポイント③ 監督が現場で口出ししないこのポイントも、他のスポーツにないかなりユニークなポイントに見えました。いわゆるヘッドコーチは、試合中観客席みたいなところから見ていて、選手に直接指導しないんですよね。考えてみれば、これってすごいことだなと。昔、あの伝説のラガーマンで、若くして亡くなった平尾誠二さんが書かれた記事か著書の中で「考える組織」という言葉を使われていました。実は、かなり前のことですが、この言葉からは非常に強いインパクトを受けた記憶があります。ちょっと探したら、こちらの記事に同様の事が書かれていました。【一人ひとりが考える組織に】いま組織は新しい転換期に差し掛かっていますし、プレーヤーの評価の仕方も変わってきています。昔は監督の言ったことをちゃんとやってくれるのがいいプレーヤーでしたが、いまはそういうプレーヤーは頼りない。それよりも、新しいものを自分で創り出せる人が求められます。(出典:致知出版:ミスター・ラグビー、平尾誠二が語った「強い組織」の作り方2019/7/7記事)同じようなことが、東北大震災後の女川町の復興の掛け声になっているというエピソードを聞いたことがありました。それは「還暦以上は口出すな。」という言葉です。これは要するに、"これまで仕切ってきた世代は、若い世代のサポートに回ろう"という意図で発せられた、実は「地域のリーダー」からの言葉です。少しニュアンスは違うかもしれませんが、指導的立場の人たちが、上意下達で動かす時代ではなくなった...という意味としては、重なる部分があるかもしれません。要するに、現場にいる誰もが主体的に判断して動く社会が、これから求められるということだと思います。特にその役割を、若い人たちが担っている地域は、やはり直感的に可能性を感じます。ポイント④ にわかファンを大切にするラグビーって、経験者の皆さんも、非常に寛容だなという印象があります。初心者の受け入れ方が優しいですよね。関係者・経験者にとっては、「ようやくここまで注目されるようになった」という積年の思いからくるからかもしれません。少なくとも「初心者にはわかるまい」的な疎外感や、閉鎖的な雰囲気はほとんど感じません。これもラグビー特有の、リスペクトを重視する価値観や、ノーサイドの精神からくるのでしょうか。このポイントは、これからの地域には特に重要なことだと思います。以前、コラムにも書きましたが、関係人口というのは、言ってみれば「熱烈なファン」だと思うのです。ファンを大切にし、熱烈なファンに育てることこそ、正しく「関係人口創出」そのものですから。ポイント⑤ リスペクト(敬意)を全ての基盤にしているラグビーの気持ちよさの最大のポイントがここですね。このことに対して、もう異論がある人はいないでしょう。ある意味これが全てかもしれません。人間社会の根源的なものかなと思います。あれだけ激しいぶつかり合いを成り立たせるには、必須なのかもしれません。敵味方の関係性はなくても、継続的な関係性を構築するには、無くてはならないことだと改めて気付かされました。これから地域と関わろうとする人も、受け入れる人も、これがないと成り立たないのは言うまでもありません。大人がしっかり正しい姿勢を見せるというだけで、こんなに周囲の気持ちが良くなる。今回、ラグビーから教えてもらった一番のことかもしれません。以上の5つのポイントが、ラグビーを見ていて特に大切だと感じたことで、どれも普遍的なことではありますが、特にこれからの地域社会には必要な条件になってくる気がしました。皆さんはどう感じましたか?写真:Takashi Sakamotoおすすめの関連記事はこちら【コラム】誤解しがちな「関係人口」の意味とは?〜マーケティングの観点から見たその本質〜【コラム】令和時代に確実に変化する5つの価値観〜【コラム】小さな地域や自治体の情報発信力を格段にアップさせる唯一の方法 [...]

【寄稿】人口減少を救う「多拠点居住」の最大の障害は…〜【特集】関係人口を考える

関係人口の入り口とも言える他拠点居住者は、それを支える定額でののシェアハウスや宿泊サービスなどの広まりと同時に、確実に増え始めています。仕事で全国を飛び回る人たちもその代表事例です。全国で病児保育の課題解決事業を展開する社会起業家の駒崎さんもその一人。駒崎さんが、最近、その経験からくる他拠点居住への課題意識をSNSに投稿され、多くの方の共感を集めました。その内容について私達も非常に強く共感したので、御本人にお願いし、そのまま寄稿していただきました。是非皆さんもご一読いただければ幸いです。 [...]

”関係人口創出”は、なぜ難しいのか?

日本政府がいわゆる「地方創生政策」の第二フェーズで、来年度令和2~6年度の5カ年で実施する「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本方針に、「関係人口創出」が盛り込まれたことを受け、今各自治体では、専門チームを組成するなどしてその動きを活発化させているという話を耳にします。 こうした動きを受けて、「関係人口とは何か」については以前こちらのコラムで意見を含めて述べさせていただきました。 [...]

誤解しがちな「関係人口」の意味とは?〜マーケティングの観点から見たその本質〜

過日の2019年5月17日に、こんなニュースがありました。【地方創生、「関係人口」拡大を柱に=政府、次期戦略へ骨子】政府は17日、地方創生の新たな総合戦略策定に向け、有識者会議(座長・増田寛也元総務相)に中間報告の骨子を示した。新戦略の柱として、短期滞在やボランティアなどさまざまな形で継続的に地域と関わる「関係人口」の拡大や、人工知能(AI)やビッグデータをはじめとする未来技術を活用したまちづくりを掲げた。(中略)次期戦略に必要な視点として、移住者と観光客の中間概念である関係人口の拡大や未来技術の活用、地域課題の解決に取り組む人材の育成を例示。特に高校を拠点にした地域の人材育成の重要性を強調した。(出典:時事ドットコムニュース2019/5/17記事)-「地方創生」の一番のゴールは、首都圏と地方の人口格差を是正し、共倒れスパイラルを止めるということです。しかし未だに首都圏への人口流入は続き、それがとどまる兆しは見えていません。政府は「移住促進」はもちろん必要だが、移住者数だけを目標にするのは難しいと考えたようです。そこで2017年ころから使われ始めた「関係人口」という新たな概念を使い、そのゴールへの戦略を練り直す方針に出たということです。このニュースについて、すでにSNSなどでは賛否を含めた様々な意見が飛び交っています。良し悪しはともかくそうした意見を見ていると、中には「関係人口」そのものへの理解も十分でない感じのものもあります。地方創生界隈ではかなり広く使われ始めていますが、世間一般には新しい言葉なので、当然といえば当然です。そこで改めて、ややもすれば「誤解」されがちなこの言葉の定義を確認すると同時に、その本質的な意味を、マーケティングの観点で考えてみたいと思います。「関係」という言葉が生み出す「誤解」関係人口の定義については、こちらの総務省の「関係人口ポータルサイト」に明記されています。同サイトにある下図1が、その内容を端的に示しています。 [図1:総務省が示す関係人口の概念図] [...]

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