「子育て支援」や「移住促進制度」は全国各地どこでもPRされていますが、それが実際の家計にどう影響するかは、制度の中身を見てみないとなかなかピンときません。具体的に色々調べ始めても、「結局いくらもらえるのか」「自分は対象になるのか」という肝心なところは、なかなか見えてこない、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

そんな中、子育てに優しいまちを掲げる「いちき串木野市」では、子育て世代の家計を直接的に支援する制度が複数あります。

住宅を取得すると最大300万円が支給される「定住促進補助金」、そして保育料・医療費・給食費の3つが無償になる子育て支援制度がその柱です。

この記事では、各制度の対象条件や金額の仕組みを具体的に整理しながら、「どういう家族に、どれくらいの恩恵があるか」を分かりやすく解説します。そしてもう一つの後編の記事では、実際にこれらの制度を使って移住した家族のリアルな声をお届けし、さらにその理解を深めていただければと思います。

1.充実した「定住促進補助金」の仕組みについて

いちき串木野市内で住宅を新築・購入した方に支給される制度で、転出抑制と移住促進を目的としています。対象になるのは、新築住宅(居住部分の床面積50平方メートル以上・取得金額400万円以上)または中古住宅(同50平方メートル以上・建物価格200万円以上)を取得し、実際に居住している方。住宅取得または入居から1年以内の申請が必要で、市内への5年以上の定住と公民館への加入も要件に含まれます。

補助の構造は、まず全員に基本額として10万円が支給されます。そこに、該当する条件ごとに加算が重なっていきます。

転入者であれば20万円の加算。45歳未満の若年世帯であれば20万円の加算。中学生以下の子どもが同居している場合は1人あたり20万円で最大4人まで80万円の加算。市内の業者が施工した場合も20万円が加算されます。さらに、市有地を購入した場合や市が造成した分譲団地に建てた場合は、土地に関わる追加の加算もあり、上限額が引き上げられます。

土地の種別ごとの上限額は以下の通りです。民有地に建てた場合の上限は150万円、市有地を購入した場合は最大200万円、分譲団地への建築は最大300万円になります。

たとえば、40代前半の転入世帯が分譲団地に家を建て、中学生以下の子どもが3人いてかつ市内業者が施工した場合を試算すると、基本額10万円に若年世帯20万円、転入者20万円、子ども3人分60万円、地元業者20万円を合計すると130万円。そこに分譲団地の加算が重なれば、上限の300万円に近づく計算になります。転入世帯で子どもが多いほど補助が手厚くなる設計です。

定住促進補助金について詳しくはこちらをご参照ください。

◆申請の流れ

申請は、市役所2階の企画政策課企画調整係で受け付けています。必要書類は、世帯全員の住民票(本籍・続柄入り)、住宅の登記事項証明書など10種類ほど必要ですが、窓口で担当職員と一緒に確認しながら手続きを進めることができます。

実際に補助金を申請した移住家族に市の担当者が同行した様子はこちらのブログでも紹介されています。

2. 子育て世帯にインパクトのある「3つの無償化」の中身

定住促進補助金が「住宅を取得するとき」の一度きりの支援だとすれば、3つの無償化は「子どもが育つ間ずっと」効いてくる制度です。

それぞれについて、その内容をしっかり確認しておきましょう。

①保育料の無償化

市内の幼稚園・保育所・認定こども園を利用する0歳から5歳の子ども全員が対象で、所得制限がありません。国の幼児教育無償化制度が3歳以上を対象にしているのに対して、いちき串木野市はゼロ歳から全世帯に適用しています。特に0〜2歳の保育料は全国的に見ても高額になりやすい時期で、ここが無償になることの意味は大きいのではないでしょうか。

②医療費の無償化

令和7年4月から18歳(18歳到達後の最初の3月31日)まで窓口での自己負担がゼロになりました。利用には「子ども医療給付受給資格者証」の取得が必要ですが、いったん取得してしまえば受診のたびに手出しが発生しません。子どもが小さいうちは急な発熱や体調不良も多く、医療機関を訪れる頻度も高くなりがちです。そのたびに「いくらかかるだろう」と心配しなくていいのは、子育て世帯にとって地味ながら確実にありがたみのある制度です。

③給食費の無償化

市内の公立小・中学校が対象で、給食費が完全無償化されています。また、市内在住で私立の小・中学校、特別支援学校に通う児童・生徒についても、市からの給食費支援が適用されます。子どもが複数いる家庭では、その人数分だけ毎月の節約額が積み重なります。

この3つの無償化が重なる期間は、子育て世帯の家計へのインパクトがかなり大きくなります。子どもの人数が多ければ多いほど、制度の恩恵が複利的に広がっていくのがいちき串木野市の支援の特徴と言えます。

その他の市の支援制度の詳細はこちら

3. 制度だけでなく施設や環境も充実

◆保育施設と子育て支援センターなど便利な施設も

市内には保育園7か所と認定こども園2か所の計9か所の認可保育施設等があり、受け入れ体制が整っています。また「子育て支援センター」は、市内に2か所あります。串木野エリアにある「さわやか子育て支援センター」では、妊婦さんや乳幼児を持つ世帯が集まれる場として、月齢・年齢別の遊びや交流が定期的に催されています。参加費は無料です。市来エリアにある「子育て支援センターきらきら」は屋内施設なので、暑い日や雨の日でも気にせず子どもを遊ばせることができます。こちらも利用料は無料です。

子育て情報は市の専用アプリ「子育て応援ナビ」からも取得できます。予防接種のスケジュール管理や近くの医療機関の検索、市からのお知らせなど、忙しい子育て世帯の日常に寄り添った機能がまとまっています。

子育て応援ナビについて詳しくはこちら

◆子どもと出かけられる場所にも恵まれた環境

市内には、子どもと気軽に出かけられる公園や施設も揃っています。

照島海岸沿いに位置するなぎさ公園は、橋を渡って「照島」にも渡れる立地で、海の景色を楽しみながら遊具や広場を使うことができます。串木野ダムのそばにある小水林間広場(串木野ダム公園)は、大人でも驚くような大型スライダーがある穴場スポットで、草スキーができる斜面と無料のキャンプ場も隣接しています。海沿いにあるかもめ公園は、野球やサッカーのできる広場と砂場が整っており、家族みんなで過ごせる場所です。

こうした公園の話とは別に、海そのものが「庭」のような感覚で子育ての舞台になっているという移住者の声もあります。それについても次の後編記事でじっくり紹介します。

◆さてその「後編」では

以上、この記事(前編)では、いちき串木野市の住宅補助と子育て支援制度の概要を整理しました。定住促進補助金の仕組みや3つの無償化の中身は、移住を検討するうえで押さえておきたい基本情報ですが、「実際に使ってみてどうだったか」もまた気になるのではないでしょうか。

そこで次の記事(後編)では、補助金を活用して広い家を手に入れた7人家族のエピソードや、「制度ありきではなかったけど、大きな後押しになった」という移住者の言葉、そして海辺での子育てのリアルな日常など、数字だけでは見えてこないいちき串木野市の子育ての姿をお届けします。

以下から続けてどうぞ。