移住者を積極的に受け入れている自治体の多くでは、本格的な移住の前に移住後の暮らしを体験できるお試し移住制度を用意しており、福島12市町村でも移住体験ができる施設が増えています。

今回は、田村市の暮らしを体験できる短期宿泊用住宅「お試しチャレンジハウス」をご紹介します。田村市では、市中心部の船引町にある「チャレンジハウス春山」と、雄大な自然に囲まれた滝根町の「チャレンジハウス滝根」の2軒のお試しチャレンジハウスを運営しています。

お手頃価格で「暮らし体験」ができる

田村市の移住体験を受け付けているのは、田村市役所の企画調整課・地域振興係。案内してくれるのは、移住定住担当の橋本啓貴さんです。

田村市企画調整課で移住定住に関する業務を担当する橋本さん

橋本さんは田村市船引町のご出身。地元のために働きたいと、市職員として入職しました。移住定住に関する業務としてお試しチャレンジハウスの運営のほか、移住者のキッチンカー起業などを担当しています。

「田村市は都会すぎず田舎すぎない、暮らしやすさがある地域です。船引町は商業の中心で、町内でほとんどの用事が解決できるため生活に不便は感じません。近隣市町村へのアクセスも良い場所ですよ。一方、滝根町は自然が豊かで、心を癒してくれる景色があります。私が好きなのは、田園のなかを電車が走る風景です」

お試しチャレンジハウスの利用料は、どちらも1泊1人あたり300円!布団と消耗品は持ち込みが必要で、車も必要となる立地ですが、それを差し引いて考えてもリーズナブルな条件です。

では、実際にハウスを案内してもらいましょう。

アクセス抜群な商業エリアに立地「チャレンジハウス春山」

まず案内してもらったのは、船引町にある「チャレンジハウス春山」。田村市役所から車で約10分、磐越自動車道・船引三春ICからは車で5分ほどのアクセスしやすい場所にあります。利用の際は担当者が現地まで案内してくれるので、道に迷う心配はありません。

建物前には国道288号が通っていますが、高台に建てられているため、車が通る音は気になりません。庭に植えられた樹木も、周りの環境とほどよい距離感を保つのに一役買っています。

間取りは平屋建て3Kの一軒家で、居室は全て畳敷き。
初めて来ても懐かしさを感じる、まるで親戚の家のような雰囲気です。二間続きとなっているふすまを開ければ、より開放的な空間に。大きな掃き出し窓からは、心地よい風に乗って鳥たちのさえずりが聞こえてきます。

広々としたキッチンには、食器や調理器具、冷蔵庫が備え付けられています。車で15分圏内にはスーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンター、飲食店も揃っており便利です。

お風呂とトイレもゆったりとした広さ。町内には温泉施設もあるので、気分を変えたい時にはそちらを利用するのもおすすめです。

降るような星空が楽しめる「チャレンジハウス滝根」

続いて案内してもらったのは、市内滝根町にある「チャレンジハウス滝根」。田村市役所から車で約30分の場所にあります。ハウスまでの道のりには、大滝根山の雄大な眺めやノスタルジックな田舎の家並みが広がり、ちょっとしたドライブ気分を楽しめます。

取材当日は雨。辺りには雨だれの音だけが響く静かな環境で、木々の緑は雨に濡れてより鮮やかに感じられました。見上げてみると空を遮るものが何もなく、夜には降るような星空が眺められるそう。田村市の自然豊かな環境を味わうにはぴったりのロケーションです。

間取りは平屋建ての3DK。玄関から真っすぐに伸びた廊下の先に、和室が3つ連なります。手前の和室は2辺が出窓となっていて、まるで旅館のような雰囲気。移住後の生活をゆっくり考えるにはうってつけの静かな環境です。窓からは滝根町を一望できます。遠くに見える山々や工場施設など、まるでミニチュアのような街並みは愛らしさ満点です。

こちらもキッチンやトイレ、お風呂はとても広く、食器や調理器具もしっかりと揃っています。気軽に、そして手軽に暮らしを体験できる環境です。

余裕あるスケジュールでの利用がおすすめ

これら2軒のお試しチャレンジハウスは、田村市の環境を生活者目線で確認してもらうことで移住に対する心理的なハードルを下げ、移住後のミスマッチをなくす狙いで設置されています。2016年に運営を開始後、近年利用者が着々と伸び、2021年度には8組9名、2022年度には14組22名が利用しました。全国的な移住ニーズの高まりも追い風となり、渋谷駅に隣接する渋谷スクランブルスクエア田村市・東京リクルートセンターを訪れる相談者のなかにも、お試しチャレンジハウスに関心をもつ人が増えているそうです。

どのような方がお試しチャレンジハウスを利用しているか、橋本さんにうかがいました。

「田村市の風土や雰囲気を感じたいという方もいれば、市が開催している農業・林業体験ツアーへの参加など、具体的な目的をもって利用する方もいます。ファミリーや夫婦での利用だけでなく、単身で利用するケースも少なくありません。移住を真剣に検討していて、2週間ほどの長めのスケジュールで暮らしをしっかりと体験されていく方が多いです」

実際に利用した方からは「田村市を十分に体感できた」「移住の決心がついた」という満足度の高い声が聞かれるそうです。なかには「移住は決めていたので住まいや仕事探しの時間に充てられた」という方も。実際に、2022年度は利用者の中から3世帯の移住が実現し、さらに3世帯が前向きに移住を検討中だといいます。

移住体験中のおすすめの過ごし方も聞いてみました。

「生活の便利さを確認することはもちろん大切ですが、あわせて田村市ならではのレジャーもぜひ味わってもらいたいです。田村市にはあぶくま洞グリーンパーク都路にあるキャンプ場など阿武隈高原の豊かな自然を活かした観光施設があり、レジャーを日常として楽しめる環境が身近にあります。ほかにも、春から夏にかけては市内に花や緑があふれ、夏には伝統行事『灯籠流し』が行われるなど、四季折々の豊かな表情を見せる風土を味わってもらうのも良いと思います」

田村市の宝物は人の温かさ

橋本さんに田村市の好きなところについて尋ねると、迷わずに人の温かさだと教えてくれました。

「田村市の方は、初めて会う人に対しても心の垣根を作らず、面倒を見ようとしてくれる人が多いです。実際に田村市に移住した方からは『近所の方から野菜をおすそ分けしてもらえて嬉しかった』という話も聞きます。田舎らしい人付き合いに憧れをもつ方にとって、田村市はそれがかなう地域なのかもしれませんね。市でも移住された方向けのコミュニティイベントを開催するなど、移住者が地域になじめる働きかけをしています」

移住者から「理想の暮らしを叶えられた」など喜びの声を聞けた時がとてもうれしいと橋本さんはいいます。庭でバーベキューやプール遊びをして子どもたちが大はしゃぎしているという家族や、庭付きの空き家を手に入れたことで念願の自給自足生活へのチャレンジを始めたという方も。「これからも、田村市の自然や環境を活かして楽しい暮らしを実現する方が増えることを願っています」と話してくれました。

移住を検討している人は、お試しチャレンジハウスで田村市の暮らしを体験することで、憧れの暮らしの実現に一歩近づけるのではないでしょうか。

田村市のお試しチャレンジハウスの詳しい情報は、こちらをご覧ください。
https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/1/ch_1.html

福島12市町村で提供しているお試し住宅は以下の記事でもご紹介しています。
福島暮らしを気軽に体感できる!ふくしま12市町村のおためし住宅をまとめてご紹介!

 

■田村市企画調整課 地域振興係
所在地:〒963-4393 福島県田村市船引町船引字畑添76-2
TEL:0247-61-7615
受付時間:8:30~17:15(土、日、祝日を除く)

※所属や内容は取材当時のものです。
文・写真:橋本華加

※本記事はふくしま12市町村移住ポータルサイト『未来ワークふくしま』からの転載です。