2024年8月28日(水) に、農業を始める前に知るべきこと・考えるべきこととはどんなことなのかを学ぶオンラインイベントを開催しました。
ゲストには就農相談のプロである田村農業普及所の小川佳祐さん、田村市役所農林課の石井聡子さんのお二人をお迎えし、ゼロから始めて就農までに至るプロセスや農業経営ビジョンなどについて詳しくお話を伺いました。

ゲスト:
・小川佳祐さん(田村農業普及所) 
「ひとづくり」、「ものづくり」、「地域づくり」の 3 つの視点から、田村市、三春町、小野町の農業振興に関する取り組みを行っています。 地域農業推進、経営支援を通して認定農業者や新規就農者の育成など持続可能な農業の発展に注力しています。

・石井聡子さん(田村市農林課農政係)
田村市役所職員。2024年から農林課配属。 新規就農者の相談窓口や就農後のアフターサポートを担当しています。


就農の流れを把握して、一歩ずつ前に進もう!

全くの未経験から農業を始めるには、おおよそ次の通りの流れになります。それぞれの段階でどのようなことを考え準備すれば良いかを詳しく解説していただきました。


◆就農の流れ◆

1 農業経営像を考える
2 農業をしたいと考えている地域へ足を運ぶ
3 農業経営ビジョンを明確にする
4 長期研修を受ける
5 青年等就農計画を策定する
6 就農に必要なものを確保する
7 就農


1 農業経営像を考える

小川さん:どんな農ある暮らしをしたいかを考えることが、はじめの一歩です。専業農家なのか兼業農家なのか、育てる品目数や栽培方法(ハウス栽培、露地栽培など)、耕種農業・畜産農業・観光農業などの農業の種類、慣行栽培・有機栽培など、理想の農業のかたちを考える必要があります。

また、農業を始める際の人生のステージも人によって異なります。自分がどんな農業をしたいのか、どの程度の所得を得たいのか、どんな暮らしをしたいのかを考えることが重要です。それによって農業を開始するまでの道筋や就農サポート内容も変わり、地域を決める指針にもなります。

就農する想いや覚悟を持つことも重要です。農業を始めるということは起業して経営者・社長になるということと変わりません。農業をしていると必ず苦しい場面に直面することがありますが、そういう時になんとか踏ん張るための糧になります。

2 農業をしたいと考えている地域へ足を運ぶ

小川さん:気候や地理の特徴を知ることも大事になります。田村市は意外とどんな品目を作ることも可能な地域です。ただ、冬は最低気温がマイナス10度を下回る地域なので、秋冬作では、暖房設備などが必要でランニングコストがかかります。逆に夏は比較的冷涼であるため、県内他地域と比べても影響を受けにくく作物が作りやすいです。

農家さんの声を聞いてみることもおすすめします。地域との繋がりもできますし、農地や農業の知識、地域の雰囲気なども知ることができます。その際は中長期のトライアル農業体験などを活用していただければと思います。

9月27日〜28日には田村地域就農支援プロジェクトとして現地見学会も開催しますので、ぜひご参加ください。

石井さん:田村市の気候にあった作物としては、トマトとピーマンが挙げられます。

●トマト
品種が多く、売り方に幅がある。近年、販売単価が高い。指導体制が整っているため、技術習得しやすい。収穫終了後の冬期は葉物野菜等の栽培が可能。

●ピーマン
家族経営におすすめなのがピーマン。福島県内一の生産量でブランド化されている。指導体制が整っているため技術習得しやすい。露地栽培から始められるため初期投資が抑えられる。

3 農業経営ビジョンを明確にする

小川さん:いつ、どこで、どのような農業を始めるかを決めたら、活用する支援制度についても調べましょう。研修では技術以外の知識も得られるため、できれば研修を受けてから農業を始めることをお勧めします。長期研修や就農時期の予定を決めたら、売り先の想定もしなくてはなりません。これには1~2年ほどの期間がかかります。

4 長期研修を受ける

小川さん:長期研修先には、①農業総合センター農業短期大学校の他、田村市では②たむらの新・農業人サポート協議会の2種類あります。地域によって研修の受け入れ体制は異なるため、各地域の担当職員としっかり相談しましょう。1~2年ほどかけて技術や情報を身につけていただきます。

5 青年等就農計画を策定する

小川さん:国の支援制度を活用するためには、青年等就農計画を作成し、市の認定をもらい、認定新規就農者となる必要があります。5年間の計画を立ててもらい、経営として成り立つかどうかを判断します。どれだけの規模でどのくらいの生産量になるか、経営規模や人員確保など細かく計画を立てていきます。作成は簡単ではなく時間もかかりますが、私たち窓口担当者が相談に乗りながらサポートしつつ作っていきます。

6 就農に必要なものを確保する

小川さん:農地、住む場所、作物によってはハウスやトラクター、軽トラや草刈機、畜産をするなら畜舎や倉庫、肥料や種や収穫するための箱や台車など必要なものを揃えましょう。実際に農家さんで研修してみると何が必要なものなのかが分かります。それらを揃えるためにお金も必要になってきます。

7 就農

 

安心のサポート制度を利用して、もっとスムーズに!

田村市には国や自治体が用意した、様々な就農サポート制度や機関があります。以下はその一例です。

・田村地域就農プロジェクト
∟助成金の案内・就農計画サポート・栽培指導

・農業委員会や農地中間管理機構
∟農地情報の提供・農地探しのマッチング

・ふくしま移住希望者支援交通費補助金
∟現地見学会などで田村市に来る際は交通費を支援(移住推進員と要面談)

・新規就農者育成総合対策
∟就農準備資金の補助を受けられる(就農時予定年齢が原則49歳以下などの要件あり)

・農業者スキルアップ支援
∟経営スキル向上を目的とした先進地への視察支援

・新規就農者経営発展支援事業
∟青年等就農計画を達成するために必要な農業用機械や資材の購入に対して支援

支援制度は利用要件が変わる場合もあるため、窓口担当者と随時相談していただければと思います。お気軽に、田村市農林課・田村農業普及所へご相談ください。

 

【質疑応答】兼業農家と半農半Xの違いとは?
小川さん:兼業農家は世帯の中で一人は兼業従事者がいて農業以外にも収入がある。半農半Xは農業でしっかり稼ぐというよりも、別の仕事をしながら農業をするライフスタイルのこと。

【質疑応答】ブランド化(産業化)されている作物を育てるメリットはありますか?
小川さん:技術面や販路の情報が入ってきやすく、JAさんが力を入れているため販路の確保がされているところも大きいですね。選果場等の設備もあり、省力化が可能で、価格もある程度安定しています。




目指す農業をイメージしたら、実際に体験してみよう!

福島県田村市では、新規就農希望者に向けた現地イベントを随時開催しております。ご興味のある方はぜひお気軽にご参加ください。

田村地域就農支援プロジェクト 現地見学会(9月27日(金)〜28日(土))
就農計画づくりにチャレンジツアー(10月12日(土)〜14日(月・祝))
オーダーメイド型農業体験in福島県田村市(随時開催。一泊二日〜)


今回もたくさんの方にご参加いただきました。
参加者からは、

・補助金制度が充実しているので上手く活用出来ればとても心強いです
・サポート内容等を知ることができて不安が減りました
・将来的なビジョンが理解できました

との感想をいただきました。


たむら移住相談室では今後も、田舎での暮らしを満喫されている方や活躍する地域プレーヤーをゲストにお迎えしてオンラインイベントを行います。ぜひ今後の情報もチェックしてみてください。

たむら暮らし