2024年6月19日(水) に、農業を始めてみたい方に農業体験についてご紹介するオンラインイベントを開催しました。
今回は、県内トップクラスのピーマン生産者でありホップの生産もされている新田浩さん、希少な国産きくらげなどを栽培している「きのこ専門農家」の安田悟さんのお二人をゲストにお招きし、農業体験をするうえで大切なポイントや注意点についてのお話をしていただきました。

ゲスト:
新田浩さん(新田ファーム) 
早期退職後、夫婦で55歳から農業を経営。路地、ハウスでピーマンを生産し、生産量は福島県トップクラス。また地元農家さんの紹介でクラフトビールのホップの生産もスタートし、現在は7種類に品種を拡大して生産している。

安田悟さん(移ヶ茸
19年間務めた製造業の会社を脱サラし、きのこ専門農家に転身。国産性が少ない「きくらげ」や大型で肉厚な「しいたけ」、「ホワイトマッシュルーム」を栽培。唯一無二のおもしろい農家になりたいとの想いから、人を楽しませることに全力を注ぐ。

 

夢の就農ライフを叶える近道、『農業体験』。

──なぜ農業体験が必要なのでしょうか?
新田さん:作物はただ種を撒いてできるものではなく、環境が整ってはじめて収穫ができます。お店などで購入している野菜がどうやって作られているのか、どのように管理されているのかを事前に知っておくことが大切です。

安田さん:農業の現場はきれいじゃないことも多いのです。本当に自分が農業に向いているかを知るためにも、農業体験への参加は必要だと思います。

──どのような心構えで臨めばいいのでしょうか?
新田さん:農家も忙しい時期に時間を割いているため、アルバイト感覚で来られると困ってしまいます。汚い仕事もきついこともあると思いますが、関係機関との関わりがあってからこそ参加機会を得られたのだと理解して臨んでほしいですね。

──農業体験の前に準備すること・気をつけることは?
新田さん:作物の特徴、収穫までの流れなどを調べておくといいでしょう。気温や水の状態は現地に来て、はじめて知ることができます。農地の状況によってはマニュアルとは違う対応をする場合もあるので、現地の農家さんの話に耳を傾けて真剣に取り組んでいただければと思います。

安田さん:私が作物を決めたのは農地の形状を見てからでしたので、そこまで調べなくても気軽に来ていただいて大丈夫です。ただ、農業体験中に収穫した作物は売り場に並ぶものなので、農家さんの指示にきっちり従っていただくようお願いします。

──参加するには、どのような装備が必要ですか?
新田さん:汚れてもいい格好、自分なりに体調管理できる装備を用意してください。

──体験中に気をつけることは?
①体調管理
新田さん:自分だけだと無茶をしてしまいがちですが、従業員を雇うことできちんと休憩を取るようにしてます。自分も週に一回は休日を取るようにして健康管理を気をつけています。

安田さん:うちは二人体制で行っています。スケジュール管理をスマートフォンで行い、休みがかぶらないように調整し、仕事の合間に少しずつ休憩をとりながら行っています。

②農家さんの指示に従う
安田さん:指示外のことは、その都度確認をとってもらえれば大丈夫です。特別なルールはありませんが、行動によってはブランド価値を落とすことになってしまうので注意してほしいですね。

③扱っているのは『商品』だという意識
新田さん:作物はあくまでも商品なので、丁寧に扱ってください。自己判断は事故の元です。以前、袋詰めを委託した時に指定のグラム数より少なく袋詰めされてしまい、その際の取引きがなくなったことがあります。農家さんの信用を損なうことにも繋がりかねないのです。

④地域コミュニケーション
新田さん:田舎は地域コミュニケーションが大切です。草刈りや自治体の集まりなどの地域行事に積極的に顔を出すことでコミュニケーションをとり、慣れていきましょう。一人では農業はできません。

安田さん:近所の方も農家なので、うちで取れた作物などをあげると倍になって帰ってきます。こういうところを私は大切にしてます。

──体験中に農家さんに聞いてみるといいことは?
①農家さん自身の考え
安田さん:体験先の農家さんの情報収集は大切です。農家さんの考え方などを知ることでこの人のもとで体験したいというアプローチもでき、経営指針なども学べます。

新田さん:うちでは今年は密植栽培をして、例年の1.5倍の植え付けをしました。害虫予防にも注力しています。密植栽培は若い人にも教えていけたらいいなと思っています。

安田さん:うちでは再生可能エネルギーを活用した農業を実践しています。地下水を使ったヒートポンプで暖房費を節約し、ソーラーパネルをハウスにつけて太陽光の利用も考えています。

②今後のビジョン
新田さん:若い人にノウハウを伝授していき、逆にあたらしい発想も取り込んでいきたいです。田村市のふるさと納税の返礼品として米も出荷していていますが、評価が非常に良いため、今年もまた頑張ってやっていきたいです。

安田さん:きくらげ、しいたけ、ホワイトマッシュルームを育成中です。和洋折衷の商品を作ることで、飲食店への営業をスムーズにしやすくしています。常に挑戦していたい性格なので、来年は舞茸、その次はトリュフ、ポルチーニなどの栽培を予定しています。

③失敗談
新田さん:自分の体調をベースに仕事をしていたら、妻が体調を崩してしまったことです。体調というのは人ぞれぞれなので、もっと思いやりを持ったほうがよかったなと思います。作物はちょっと油断すると虫や病気にかかるため、基本に忠実に行うことを心がけています。

安田さん:就農一年目にトタン小屋で栽培をしたのですが、室内が高温になり、上部の棚のきくらげが乾燥きくらげになってしまいました。そのほか、刺激に敏感な品種を二つ同時に育てていたところ、秋の気温差によって物凄い量が発生したことがあります。刺激に敏感な品種と鈍感な品種を組み合わせることによってペース調整を図ることにしました。


【質疑応答】体験中、品種の違いや、土の違いによる作物の育ちやすさを知ることができますか?

安田さん:品種について教えることは可能です。
新田さん:土については現地で指導を受けながら聞いたほうがいいですね。

【質疑応答】農薬や化学肥料を使わない農業は可能でしょうか?
新田さん:全く使わずに作ることは可能は可能ですが、大量には作れません。収入のためにも量は必要です。

【質疑応答】農業体験をするにあたり、工夫していることは?
安田さん:うちでは対面販売を体験してもらっています。直売所で商品を売る際にコミュニケーションの大切さを知ってもらいます。

新田さん:ホップやピーマンの収穫祭を開催し、採れた作物でBBQなどを楽しんでもらっています。




農業に興味を持ったら、まずは参加してみよう!

福島県田村市では、オーダーメイド型農業体験in福島県田村市(一泊二日)を開催しております。事前ヒアリングによりご希望や考えをお聞きし、農家さんとマッチングいたします。中長期の体験で就農への不安を解消し、就農への第一歩を踏み出してみませんか?

年間を通して受け入れ可能ですので、ご興味を持った方は、ぜひお気軽にたむら移住相談室までご相談ください。

今回もたくさんの方にご参加いただきました。参加者からは、
・地域の方々とのコミュニケーションについて聞けてよかったです
・就農への関心が高まりました
・無肥料、無農薬野菜の栽培について勉強になりました
との感想をいただきました。


たむら移住相談室では今後も、田舎での暮らしを満喫されている方や活躍する地域プレーヤーをゲストにお迎えしてオンラインイベントを行います。ぜひ今後の情報もチェックしてみてください。