地域の会社を支えることで、地域全体の活性化につなげていく。
そんな取り組みを行うのが、一般社団法人ローカルグッド創成支援機構です。

今回ネイティブ.メディア編集部が事務局として日々情報発信や会員支援を担当している川本祥子さんにお話を伺いました。前職では自治体と連携して地域の課題に取り組むまちづくり会社で、地域企業の支援やイベント運営など現場の最前線を経験された川本さん。

その経験を経て見えてきた「地域の仕事を続ける仕組み」とは。新たに始まった“まちづくり会社特化の採用支援事業”を中心に、活動の背景や想いを語っていただきました。

川本 祥子(かわもと さちこ)
一般社団法人ローカルグッド創成支援機構 総務部

兵庫県神戸市出身。
大学卒業後、大阪で企業勤務を経て、夫の転勤により東京、そしてエジプトへ。 2017年、大分県竹田市へ移住し、自治体出資のまちづくり会社に入社。地域企業の支援、イベント企画、高校生への仕事紹介などを担当。 地域の現場で「人の想いをつなげる仕組み」の必要性を痛感。
現在は、ローカルグッド創成支援機構の総務部として、全国の地域エネルギー会社・まちづくり会社を支援する。2025年には、編集メンバーとして書籍『エネルギーで地域を元気にする仕事』を出版。地域エネルギー会社の魅力を伝える活動を続けている。

まちづくり会社で働いたことで痛感した“課題”

編集部:
前職であるまちづくり会社でのお仕事にはどんな業務があったのでしょうか?

川本さん:

特に、企業の人材課題や経営課題に向き合うコンサルティング事業を中心に、人材マッチングや育成支援、県と連携した起業・創業支援などに携わっていました。自治体が出資する会社で、電力の取次ぎのほか、地域企業の支援、イベントの企画、地元高校生への仕事紹介など、多岐にわたる業務を担当していましたね。

編集部:
地域の仕事ならではの“難しさ”もあるとよく耳にします。川本さんは当時、どんなことを感じていましたか?

川本さん:
そうですね。地域の仕事は“正解がない”世界で、やってみないとわからないことが多く、試行錯誤の日々でした。また、採用や育成、引き継ぎが属人的になりやすいため、ノウハウが蓄積されにくく、仕組みとして残していくことの難しさを痛感していました。外部に相談できる相手も少なく、場当たり的な対応になってしまうこともありました。

――想いのある人ほど、自分の力でなんとかしようと頑張りすぎてしまう。そんな現場を見てきたからこそ、川本さんはまちづくり会社にとって“お手軽に客観的なアドバイスと伴走支援を提供してくれるパートナー的な存在”が必要だ、と実感したといいます。

その気づきが、のちにローカルグッド創成支援機構での活動へとつながっていきました。

ローカルグッド創成支援機構について

編集部:
その経験を経て、川本さんはローカルグッド創成支援機構に入られたのですね。改めて、どんな組織なのか教えていただけますか?

川本さん:
ローカルグッド創成支援機構は、東日本大震災をきっかけに設立された組織で、「ローカルにグッドな事業を創る」という理念のもと、全国の地域エネルギー会社やまちづくり会社の支援を行っています。電力を通じて地域の自立を促す動きが全国に広がる中で、制度や事務処理の対応、人材育成、情報共有などを伴走的にサポートしています。

編集部:
具体的には、どのような支援をされているのでしょうか?

川本さん:
たとえば、地域エネルギー事業のシステムやノウハウを共有したり、会員同士が課題を共有できる情報交換の場を設けたりしています。全国の地域エネルギー会社やまちづくり会社の担当者がつながり、知見を持ち寄れるようなコミュニティづくりにも力を入れています。地方で同期や仲間が少ないという課題を抱える人たちが、悩みを共有し、刺激を受け合う場になっているという声もいただきます。

編集部:
なるほど。現場の声に耳を傾けながら支援を行う、その姿勢がまさに“ローカルにグッド”ですね。

川本さん:
ありがとうございます。電気事業の制度は非常に複雑で、頻繁に改定があります。だからこそ、業界の知見やノウハウを会員同士で共有できる環境を整えることが大切だと感じています。Slackを使ってリアルタイムに相談できる仕組みもあり、「困ったときにすぐ聞けるのがありがたい」といった声をいただけるのが、とても励みになっています。

現場に寄り添う支援――宮城県東松島市・山形県の事例

編集部:
ローカルグッドさんでは、全国の地域エネルギー会社やまちづくり会社など様々な会員が所属していますが、特徴的な取り組みを行っている企業はありますか?

川本さん:
そうですね。特に東松島みらいとし機構様の取り組みが印象に残っています。震災をきっかけに設立された地域電力会社で、電力事業だけでなく、農業やパークゴルフ、定住促進など幅広い分野で地域コミュニティを再生されています。若い世代のUターンやIターンなど、地域の希望になっていると感じます。

また、やまがた新電力様も地域の中でノウハウを蓄積し、自走化を実現された好例です。地域にお金と知識が循環するモデルを築かれています。

ーーーこれまで全国の多様な団体と連携する中で、特に多く寄せられていたのが、“採用の悩み”に関するご相談。そうした声をもとにスタートしたのが、まちづくり会社特化型の採用代行&ノウハウ提供事業です。

“採用の悩み”に寄り添う、新たな支援の形

編集部:どのような背景から、この新事業を立ち上げることになったのでしょうか?

川本さん:
これまで多くの企業からお話を伺う中で、小規模であるために人材確保に課題を抱えているケースが多いと感じていました。
実際に現場からも採用の専任担当がいないことから「応募がなかなか来ない」「ハローワークを利用する以外の採用方法がわからない」という声をいただいていました。そこで、まちづくり会社を熟知した採用の専門人材が、採用代行を行うことで負担を軽減し、併せて採用ノウハウを提供することで、採用の自走を支援する事業を始めました。手伝って終わりではなく、“残る仕組み”をつくる支援にしたいと考えています。

編集部:
まさに、前職での経験がこの新事業につながっているんですね。

川本さん:
はい。あの頃、相談できる相手がいなかったことを今でも覚えています。だからこそ今は、現場で悩む方々に寄り添い、伴走できる存在でありたいんです。

地域で働くことを考えている人へ

編集部:
最後に、地域で働くことに関心を持っている方へメッセージをお願いします。

川本さん:
最初の一歩は小さくていいと思います。地域を訪れてみたり、イベントに参加してみたり…。そこで出会う人や空気が、次の行動を導いてくれるはずです。

編集部:
本日はありがとうございました。

ーーー制度や採用、キャリアの支援。
ローカルグッド創成支援機構は、“人”をつないで地域企業を支える”ことを大切にしています。現場のリアルを知る川本さんの言葉には、地域で働くことの等身大のヒントが詰まっていました。

“地域の仕事”を支える仕組みづくりに、現場の知見と温かな想いで取り組むローカルグッド創成支援機構。
これから始まるネイティブ.メディアチャンネルでの発信にもぜひご注目ください。