2026年2月21日、茨城県鉾田市にて農業体験プログラムを行いました。
今回お世話になったのはいちご農家・村田農園さんです。

参加者として集まったのは、多種多様な背景を持つ3人。
いちごが好きすぎるという方
あるマンガをきっかけに農業の現場をずっと気にかけてきた方
移住先探しのさなか、たまたまたどり着いた方

それぞれの想いを胸に、同じ場所で、同じいちごに触れた一日でした。
体験を終えた数日後、チイオシ事務局は3人それぞれに話を聞きました。ここでは、その声をお届けします。


今回お話を聞いた3人

Aさん:茨城県在住。同じ茨城県内に住みながら、鉾田市の農業については知らないことが多かったと語る。体験後は村田農園のいちごに魅了され、そのいちごを使う地元の和菓子屋をわざわざ訪ねるほどのファンに。

Nさん:関東在住。毎日いちごを食べるほどの大のいちご好き。農業高校を舞台にした漫画をきっかけに、農業や一次産業の現場への関心を深めてきた。

Hさん:関東在住。自治体職員として働きながら、農業体験を10年以上続けるベテラン。田植えから酒造り、ワイン仕込みまで、全国各地の農業体験に精力的に参加している。今回は移住先の下見も兼ねて鉾田市を訪れた。

理由は様々、参加を決めたきっかけ

——今回、参加しようと思ったきっかけを教えてください。

Aさん:純粋に、いちごってどうやって作るんだろうという好奇心から参加しました。知っているようで、食べ物ができるまでのことって意外と知らないんですよね。農業体験ってやろうと思ってもなかなかできないじゃないですか。だからこういうプログラムがあると、入りやすいなと思いました。

——同じ茨城県内在住でも、Aさんは今回初めて「鉾田のいちご」を意識されたと伺いました。

Aさん:そうなんですよ。鉾田市といえばメロンというイメージが強くて。まさかいちごがこんなに有名だとは思っていなかった。それが今回の募集を見て、一番最初に引っかかったところでした。同じ県内にいながら、知らないことってまだまだあるんだなと。

——Nさん、Hさんはいかがでしょうか?

Nさん:私は毎日いちごを食べるくらい好きなのですが、実際に農家さんの現場ってどうなんだろうと気になっていたんです。一流と呼ばれる農家さんの現場を自分の目で見てみたいというのが、一番の動機でした。

——Nさんは農業そのものへの興味はもともとあったんですか。

Nさん:そうですね。昔、農業高校を舞台にした漫画を読んでから、農業や自然と向き合う仕事にすごく惹かれるようになって。土や自然と戦っている人ってかっこいいなと思うようになりました。農業の高齢化や担い手不足の問題も、10代の頃からずっと気になっていたので今回、実際の農家さんの現場を見られるというのは、本当に楽しみでした。

Hさん:私は少し違って、今回の参加理由はいちごというより鉾田市に行ってみたいというのが先にあったんです。将来的な移住を視野に入れて、今の家から3時間圏内でいい場所がないか探し始めていて。たまたまこのプログラムを見つけたとき、日程が空いていたので申し込みました。正直に言うと、鉾田市がどこにあるかも知らないまま申し込んで、後で地図を見てけっこう距離があるなと(笑)。

——なるほど、Hさんは農業体験自体は長くやられているんですよね。

Hさん:はい、もう10年以上になりますね。近所の畑を借りて野菜を作ったり、田植えや稲刈り、酒造り、ワインの仕込みまで全国津々浦々いろいろ経験してきました。だから農業体験そのものへの不安はなかったんですが、今回は正直体験というよりも、鉾田市という土地の空気感を感じてみたくて、地域の下見を目的として参加した部分が大きいですね。

一流のいちごを生み出す、プロの現場を見て

今回お世話になった村田農園の村田和寿さんは、28歳のときにメロン中心の家業からいちご一本へと舵を切り、いちご作りを極めてきた農家さんです。いちご農家としてのその活躍は、都内の有名ホテルや国内航空会社のファーストクラスの機内食に採用されるなどめざましいものです。

—— 実際に体験してみて、村田さんの印象はいかがでしたか。

Aさん:印象に残ったのは、B級品の扱い方についての話です。形が悪かったり傷がついたりしたいちごも、安くバラ売りするのではなく、冷凍にして販売する。売れないものを処分するのではなく、別の形で価値をつけて届ける。最後まで「村田農園のいちご」として世に出すことにこだわるからこそ、名前で選ばれるブランドにつながっているんだなと納得しました。

Nさん:長男だから自動的に家業を継いだ、という話をされていてたのですがそれが全然暗くなくて、むしろ楽しそうなんですよ。一流のものを作り続けている方なのに、全然気取ったところがなくて、自然体で。周りのスタッフさんとわきあいあいとしていて、現場への愛が伝わってきました。

Hさん:スタッフへの関わり方が丁寧だなと思いました。外国からの実習生が10人以上いて、朝のミーティングでひとつひとつ丁寧に説明されていた。農家さんでありながら、人を育てる意識がすごくあるんだなと感じましたね。

—— 体験について印象に残ったことを教えてください。

Nさん:パック詰めをやらせていただいたんですが、単純に見えても結構難しかったです。村田さんがいちごを選別する様子をそばで見ていたんですが、どれをパックに入れてどれを外すか、見た瞬間に決まっている。何十年と積み重ねてきた目なんだなと、圧倒されたのが印象的でした。

Hさん:今回は収穫後の出荷準備から箱詰めや段ボールの組み立てがメインでした。農業というより、商品が届くまでの「農家としてのお仕事」を体験した感じですね。栽培から出荷準備まで、一貫してビジネスとして設計されていて農業をここまでシステマチックに運営している現場を見たのは、私も初めてでした。

—— いちごそのものへの印象はいかがでしたか。

Aさん:村田農園さんのいちごって、スーパーでは売っていないんですよ。村田さんのは完熟だから、食感も甘みも全然違ってシーズン最後の一番熟したいちごの味がするんですよ、真冬なのに!安いいちごをたくさん食べるより、村田さんのを一粒でいい、と心の底から思いましたね。

一度来たことで、「次」が生まれる

—— 体験を終えて、鉾田市のイメージは変わりましたか?

Aさん:大きく変わりましたね!鉾田市に来る前はメロンのイメージしかなかったけど、これからはいちごのイメージが先に来ると思います。特に村田農園さんのファンになりました。帰ってから村田農園さんのいちごを使った「いちご大福」を販売しているお店を調べて、わざわざ買いに行きましたもん(笑)。

—— ええ、驚きました!素晴らしい行動力ですね。また次に来るとしたら何をしたいですか。

Aさん:次は海も見てみたいし、鉾田市をもっとぐるっとまわってみたいですね。

—— Nさん、Hさん お二人はいかがでしょうか?

Nさん:イメージが変わったというより、鉾田市を訪れての感想になるのですが、景色が壮大で、都会とは全然違う空気感を味わいましたね。村田農園さんのカフェもすごく素敵で、次はゆっくりシェイクを飲みに来たいなと思っています。チョコ味や抹茶味のフレーバーが増えたらもっと楽しそうだな、なんて勝手に妄想したりして(笑)。

Hさん:今回は農園の倉庫の中での作業がメインだったので、鉾田市全体のイメージをつかむまでには至りませんでした。ただ、帰り道に地図を見ていたら、農園から海がかなり近いことを知って、「それは見たかったな」と思いました。次来るときは、農業体験だけじゃなく、海を見たり地域を歩いたりしてみたいです。

—— Hさんは将来的に地方移住も検討されているとお聞きしておりましたが、 こちらについて考えの変化はありましたか?

Hさん:そうですね。鉾田市には空き別荘が多いことを知ったので週末に別荘で過ごすような「週末移住」の暮らし方もいいなと。少し具体的に考えるようになりました。

迷っているあなたへ——3人からのメッセージ

—— 農業体験に興味はあるけど、一歩踏み出せていない方へメッセージをいただけますか。

Aさん:学校では教えてもらえないことが、ここにはいっぱいあります。特に村田さんのように、情熱を持って一流のものを作り続けている人と直接話せる機会は、なかなかありません。農業に興味があるとかないとか関係なく、「ものができるまでを知りたい」という人なら絶対に楽しめると思います。海も近いし、おいしいものもたくさんあるので。帰りに鉾田市を少し散策するのもおすすめです。

Nさん:最初は緊張するかもしれないけど、スタッフの皆さんがとても丁寧に教えてくださるので大丈夫です。私もスタンプを間違えたり、段ボールの詰め方を注意されたりしましたが、全然怖くなかった(笑)。たくさんの人が実際の現場に触れることで、農業や一次産業のことをもっと身近に感じてもらえると思う。そのきっかけとして、ぜひ一度来てみてほしいですね。

Hさん:農業に興味があるとかないとか、経験があるとかないとか、あまり関係ないと思います。私は移住先の下見として来ましたが、それはそれで十分意味がありました。特に移住や二拠点生活を考えている方には、農業体験という入口で地域に触れてみるのはすごくいい方法だと思います。とりあえず日程が合えば来てみる、くらいの気軽さで全然いいと思いますよ。

—— みなさま、本日は素敵なお話しをありがとうございました。

編集後記

今回のインタビューで改めて感じたのは、地域との関わりは「きっかけ」さえあれば始まる!ということでした。いちごが好きだから。漫画を読んで農業が気になっていたから。移住先を探していたから。3人の動機は、いずれも鉾田市のファンになろうという話ではありませんでした。

しかし、体験を通して現場で村田さんと直接話したことで、鉾田市への印象が変わった、という声は3人に共通していました。「現地の人との出会いが、地域とのつながりを生む入口になる」そのことを前回に引き続き改めて分かりました。

▽前回の体験者インタビューの記事はコチラ

一度来たことで次が生まれる。直接の出会いが、地域との関係を決定的に深めるのだと、3人へのインタビューから感じました。

地域との関わり方に正解はありません。移住・定住する人もいれば、週末に拠点を持つ人も、離れながらも情報をキャッチし続ける人も。そのどれもが、地域とのつながりのかたちです。農業体験のような機会が、その入口として果たす役割は、決して小さくありません。今回訪れてくださった3人も、今後三者三様の心地のいい鉾田市とのかかわり方を見つけてくれるのだと思います。

少しでも興味を持った方は、ぜひ一度、鉾田市に足を運んでみてください。動機は何でも構いません。来たからこそ生まれる感情をぜひ味わってほしいです!

文責:ネイティブ.メディア編集部 室井