地域活性化や関係人口づくりに向けて、イベントやPR施策に取り組む自治体・地方企業が増えています。しかし、「SNSで一時的にバズっても、実際の来訪やふるさと納税、継続的な関わりにつながらない」と頭を抱えるケースも珍しくありません。
こちらの記事では、岡山県新見市がVTuberの時雨ミトさんとタッグを組み、バスツアー応募830%増や自主的な現地集結を生み出した『再現可能な仕組みと仕掛けの裏側』を一部ご紹介します。
まず、この企画をおこなったまちスパチャプロジェクトとは、株式会社フューチャーリンクネットワーク(以後FLN)と株式会社uyetが協働で実施する、VTuberの発信力とファンの熱量で、観光PRでは届かない都市部の若年層に接点をつくり、関係人口の創出・来訪促進・ふるさと納税の拡大を支援する取り組みです。
▼まちスパチャプロジェクトとは?公式サイトをご覧ください
新見市で2024年から継続的に取り組まれてきた、このまちスパチャプロジェクトの内容を、今年インパクトレポートとして公開しています。その内容の一部を抜粋しながら、どのような工夫でVTuberおよびそのファンが、新見市の関係人口化したのかを解説します。
▼インパクトレポートのダウンロードはこちらからどうぞ
https://home.machisupa.com/contact6
「関係人口を増やしたい」と思っても、実際にはなかなか難しい。
イベントをやって、発信もして、反応も少しはある。けれど、その先の来訪やふるさと住民化、担い手活動などの継続的な関わりにつながらない。
そんな課題に対して、解決策のヒントになるのが、FLNが新見市とともに取り組んだこの事例です。
今回ご紹介する取り組みを実施した岡山県北部に位置する新見市は、人口約 2.6 万人。2024年2月から取り組みを開始し、2025年にはふるさと市民登録・ファンによる来訪・ふるさと納税という 3 つの成果につながりました。
新見市で起きたこと
まず、今回の『令和7年度インパクトレポート 岡山県新見市編』で押さえておきたい数字をいくつか紹介します。
・VTuberによるYoutube配信の同時接続数は160人(1配信1時間換算で、9,600分の接触時間を創出)
・2週間でふるさと市民が40名増加(年間目標の70%相当の数字)
・ふるさと応援広告(返礼品なしのふるさと納税)を◯◯人が実施!
・1Dayバスツアーには50件の応募(前年比830%増)
・バスツアー当日には当選者以外の方が自主的に◯◯名も現地集結
VTuberによるYoutube配信を見て終わりではなく、実際に行動する(ふるさと市民登録・ファンによる来訪・ふるさと納税)という結果が生まれた点に、VTuberファンの熱量の高さが垣間見えます。
※◯◯の数字はインパクトレポート詳細版でご覧いただけます
ふるさと応援広告は、通常のふるさと納税とは異なり、地域の特産品などを返礼品として受け取るのではなく、返礼品の代わりに推しのポスターやパネルなどが制作され、寄付した地域に掲示される仕組みです。ファンは、ふるさと納税の寄付を通じて地域を応援しながら、推しの活動も目に見える形で応援することができます。自治体にとっても、VTuberの発信力やファンの応援文化を通じて、若年層やデジタル層に地域の魅力を届けられる点が大きなメリットです。
ーーー令和7年度インパクトレポート 岡山県新見市編
まちスパチャによる関係人口創出の特徴とは
新見市の事例は単なるVTuberを活用したシティプロモーションとは一線を画します。まちスパチャが大事にしたのは、推し活の熱量が、地域への関心に変わる導線を丁寧に設計したことです。
1. タレント本人が先に「関係人口化」した
VTuber「時雨ミト」さんは、2024年から新見市の取り組みに関わる中で、自ら新見市ふるさと市民制度に登録していました。ファンにとっては「推しが本当にこのまちと関わっている」ということ自体が、強いメッセージになります。単なるコラボではなく、推し本人が地域に関わる当事者になっている。ここに、ファンが熱量を感じる理由があります。
【VTuber「時雨ミト」さんへのインタビュー抜粋】
ー1年目(2024年3月)の取り組み参加時にふるさと市民登録をしていただけた理由は何だったのでしょうか。(時雨ミト)最初は「千屋牛を食べてみたい」という気持ちでした。どこか旅行に行きたいと思った時に、新見市のことを思い出せるように登録しました。その後、市役所の方が登録したことを覚えてくださっていて、ふるさと市民の名刺もSNSに上げやすいように活動名で対応してくださったんです。そういう細やかな対応が印象に残って、「私も何か返せたらいいな」と思いました。
ーーー令和7年度インパクトレポート 岡山県新見市編
2.既存事業を、関係人口創出の目玉企画に変えた
新見市では元々行われていた「ふるさと市民向けのバスツアー」という枠組みに、まちスパチャを掛け合わせました。ゼロから新しい仕組みを作ったのではなく、既存事業を活かして企画を実施することで「応募者が少ない」という課題の解決も目指しました。結果として、バスツアーは「その日限りの当選者だけのイベント」では終わりませんでした。事前配信で期待をつくり、ツアー落選者も含めた現地来訪にまで発展しました。
さらに、別日での新見市への再訪や、別イベントでの新見市ブースへの来訪、ふるさと納税へも波及しています。
バスツアーというイベントを単発で終わらせず、次の関係が生まれるきっかけとして仕掛けています。
【新見市 産業部 移住定住推進課 横張さんへのインタビュー抜粋】
―時雨ミトさんをツアーに迎えた決め手は何だったでしょうか。
(横張) ミトさんはご自身から「ふるさと市民」に登録してくださった方でした。 媚びるのではなく、純粋に自治体を応援したいというミトさんの行動が、ご縁になったと思います。お肉やサメ、ゲーム配信といったミトさんの活動と千屋牛やジビエ、キャビアの養殖といった新見市の資源に物語性のような相性がありました。話すほどに「これも合う」と感じることが増え、自然と企画が深まっていきました。
ーーー令和7年度インパクトレポート 岡山県新見市編
3. 新見市も「迎える側」として前のめりだった
もうひとつ大きかったのが、新見市側の受け入れ方です。地元の観光地を時雨ミトさんのテーマカラーにライトアップしたり、公園や駅でのポスター掲示など、現地の方々が「どう迎えたらファンの記憶に残るか」を考えながら動いてくれました。こうした姿勢を持って動いた結果、生まれる体験はぐっと濃くなります。時雨ミトさんはもちろん、ファンも「街ぐるみで迎えられた」と感じる。この感覚が、その後の発信や再訪、応援の行動につながっていきます。
【時雨ミトさんのファン(2名)へのインタビュー抜粋】
ー新見市の受け入れ方で印象に残っていることはありますか?
(ファン)地元の方が、来てくれることを喜んでいる感じがありました。前日に大人数で地元のお店に行ったときも、嫌な顔ひとつせず対応してくれました。抽選に外れた“ハズレ組”として少し遠慮していたのですが、どこに行っても「大丈夫ですよ」と受け入れてもらえて、本当に嬉しかったです。
ーーー令和7年度インパクトレポート 岡山県新見市編
2年間で生み出された関係人口創出の成果とは?
新見市でのまちスパチャプロジェクトは2024年〜2025年にかけて約2年間に渡り行われ、新見市・VTuber・ファンがつながり、発展的な展開が見込める状態になったことが一番の成果と言えます。
単発のおもしろさを追求するのではなく、VTuberを通してまちを好きになっていく過程を設計したことで、関わりが続く状態が創出されました。
最初は、配信で知る。
次に、ふるさと市民としてつながる。バスツアーで実際に訪れる。
落選しても自主的に来る人が生まれる。返礼品ではなく「応援したい」という気持ちで納税する人が現れる。
そして、これからは、この関係性を地域の担い手へ深化させていくことを目指しています。
新見市の事例からは「関係人口創出の流れ」が生まれていることが感じられます。
【時雨ミトさんのファン(2名)へのインタビュー抜粋】
ーファンの皆さんにとって、新見市はどのような場所になりましたか?
(ファン)時雨ミトさんの聖地になったと思います。オフで会うときに「どこに行こうか」となったら、新見市が候補に上がりやすくなりました。現地でサメの被り物をしたミトさんが登場したことも強烈に印象に残っています。子どもも、それをきっかけにミトさんのことをさらに好きになりました。
ーふるさと市民登録や応援広告型ふるさと納税はどう受け止めましたか?
(ファン)ふるさと市民登録は、サポーターになれたような感覚があり、好印象でした。応援広告型ふるさと納税も、応援しながら新見市に協力できる使い方を用意してくれたので、納税しやすかったです。街のためになってほしいし、ミトさんの活動も盛り上がってほしいと思って寄付しました。
ーーー令和7年度インパクトレポート 岡山県新見市編
この事例から見えること
まちスパチャプロジェクトにおけるVTuberは「バズらせるための施策」ではない、ということです。むしろ、地域と推しの関係を丁寧に積み上げていくことで、来訪や登録、応援の行動が自然に重なっていく。そこに強みがあります。特に自治体や関係人口領域で活動するまちづくり会社にとっては、次のような示唆があるはずです。
・単発イベントではなく、継続の線をつくること
・既存施策をゼロから作り直すのではなく、再設計すること
・数字だけでなく、誰がどう動いたかまで設計すること
・推し本人が地域に関わることで、ファンの行動が変わること
新見市は、その具体例になっています。
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今回の記事では要点だけをまとめましたが、インパクトレポートにはキャスティングの考え方、施策の変遷、庁内調整、成功条件までを詳しく整理しています。自分たちの地域でも応用できるか知りたい方、庁内での説明資料として使いたい方、ぜひ詳細版もご覧ください。
関係人口・地域活性化に取り組む地方企業・自治体の皆様へ
今回の記事では要点だけをまとめましたが、インパクトレポートにはキャスティングの考え方、施策の変遷、庁内調整、成功条件までを詳しく整理しています。「自社・自自治体でもVTuberやファンコミュニティを活用した施策ができるか知りたい」「インパクトレポートの詳細な数値や導入プロセスを確認したい」という方は、以下より無料でお問い合わせ・資料ダウンロードが可能です。
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