徳島県那賀町では、令和2年度4月採用、町職員採用試験の追加募集にて、上那賀病院、日野谷診療所等町内医療機関でで勤務する看護師、及び那賀町保健センター等で勤務する保健師を募集しています。

受付期間 令和元年11月12日〜11月28日
第1次試験日  令和2年1月12日

 

・・・というわけで、全国どこも人材不足。特に医療関係は深刻な問題です。
が、しかし。徳島県の場合、人口1人あたりに対する医師の割合は日本一というデータもあり、県内でも市内と郡部では著しく状況が異なり、「どんだけ不均衡やねん!」という声が聞こえてきそうですが、那賀町では本当に、本当に看護師が足りていません。そこで、みんなで知恵を出し合い、なんとか人材を確保しようと、一風変わったPR大作戦が始まりました。その様子をまとめた記事を『四国の右下移住ナビ』(https://go-migishita.com/2019/03/2206/)より転載します。ぜひご一読ください。

徳島市内から国道195号を高知方面へ進むと、山間に白とグリーンのモダンな建物が見えてきます。そこが那賀町立上那賀病院。那賀町のほぼ中心に位置し、病床数40床の小さな病院ですが、那賀町の医療拠点として24時間365日の救急受入体制を行っていました。しかし平成最後となった2019年4月1日、看護師不足により、平日の夜間診療、土日祝の救急車の受け入れ、時間外の外来の受付を休止。“少子高齢化による人手不足”を絵に描いたようなこの問題を前に、町と病院が共同で人材確保にあたっています。

 

 

那賀町×看護師 違和感をフックにしたポスター作戦

那賀町立上那賀病院は1949年(昭和24年)に開設され、現在の診療科目は内科、胃腸科、外科、整形外科、皮膚科、肛門科、リハビリテーション科。平成31年3月末で退職する看護師が5名いることから、新卒、中途と問わず、看護師募集を行っていました。様々な業界で人手不足が問題となる中、看護師は特に深刻。都会の病院でも採用が難しく、ましてや山間部の町立病院という条件不利地ともなれば、1人確保するのもかなり難しい・・・。そこで上那賀病院だけでなく、那賀町役場のまち・ひと・しごと課戦略課、保健医療福祉課、一般社団法人地域おこしドローン社が看護師募集PRを行うプロジェクトチームを編成。2019年1月、大阪で開催される『文化放送ナースナビ病院就職合同説明会』出展に向けて、看護師募集を呼びかけるポスターを作成することが決まりました。作成されたポスターがコチラ。

那賀町は人形浄瑠璃の上演のために神社の境内に作られた野外劇場、農村舞台の現存数が日本一であることを、なぜか看護師さんがPRしているという1枚。あえて「看護師募集」とは書かず、「なにこれ?」という違和感で、見る人引きつける作戦です。

ポスター第二弾はゆず穫り。ポスターはバージョン違いで5枚あり、いずれも那賀町の観光や物産、主要産業、まちおこしの取り組みといった町の魅力を題材に看護師さんが体験するという構成になっています。


こちらはドローンバージョン。那賀町は徳島県版ドローン特区としてドローンによるまちおこしに力を入れていて、町が定めたドローンの日(10月6日)という記念日も。安全にドローンを飛ばすことができるよう、フライトスポットをまとめたドローンマップを作成し、空撮をしたい人や本格的な実証実験の対応も行っています。


SUPバージョン。SUP(サップ)は「Stand Up Paddle board(スタンドアップパドルボード)」の略。このSUPを那賀町特産の杉を使って作成。話題を呼んでいます。那賀町にはダム湖があり、穏やかなダム湖でSUPを楽しむことができます。


最後はチェーンソーバージョン。森林面積割合が95%を占める那賀町では新規の林業従事者確保のため、毎年林業体験イベント『リアル林業体感3DAYS』を開催。自然の中で働きたいという若者に「林業」という仕事が新鮮に感じられるそう。


この作戦もあいまって、2019年、2020年の春に看護学校を卒業する人を対象に行われた大阪での病院合同説明会では、ブースに人だかりが!たくさんの人が上那賀病院の話に真剣に耳を傾け、就職先として検討する機会につながりました。

看護師獲得に燃えるプロジェクトチームはこのポスター画像をFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSを活用し、とにかく拡散。すると看護師×林業、看護師×ドローンといった違和感を面白がりる人が続出。

また、看護師不足を知った地域の人や病院を応援したいという人から「うちの店でもポスター貼りますよ」といった声がかかるようになりました。この反応に「予算の範囲内でポスター送付を検討させていただきますのでメッセージ等お願いします。県外の方も。ぜひっ」とのこと!ご協力いただける方、何卒よろしくお願いします!

 

上那賀病院で働く人達に聞いた病院の魅力

2018年の秋頃から本格的に募集を始め、現在2名の採用が決定!2019年2月中旬、病院を訪れると四国の右下エリアに移住してきた移住看護師さんや看護助手として採用されたばかりのTさんが、すでに即戦力として活躍していました。Tさんは20代。応募のきっかけは自身の入院だったそうで、看護師さんたちが一生懸命働く姿に心を動かされたと言います。

看護助手 Tさん
私はまだ勤めてはじめて1カ月。「大変そうだけど、人の役に立つ仕事だな」と思って、転職を決めました。介護の仕事は初めてですが、毎日いろんなことを教えてもらって楽しいです。先輩たちも優しいし、できれば長く続けられるよう、がんばっていきたいです。

医療関係とはまったく違う仕事をしていたそうですが、待望の新人に病院スタッフは大喜び。Tさんも日々やりがいを感じているとのこと。

「上那賀病院の魅力」について看護師さんや看護助手のみなさんにお話を伺うと、「働きやすいこと」という答えが多く聞かれました。患者さんは高齢者が多いので、看護だけでなく介護に近いケアが必要だったり、人数が少ないため一人何役も行ったり、“看護師”という職業自体の大変さ加え、この病院ならでは苦労があるようですが、転職した看護師さんの中には「以前勤めていた病院は3交代勤務でしたが、ここは2交代なので、だいぶ楽」という人や、「子供の行事にあわせて休みの融通がきく」など、周囲の理解があり、仕事がしやすいといいます。

看護師長さん
上那賀病院のいいところは福利厚生がしっかりしているところ。比較的休みも取りやすいので、年次休暇と併せて長期の休暇をとって海外へ行ったり、ご家族の介護や看護をする人もいます。看護師としてスキルアップしたいという人のために、資格取得のサポートも手厚い。英語など語学に興味のある人は、那賀町在住のALT(外国語指導助手)の先生に教えてもらえる無料の英会話教室(町生涯学習講座)もあります。「田舎だからできない」こともありますが、看護師としてのスキルアップしたい人にとっては、チャンスに恵まれ、応援してくれる人が多い病院だと思います。「最低でも5人は採用!」と思っていますので、新卒の人も中途採用希望の方もぜひ挑戦してみてください。


ベテラン看護師さんも人材育成に力を入れている点に触れ、「人工呼吸器の勉強や褥瘡対策など、レベルアップしようと思えば、優先的に勉強会にも行かせてもらえるし、費用も病院側で負担してもらえるので、スキルアップしたい若い看護師さんにおすすめ。山の中の病院ですが、かつては難しい手術にも対応していました。先生が要求する医療レベルが高いので、それに対応するため、しっかりした医療知識を習得しつつ、患者さんとは気さくにふれあえるところとがこの病院のいいところかな、と思います」と話してくれました。

 

現代の赤ひげ先生 鬼頭秀樹院長

そして!上那賀病院の魅力を語るときに欠かせないが、「現代の赤ひげ先生」として慕われる病院長の鬼頭秀樹先生。地域に貢献する医師を表彰する『赤ひげ大賞』も受賞され、功績を顕賞するインタビュー記事には、徹底して患者に寄り添うのが“鬼頭流”の診察スタイルが紹介されています。


日本医師会 赤ひげ大賞
http://www.akahige-taishou.jp/case/book/book3_id3.html?fbclid=IwAR0kIoK8slK3il8czgiL08xwhaS7ZvMmw_yr2Pb9tOaqDj3hdwCaZxodrxk

時間外診療の休止はやむを得ない決断ではありますが、看護師募集に関して院長にお話を伺うと、

「地域に根ざした医療を提供するため、がんばっています」というだけでは、いくら看護師募集を行っても来てもらえない。来てもらって、やりがいを感じて、生き生きと働いてもらうような環境が必要。そうでなければ絶対来てもらえない・・・最近は特にそう思っているんですよ。そういったことを行政も含め、病院で働く我々みんなでやっていこうと、話し合いを進めています。
だから新卒で、まだ技術がない人でも、「患者さんのために全力でがんばりたい」という気持ちがあれば、技術的な面はみんなでサポートするので、チャレンジしてもらいたいですね。ものすごい重症な人が救急車で立て続けに運ばれてきたりすることもあるし、ご高齢で寝たきりの方とか、ちょっと認知症があって自分で動けないような方とか、医療的に高度な処置が必要な場合、介護的なお世話が必要な場合など、いろいろ大変なんですが、積極的に取り組む気持ちがあれば、いろんなことを勉強できるし、経験できるし、それですごく患者さんも喜んでくれるので、やりがいはあると思います。私達と一緒にがんばろうという看護師さんに来てもらえたらありがたいと思っています。

「広大な那賀町全てが我々の病棟」という院長。このまま規模を縮小していくのではなく、人材の確保さえできれば、時間外診療をすぐにでも再開したいといいます。

 

家賃無料!病院から徒歩1分の好立地

上那賀病院へは阿南市、徳島市など近隣から通勤する看護師さんもいますが、通勤時間の短縮や家賃補助の両面を兼ねて、病院の敷地内に寮を整備。2019年4月から家賃無料で貸し出しを行います。

こちらは2DKのファミリータイプの部屋。病院からは徒歩1分!和室には押し入れもあり。キッチンはガス、バス、トイレは別で、ベランダは少し広めです。洗濯機が室内に置けるのも嬉しいポイント。日当たり良好です。

単身タイプは1DK。設備はファミリータイプ同様で、部屋は和室。こちらも日当たり良好です。病院前にバス停がありますが、買い物などに自家用車は必須。駐車場も近くにあります。

仕事探しに求める条件は「給料が高いところ」「家から近いところ」「休みが多く、プラベートな時間が確保できること」など、人によって違いますが、一生懸命仕事をする人がいること、尊敬できる先生がいることなど、気持ちのいい人間関係が築けるかどうかは、求人票を見ただけではわかりません。自分の将来を考える中で、「地域医療に取り組む時期があってもいい」と思う人は、まずは病院見学に来てみてください。病院見学は随時受け付けています。

 

那賀町立上那賀病院
徳島県那賀郡那賀町小浜137-1
電話番号 0884-66-0211
http://www.town.tokushima-naka.lg.jp/hospital/